コミュニケーションツール国内最大手として君臨するLINE。2000年9月創業という比較的若い会社ながら、多角的な事業展開や日米同時上場などで注目を集め続けている。2019年11月にヤフーを傘下に持つZホールディングスとの経営統合が発表されたばかりだ。これまでのLINEの歩みについて過去の記事から振り返る。

SNS利用者の8割が利用するLINE

 LINEは2000年9月、韓国・ネイバーの100%子会社として設立された。設立時の名称はハンゲームジャパン株式会社で、その後2003年8月にNHN Japan株式会社、2013年4月にはLINE株式会社へと商号変更され現在に至っている。

 当初はオンラインゲームやブログサービスを主要サービスとしていたLINEだが、独自に開発したSNS「LINE」の提供とともに快進撃が始まる。現在、コミュニケーションツールのLINEは日本国内でトップクラスのシェアを誇り、2018年にはSNSユーザーの8割が利用するなど他のライバルを寄せ付けない。

 LINEは事業の多角化や他社との協業にも積極的だ。同社の大胆な経営戦略はたびたび業界の注目を集めており、特に2019年11月に発表された「ヤフーを傘下に持つZホールディングスとの経営統合」は業界だけでなく社会にも大きなインパクトを与えた。ここでは、LINEが現在に至るまでの主な動きを追っていきたい。

「LINE」独走で競合が戦意喪失

 数あるコミュニケーションツールのひとつとして、2011年に誕生したLINE。その後の急成長は、競合サービスを提供するライバルが次々と戦略変更を余儀なくされるほどの勢いだ。2012年の秋には世界で約7000万人だった利用者も翌年1月には1億人を突破し、さらに5カ月後には1億7000万人へと拡大している。

 2012年に約10億円というプロモーション費用を投じてLINEを追い上げようとしたDeNAは体制縮小を決め、当初は日本のトップシェアを目指していた韓国のIT大手カカオも「既存顧客である1000万人の利用者が満足してもらえるようにサービスを設計していく」とトーンダウン。

 国内で不動の地位を手にしたLINE。その目はすでに「WeChat」や「WhatsApp」などの強豪がひしめく海外に向けられている。

LINE、スマホ通販の全貌

 2013年8月に利用者数が2億3000万人を突破したLINE。その圧倒的な勢いを背景にEC事業への参入を発表した。「LINE MALL」と名付けた新サービス(2016年5月に終了)はスマホでの利用に特化したシンプルな仕様で、既存のLINEユーザーの取り込みを図る。

 ヤフオクやメルカリ、BUYMAなどが群雄割拠するスマホEC。LINEの参入によって競争がさらに過熱しそうだ。

ヤマト、LINE提携に秘めた壮大な構想

 2016年1月、LINEと宅配最大手のヤマト運輸との提携が発表された。ヤマト運輸が提供している「クロネコメンバーズ」とLINEを連携させることで、宅配便の配達予定を事前に通知するほか、荷物の受取時間や場所の変更も簡単にできるという。ヤマト運輸の長尾社長は「LINEでつながる相手に対して、住所を聞かなくても荷物を送れる仕組みも整えるつもり」と語り、将来のサービス拡大にも積極的だ。

好調「LINE」の新サービス、首脳が語る秘訣

 2015年にLINEの社長に就任した出澤剛氏。就任からおよそ1年となる2016年2月、今後のLINEをけん引する新サービスについて語った。その一つが2015年12月に始まった「LINE LIVE」。生放送の番組を視聴できるサービスで、すでに月間ユニーク視聴者数は1100万人、延べ視聴者数も累計4300万人(2016年1月9日時点)を記録する。

 もう一つはニュース配信サービスの「LINE NEWS」。新聞社やテレビ局、出版社などの既存メディアと連携しながら「打倒ヤフー」を目指すとしており、こちらも2015年12月時点で月間利用者数が2200万人を超えるなど好調だ。

LINEモバイル、1億人の衝撃

 2016年3月に開かれた戦略発表会「LINEカンファレンス」で通信事業への参入を表明したLINE。自らMVNO(仮想移動体通信事業者)となり「LINE MOBILE」と名付けたサービスを開始するという。すでに国内だけで約6800万人のユーザー(2016年3月時点)を持つ同社だが、新たなサービスはさらなる「攻め」を目指したものだという。同社取締役の舛田淳氏は「1億という数字は当然、目指したい」と語る。

会社からメールを消そうとするLINEの緻密な戦略

 2017年2月から新サービス「LINE WORKS」を提供するLINE。いわばビジネス向けの「もう一つのLINE」で、メッセージやスタンプ機能はもちろん搭載。音声通話やビデオ通話などのコミュニケーションツール、社内アドレス帳、スケジュール管理、ファイル共有、会議室予約などの機能も統合している。

 新サービスの目的について、社長の出澤剛氏は「職場の活性化と効率化に資する」ことだと話す。いずれは業務の現場からメールを消すことを目指しつつ、先行するグーグルからの移行ユーザーを開拓していく。

LINE、AIで「第3の創業」の勝算 首脳が語る

 2017年3月、LINEは独自のAIプラットフォーム「Clova」を発表。同様のAIプラットフォームはすでにグーグルやアマゾンも発表しているが、LINEとしてもポスト・スマホ時代を狙った「第3の創業」として積極的に参入する構えを見せている。

 「何か新しいことをやらないと、次の成長はない」と語るのは社長の出澤剛氏。まずは他社に先駆けて「音声アシスタント」搭載のスマートスピーカー「Clova Wave」を発売し、主導権を握りたい考えだ(2017年3月時点)。

LINEと新銀行、みずほの本気度

 2018年11月、ついに「銀行」への参入を発表したLINE。傘下のLINEフィナンシャルが51%、みずほ銀が49%を出資して新会社を設立する。今回の提携について、みずほフィナンシャルグループの岡部俊胤副社長(発売当時)は「旧来型のメガバンクが苦手としてきた若い世代、デジタルネーティブ世代への接点を獲得したい」と話す。

 LINEとみずほ、両社のフィンテック戦略には競合する部分も多い。今後の協業の行方が気になるところだ。

LINE、ままならぬスマホ決済

 一方、LINEはすでに簡易決済の分野に参入している。ゲームなどのコンテンツ事業に代わる「次の収益の柱」として、スマホ決済サービス「LINE Pay」を提供しているのだ。しかし現時点までにLINE Payの決済額は日本の現金決済の1%にも達しておらず、高い期待とは裏腹に普及は伸び悩んでいる。

 スマホ決済事業をなんとしても成長させたいLINE。2019年1月には「利用額の20%をポイント還元」するキャンペーンを実施するほか、LINE Payを運営する子会社に200億円の出資を決めるなど成果を急いでいる。

LINE Score、「後出しじゃんけん」の妙技

 2019年6月、LINEが「LINE Score」を発表した。これは個人の信用をスコア化するもので、点数に応じてLINEグループや提携企業からの特典を受けられる。すでにヤフーも同様のサービスを発表しているが、その際は「個人の信用スコアが勝手につくられている」などの批判が殺到し炎上状態になった。

 その経緯をつぶさに観察していたLINEは、自社サービス発表にあたり「発信するメッセージ」を慎重に選択。消費者が過敏に反応する言葉を避けることでヤフーの二の舞いを避けた。

LINE証券に立ちはだかる「3つの壁」

 2019年8月、LINEと野村ホールディングスの共同サービス「LINE証券」がスタートした。LINE証券はスマートフォンでの取引に特化した証券会社で、対象を投資の初心者に絞り、独自に選んだ国内有名企業100社の株式などを扱う。

 すべての取引をスマートフォンで完結できるという画期的なサービスだが、LINEとの機能連携がほとんど実装されないこと、マイナンバーの登録が必要なこと、既存サービス「LINEスマート投資」などとの差異化が見えにくいことなど、課題も多い。

最後に

 今回はLINEが提供するさまざまなサービスのうち、これまで話題を集めたものをいくつか取り上げてみた。もちろんLINE関連のサービスはこれがすべてではない。

 膨大なサービスを矢継ぎ早に展開してきたLINE。ヤフーとの経営統合によって今後どのような展開を見せるのか、大いに気になるところだ。

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