スシローは全国で500店舗以上を運営し、回転ずしチェーン界の首位に立つものの、800店舗まで増やせると考えている。スシローの勢いとその原動力は何か。スシローが都心に初出店した2016年からこれまで、スシローが起こした改革や勢いの原動力を解説する。

スシローの沿革について

 スシロー(あきんどスシロー)はスシローグローバルホールディングスの事業会社で、1984年6月大阪府豊中市に1号店(屋号:すし太郎)を出店した。

 1984年すし太郎を設立し、別の会社との合併を経て2000年にあきんどスシローに商号を変更、2003年には東証2部へ上場を果たす。その後業務改革としてセントラルキッチンの全面廃止、海外ファンドとの戦略的提携を経て、2017年には持株会社スシローグローバルホールディングスを東証1部へ上場、全都道府県への出店を達成した。現在も勢いを増しながらすし業界を席巻している。

郊外型中心のスシロー、都心部に初出店の狙い

 スシローといえば、低価格を武器に郊外型店舗を拡大しているイメージだったが、2016年に東京・南池袋に出店した。都心のマーケットを狙ったスシローの挑戦だ。店内はファミリー向けの席よりも「おひとりさま」でも座りやすい、カウンター席が目立つ。

 価格はテナント料や人件費を加味して、一皿120円~と高めに設定。さらに注文したすしを取りやすいように工夫されたすしレーンやセルフ会計なども導入されており、客の滞在時間は5%程度短縮され、回転率が高くなるという。

 この1号店は都心部での成功モデルをつくるためのもので、今後都心で成功するためのノウハウを社内で水平展開していくと社長は語る。ただし都心型店舗を着実に増やしていく予定ではあるものの、以前からの郊外型店舗の展開が中心となりそうだ。

 都心への出店を果たしたスシローだが、回転ずし市場はすでに飽和状態に近い。この状況の中でスシローは今後、どのような戦略で成長を遂げようとしているのだろうか。

飽和迎える回転ずし市場、スシローの戦い方

 外食チェーンにおいて、標準化した店舗を大量に展開することは大きな強みだが、都心型店舗など新たな立地・業界で営業することは挑戦だと言える。南池袋の都心部初出店から半年後、五反田に新たな店舗をオープンした。

 数百店舗を構えるスシローだが、魚に関する「目利き」と呼ばれる社員は2人しかいなかった。そこで魚を熟知した仕入れ担当者を6人に増員し、商品の改革に取り組んだ。スシローは「値段の割においしい」という高コスパ感覚がウリであり、仕入れの改革はこのウリを磨くものである。

 また店舗運営では、外部に委託していた作業であるハマチの湯引きや生きアワビの殻むきなどの作業を店内で行い「効率化よりも、一手間かけておいしいものを出す」というスシローらしい文化を、業務改革の中でも徹底させた。

「スシロー、国内800店まで増やせる」

 業務改革を進め、店舗数も着実に増やしているスシローだが、成長は職人気質のスタッフがおいしいすしを提供したいという思いが支えているという。さらに消費者調査や価格調査を実施したフィードバック、そして効果的な出店場所を探す「ビジョンマップ」の導入が大きい。

 採用も強化したことで、年15~20店舗の展開が、35~40店舗まで増え、自店同士の食い合いを起こさずに800店舗まで増やせる見込みだという。そしてこのような成長には、IT技術の導入も一役買っているようだ。

回転ずしも予約の時代 スシロー、グーグル音声予約導入

 どこも人気店のスシローは、待ち時間による購買機会の損失という課題を抱えていた。これを解決するために、「グーグルアシスタント」を導入し、車を運転しながらでも座席の事前予約ができるシステムを導入した。アプリを起動して、予約したい人数と店舗を伝えると、待ち時間の目安が分かる。

 スシローでは休日に店舗前の道路が渋滞することもある。これまでは自社アプリで予約を受け付けてきたが、音声予約システムの技術進歩によって、利便性向上と新たな顧客開拓の両方に挑む。

 IT技術を積極的に取り入れて成長を図るスシローだが、外食産業のブラックなイメージを払拭する改革も行った。それが「休み方改革」である。

スシロー、幸楽苑が一斉休業 外食で進む「休み方改革」

 スシローは2019年2月5日、6日、ほぼ全店の500店で一斉休業を行った。これまでは店ごとに不定休としていたが、現場の声をくみ上げる形で複数店舗を監督する社員も含めて2日連続で休みが取りやすくなるよう公休日も設けたという。

 この休み方改革は外食産業のブラックなイメージを払拭するだけでなく、人材確保やサービス向上にも一役買っている。

最後に

 スシローの勢いは止まらず、年35~40店舗も新規店舗を開店し、全国で800店舗も可能だという。

 店舗で一手間かけて、良いすしを人々に届けたいという思いがスシローの勢いの原動力だ。そして人材確保やサービス向上に向けた休み方改革など、業界にも影響を及ぼしている。

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