今から100年後を展望する上で、より正確な予測が可能な要素の1つは人口だ。「人口は『出生』『死亡』『移動』というわずか3つの独立的要因の総合効果で決まる。このため社会現象などに比べて圧倒的に正確な予測が可能」。国立社会保障・人口問題研究所の担当者はこう話す。
例えば国際連合は1963年、2000年の世界人口を61億2973万人と試算したが、実際は61億2412万人。0.09%の誤差しかない。
では、今から100年後はどうなっているかと言えば、同じく国連が6月に発表した2019年版の推計によると、50年までに現在より20億人増えて97億人に、2100年には110億人となる。日本の人口減に出口は見えないが、アジアやアフリカでの人口増加は当面続き、100億人の節目を突破。世界はより窮屈になりそうだ。

国連は、こうして地球上にあふれかえった人々がどこに暮らすかも予測。結論から言えば、今後、人類はますます、経済活動が盛んでインフラが発達した「都市部」に集中するという。1950年代には3割未満だった全人口に占める都市人口比率は現在55%にまで上昇しているが、2050年には実に約7割が都市人口となる計算が成り立つ。
2億年後の気候まで予測する専門家も
人口と並び、高い精度で長期展望できるのが「気候」だ。
週間天気予報も当たらないのに、100年後の気候など分かるはずはない、というのは誤解。「特定の日の気象状態(降雨や気温)を予想するのが難しくても、将来の平均的な気候状態、つまりある地域の気温・降水量の平均値などは100年後でもある程度予測可能」と、地球環境研究センターの江守正多・副センター長は説明する。
気候を決定付ける上で最も不確定な要素となるのが、人間活動(温暖化ガスの排出度合い)で、それによって将来の気温予測にはどうしても幅が出る。だが、逆に言えば、それに伴う数度の幅さえ許容すれば、気温のみならず降水量、日射量、風、氷の量、雪の量などまでほぼ分かるという。
専門家の中には気候であれば、億年単位で長期予想が可能という主張さえある。例えば2億年後の世界に暮らす新生物を研究した書籍『フューチャー・イズ・ワイルド』の著者、ドゥーガル・ディクソン氏とジョン・アダムス氏。各大陸の移動予測から未来の地球の地図を作り、大陸や山脈の位置から2億年後の気候を導き出した。
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