ウーバー・テクノロジーズが運営するUber(ウーバー)は、世界70以上の国・地域、700以上の都市で展開している自動車配車サービス・配車アプリだ。日本ではUber Eats(ウーバーイーツ)でおなじみだが、自動車事業ではどのように日本市場と関わるのか。また、上場したウーバー・テクノロジーズは今後どのような展開をしていくのか。過去の記事を基にこれまでの沿革や現在の動向を紹介する。

ウーバーのこれまで

 Uber Technologies Inc.(以下、ウーバー)は、2009年3月にトラビス・カラニックとギャレット・キャンプにより設立された、配車アプリ世界最大手の企業。現在、世界70以上の国・地域の700都市以上で展開しており、2013年9月には、日本法人Uber Japan株式会社が第2種旅行業者として登録され、同年11月より台数限定でのトライアルサービスを開始した。

 14年8月には、東京都内全域で本格的にタクシーの配車サービスをスタート。16年5月にトヨタ自動車との提携を発表した。そして19年5月にはニューヨーク証券取引所で新規株式公開(IPO)を果たしている。

ウーバーCEO、目指すは「移動のグーグル」

 創業10年で時価総額8兆円を超える企業に成長したライドシェアの先駆者であるウーバー。現時点では赤字だが、これは将来の成長への投資と捉えており、配車や食事宅配サービスなどに早期参入することで成長を遂げようと考えている。

 交通手段のマッチング技術を活用することで、最終的にはモビリティーのプラットフォームを目指していくという。

「ウーバーにとってのクルマは、 アマゾン(・ドット・コム)にとっての本のようなものだ。」

 米ウーバーのCEOのダラ・コスロシャヒ氏の名言。自社の成長戦略を、本から家電、雑貨、食品などへと取り扱う商品の種類を広げたアマゾンに例える。ライドシェアサービスで利用者が使い慣れたアプリを「プラットフォーム」にして、その上で多様なサービスを展開するというのだ。

ウーバー、過疎地でアリの一穴

 モビリティーのプラットフォームを目指すウーバーだが、日本市場とも連携を始めた。

 京都府の京丹後市の過疎地で自家用車による運送サービス「ささえ合い交通」が始まったのだ。現地では、ウーバーのアプリを利用し、スマートフォンでクルマの呼び出しがいつでも可能になった。

 ウーバーは世界700以上の都市で事業を展開する世界最大手だが、そのサービスである自家用車による客の運送は国内では道路運送法で禁じられている。しかし、過疎地などは例外とされており、ウーバー日本法人はこれに着目したことがきっかけとなった。この提携により信頼度が高められれば、今後は規制緩和を加速させる可能性もある。

自動運転の先を見据えたトヨタとウーバーの提携

 16年5月24日、トヨタ自動車と米ウーバーの提携が発表された。一見サービス内容が相反する企業同士だが、この提携の最大の目的は、クルマを所有する時代から、オンデマンドで利用する時代に変わるのに備えて、ライドシェアサービスに関する経験を蓄積することにあるようだ。

ウーバーがIPOの正式資料提出、ソフトバンクが最大株主

 そして19年4月11日、ウーバーはIPOに向け、米証券取引委員会(SEC)にS1と呼ぶ正式申請の書類を提出。当時の筆頭株主は、16.3%を握るソフトバンクグループだった。

ウーバーの上場後、リフトが史上最安値

 ウーバーは19年5月10日にIPOを果たすが、株価は公開価格の45ドルを8%下回る不振に終わった。また、その影響で、同業のリフトの株価が同日に上場以来最安値を付けたという。投資家たちは、2社が利益を生み出すのがいつになるかを明言しないことに対して不安を感じていたようだ。

盛り上がりに欠けるウーバー上場

 ウーバーは、確かに大規模なIPOを実現した。ただ初日の終値は公開価格以下に沈むなど、将来性への期待がしぼみ始めている。同業のリフトの株価も低迷している。また、ドライバーの取り分の低下や効率も悪化するなど、ライドシェアビジネスの根本的な課題が浮き彫りになりつつある。今後は、完全自動運転の実現にかかっていると言えそうである。

ウーバーが400人の人員削減

 このように上場後も黒字化できず投資家たちから批判が噴出し、ライドシェアの課題が取り上げられる中、7月29日には、ウーバーがマーケティング部門の1200人のうち400人を解雇したと報じられた。IPO後、ダラ・コスロシャヒCEOは改革の手を強めているが、6月には、COO(最高執行責任者)のバーニー・ハーフォード氏やCMO(最高マーケティング責任者)のレベッカ・メッシーナ氏が会社を去った。

ウーバー、マーケティング部門で400人をリストラ

 マーケティング部門で約400人を解雇した件で、マーケティング部門責任者のジル・ヘイゼルベイカー氏は「組織が肥大化し、意思決定プロセスが不明確になってきたためだ」と従業員宛ての電子メールで説明した。北米や中南米、中東などの地域マーケティングチームの整理・統合を進めることも明らかにした。

ウーバーの4~6月期は52億ドル超の赤字、売上高14%増

 以上のように様々な問題が起きる中、ウーバーは8月8日、19年4~6月期の決算を発表。売上高は前年同期比14%増の31億6600万ドルだった。純損益は52億3600万ドルの赤字(前年同期は8億7800万ドルの赤字)。業績を確認できる17年以降で最大の赤字となった。

最後に

 これまでウーバーの沿革や現状を紹介した。「モビリティーのプラットフォーム」になると注目されたウーバーだったが、上場後も赤字は膨らみ経営幹部が抜けるなど先行きが不透明な状態が続いている。

 今後は事業の要であるライドシェアについて、トヨタとの提携による自動運転技術の向上がどのように影響してくるのかが注目である。

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