新型コロナの世界的な感染によって変化を遂げた、さまざまなビジネススタイルと生活様式。今回は「ウィズコロナ」時代を生きる企業の取り組みや新技術を中心に、これまでの具体的な取り組みと今後の展望について過去記事から振り返る。

コロナ禍の時代に生まれた「ウィズコロナ」という概念

 2020年初頭から世界中を震撼(しんかん)させている新型コロナ。日本でも春先の「第一波」に続き、夏の第二波、年末の第三波と、感染拡大が収まる気配はない。

 そんな時代に生まれ、現在までに広く使われているのが「ウィズコロナ」という新しい概念だ。外出時にマスクを着用するのが当然のエチケットとなり、日常生活でも三密を避ける、会食の機会を減らすといった生活スタイルが当たり前。ビジネスではテレワークやzoom等を使ったオンラインミーティングを導入する企業が増えている。

 ウィズコロナ時代の新しい日常「ニューノーマル」は、私たちの生活を今後どのように変えていくのだろうか。この記事では今年一年に掲載された新型コロナ関連の記事を通して、現在進行形で起きている変化と、アフターコロナに向けた動きについて紹介する。

働くとは何か、幸せとは何か コロナ前には戻れない

 新型コロナの急速な感染拡大がいったん落ち着きを見せた6月(当時)、多くの企業が新型コロナと共存する「ウィズコロナ」時代に合った業務スタイルを模索しはじめた。

 そのひとつが「みずほフィナンシャルグループ」。同行ではデジタルやリモートの積極的な活用をはじめ、「新型コロナ後の経済や社会、産業のあり方を自らつくる」気概で変革を進めている。すでに工場のリモート化を進めている「横河電機」にとっても、今後はAIを活用した自律制御へのシフトが生産性向上のカギだという。

 こうした企業ごとの取り組みだけでなく、国の政策も社会全体の仕組みも、これからはウィズコロナを前提とした新しいスタイルが求められている。

東京は江戸へ回帰する 「移動なき社会」が育む3つの注目分野

 ウィズコロナの時代、東京の生活スタイルが「江戸時代に戻る」という指摘がある。現代のような交通手段のない時代、起伏の多い江戸の街で、人々は徒歩圏内で生活を行っていた。公共交通機関の密を避けたい高齢者や、テレワークが中心の現役世代の生活圏もそれとほぼ同じだという。

 こうしたニューノーマルは、コンビニをはじめとする小商圏型ビジネスにとって追い風となっている。京王電鉄が現在展開する、軽トラックを使った「移動販売サービス」も同様だ。

 他にも近距離モビリティーとしての電動スケーター、自宅で快適に過ごすためのリノベーション産業など、多くの業界で「移動なき社会」ならではのビジネスチャンスが生まれているという。

通勤半減で大打撃

 一方で、東京などの大都市で大きなダメージを受けているのが鉄道会社などの公共交通機関だ。都心に通う人が大きく減り、品川駅や新宿駅といった主要駅では利用者がコロナ前の5割〜6割に落ち込んでいるという。鉄道会社の中には、通期で売り上げが4割減となったところもある。

 各社とも運行本数の減便、終電の繰り上げ、保守作業の機械化などコスト削減に力をいれているが、当面は苦しい時期が続く。一部ではすでに始まっているものの、ウィズコロナを生き残るにはデジタルトランスフォーメーション(DX)の促進や沿線開発といった、さらなる積極的な取り組みが求められている。

ピンチは成長の糧、コロナで強くなった会社

 新型コロナというピンチを、チャンスに変えている企業もある。

 高級菓子の老舗、たねやグループでは「社員を1人も解雇しない」という決意のもと、これまで月1回程度だったミーティングを週1回に増やした(もちろんオンラインだ)。会議を通して「厳しい現状」を包み隠さず伝えられたシェフたち。結果として各自が奮起し、「新しいヒット商品」が次々と生まれ始めたという。

 一見無謀とも思える消毒液の「100倍増産」に乗り出した花王、自治体の担当者たちを巻き込んで国内の富裕層向け旅行商品を次々と企画するエクスぺリサス、意思決定のスピードを上げて現役社員のアイデアを次々と形にする中西金属工業、SNSなどを駆使してアパレル需要を先読みするケイミー、伝統への回帰とオンライン販売を巧みに融合した新政酒造など、他にもウィズコロナで商機をつかんでいる企業は少なくない。

「触らず操作」で感染リスク低減

 ウィズコロナ時代のニューノーマルとも言えるのが、各種商業施設での「非接触操作」だ。たとえばくら寿司では一部の店舗の自動案内機やセルフレジなどに、指を近づけるだけで反応する「タッチパネル」の導入を進めている。

 「指先をマウスのように認識する」同様のシステムは、神戸市内の区役所の受付や凸版印刷のショールームでも実証実験が行われ、さらにはマンションのエレベーターに導入する動きもあるという。

日本のコロナ禍が2021年に収束する条件とは

 ウィズコロナ時代を安心して過ごすには、ウイルスの感染を抑制する「ワクチン」の存在が欠かせない。イギリスではすでに市民に向けたワクチン投与が始まり、東京オリンピックを来年に延期した日本でも、接種体制の整備がはじまりつつある。

 国内では「6月までに国民の6割への接種も可能」という楽観的な予測がある一方で、気になるのが「有効性の定義」だ。ワクチン投与を受けても感染・発症する人は一定数いると予想され、本人が無症状のまま、ワクチン接種を受けていない他人に感染させる可能性も少なくない。ワクチンそのものの安全性にも懸念が残る。

 それでも臨床現場での治療成績は着実に向上しているといい、今後早い段階での感染抑制に期待が集まっている。

最後に

 2020年に生まれた「ウィズコロナ」という言葉。新型コロナウィルスの根絶が難しい現在、コロナと上手に共存するウィズコロナはビジネスでも日常生活の上でも重要な概念となっている。

 新型コロナは生活や仕事に大きなダメージを与え続けているが、それを逆手にとって商機としている企業も少なくない。ウィズコロナ時代のニューノーマルを生き抜くため、今後のさまざまな取り組みにも引き続き注目していきたい。

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