まずはH-1Bビザを獲得する必要

 エンジニアが米国で働くには、基本的にH-1Bビザが必要です。H-1Bビザとは、ソフトウエアエンジニアのように特殊技能を持つ外国人向けのビザで、発行される数には毎年限度があります(2019年は6万5000)。雇用する企業がスポンサーとなり、同じような学歴・職歴を持つ人が米国内に不足していることを証明して初めて発行されます。

 H-1Bビザを得るには、エンジニアの場合は、最低限でも理系の学士号を持っている必要があります(修士号を持っているとさらに有利)。私の周りにも、理系の学士号を持っていないためにH-1Bビザが取得できなかった人が何人もいます。

 H-1Bビザは、需要が多いので、ここ数年は抽選になっています。昨年あたりから、中国へノウハウが流出するのを嫌って、中国人に対する敷居を米国政府が高くしているので、日本人にとってチャンスかもしれません。

 日本で外資系の企業に就職し、中に入ってから米国への移動を申請するのは、とても効果的な方法です。私自身も、米マイクロソフトの日本法人経由で米国に来たし、私が経営していた会社(UIEvolution)でも、日本法人で雇ったエンジニアを3人ほど米国に移籍させる際にH-1Bビザを取得しました。

「アメリカン・ドリーム」はいまだに健在

 ちなみに、私自身にとって、渡米はとてもよい経験でした。世界中から集まった優秀なエンジニアたちと仕事ができたことで本当よい勉強になったし、本当の意味での実力主義社会で働く経験は、日本では決して得られないものでした。日本で「常識」とされているものが、全く通じない世界が世の中にはあると知っただけでも、大きな収穫でした。

 例えば、米国では、仕事をしている人でも家族を大切に扱うのは当たり前。子供のサッカーの試合があるからと早引きするのも当たり前です。そんな行動をお互いに尊重し合っている点も日本とは大きく違うと感じました。

 Windows 95を世の中に送り出し、結果として株価が急上昇した90年代にマイクロソフトで過ごせたことは、いろいろな意味で私の人生を大きく変えました。マイクロソフトの株価が大きく上昇したため、もらっていたストックオプションの価値が給料の何倍にもなったし、その後、自らベンチャー企業を立ち上げて成功させるという貴重な経験すらできました。典型的な「アメリカン・ドリーム」を実践したと言ってよいと思います。

 米国に移住することが全てのエンジニアにとって最適解だとは思いませんが、日本に閉塞感を抱いているのであれば、海外への移住を本気で考えてみるのも悪くはないと思います。「アメリカン・ドリーム」はいまだに健在です。

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