新規事業は、企業が社会や業界の変化に対応し、成長するために必要な要素だ。ただ、新たなビジネスアイデアを思いついて、形にするのは簡単なことではない。今回は過去に掲載した企業の取り組みの中から、特に注目すべきものをピックアップして紹介していく。

企業の発展と生き残りに欠かせない「新規事業」

 「新規事業」とは文字通り、新しい事業のこと、もしくは新しい事業を生み出すことを意味する。特に後者の場合、新たな収益を生むアイデアを見つけ、資金や体制を整え、具体的な商品やサービスの提供方法を考え、その進捗を管理し、営業を行うという幅広いアクションが必要となる。こうした一連の流れは事業開発そのものである。

 新規事業(事業開発)に取り組む方法は業種や会社によって異なるが、以下のいずれかの方法、もしくはその組み合わせで行われることが多い。

  • 技術革新や自社固有の技術などハード面の強みを生かす
  • マーケティングやビジネスシステムなどソフト面で工夫をする
  • 他社が見逃している新しい市場やニッチ市場を開拓する

 新型コロナウイルスの感染拡大といった世界規模の変化はもちろん、もっと小さな社会や業界の変化に対応していくためにも、新規事業は欠かせない。

積水化学加藤社長「変革できない人はリーダーになれない」

 時代の変化に合わせて新規事業を生み出し続けてきた企業の一つが積水化学工業だ。ボールペンの軸から住宅まで、同社が手がけてきた事業は多岐にわたる。同社はなぜ新規事業を次々と生み出せるのか。その理由の一つは、会社の成り立ちにあるという。積水化学そのものが、総合化学品メーカーの日窒コンツェルンから飛び出した社員たちによってつくられた「新規事業」だったのだ。

ものづくりの黒子がタブー破り? 横河電機がバイオ素材に挑む意味

 横河電機は、長年にわたり化学工場や製鉄所などの大型プラントを支える制御システムを手がけてきた。いわば「ものづくりの黒子」といえる存在だ。その同社が2021年に子会社を設立し、バイオ技術を使った素材の自社生産に乗り出した。手がけるのは、100%植物由来素材の硫酸エステル化セルロースナノファイバー「S-CNF」。コロナ禍で製造業の投資が減るなど経営環境が大きく変わる中、脱炭素、資源循環という市場を狙って参入に踏み切った。

ANAHD片野坂社長「マイノリティーが未来を創る」

 コロナ禍で航空業界が大きな打撃を受ける中、ANAホールディングス(HD)は、ドローン事業、アバター(分身)事業、宇宙事業など、さまざまな新規事業に乗り出している。片野坂真哉社長(記事掲載当時)は、新領域へのチャレンジや少数派の意見を大事にすることはANAグループのDNAであると強調する。

 もちろん新規事業には失敗も付き物だ。社長就任以前からさまざまな事業に取り組んできた片野坂社長も、何度も失敗を繰り返したという。それでも失敗には意味があり、「失敗した人間は『次こそは』と思うし、失敗から学ぶことができる」と片野坂社長は語る。

CD・DVDレンタルのゲオが、都心に低価格衣料の店を出す理由

 CDやDVDの市場が縮小する中、CD・DVDレンタル大手のゲオホールディングス(HD)は21年7月、グループ会社を通じて東京・表参道にLuck Rack(ラックラック) と名付けたオフプライスストアをオープンした。アパレル企業の余剰在庫を安く買い取って最大約90%引きの価格で消費者に販売する店だ。オフプライス業態には19年4月から初参入し、郊外型の店舗を中心に展開してきた。13店舗目で東京23区内への初出店となるのが、東京・表参道の店舗となる。

「ディズニー」以外の新規事業、3~5年後に方向性、TDRのVC

 東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)が、ディズニーではない新規事業に乗り出す。21年3月期に上場来初となる541億円の赤字を計上した同社。TDRのある千葉・舞浜への一極集中から脱却するのが狙いだ。すでに全額出資の子会社オリエンタルランド・イノベーションズを設立し、今後3~5年くらいで新規事業の方向性を定めていきたいという。

水素で全方位外交の三菱重工 「グリーンの新風」で業態転換

 国際社会が「2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする」という目標を掲げる中、これまで化石資源の使用を前提とした事業を行ってきた三菱重工業が事業構造の大幅な見直しを迫られている。同社が新たに取り組むのは「水素発電用ガスタービン」。いずれはタービンの商用化にとどまらず、水素の製造から輸送・貯蔵、利用までのサプライチェーン(供給網)構築に乗り出す構えだ。

最後に

 企業の成長や変化に欠かせない「新規事業」。創立したてのベンチャーに限らず、大手や老舗であっても新規事業に取り組む企業は少なくない。地球温暖化や新型コロナの感染拡大など世界規模で大きな変化が続く昨今、それぞれの企業がどのような新規事業に取り組んでいくのか、興味を持って見守っていきたい。

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