企業の目的や存在価値を意味し、企業のブランディングに大きな影響を与える「パーパス」。DXや新型コロナの影響を受けて、あらためてパーパスに注目する企業が増えているという。今回はパーパスをテーマにした過去記事から、注目のトピックを紹介する。

企業の存在価値を内外に示す「パーパス」

 パーパスという言葉は、ビジネスの世界では企業や企業に属する個人の存在意義という意味合いで使われている。具体的には「社会の中で、企業が何のために存在しているか」「そのためにどのような事業を展開するのか」を示すものだ。パーパスを持つ企業は自社の存在価値を内外にアピールできると同時に、行動の軸がはっきりすることで素早い意思決定が可能になる。

 近年、日本の企業がパーパスに注目するケースが増えているという。その背景には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により企業の意思決定のスピードが速くなったこと、加えて新型コロナの影響で社会や業界が大きく変化したことで、自分たちの目標や存在意義を見つめ直す企業が増えてきたことがあるといわれる。

 今回の記事ではパーパスを持つ企業について、特にパーパスをブランディングに活用している事例を中心に過去記事を振り返ってみる。

多様な働き方を認め合う

 日本のイノベーション研究の第一人者である一橋大学の野中郁次郎名誉教授は「『どういう生き方をしたいのか』という目的がない経営は、空理空論でしかない」と語る。モチベーションが高く優秀な人材を確保するには明確なパーパスが必要だという意味だ。

 コロナ禍の現在、世界では「パーパスへの共感」を基盤に、会社と社員の関係を構築し直す動きも広がっているという。

「パーパス」を策定する会社が急増。京セラも危機感

 稲盛和夫氏が創業し、長年にわたり同氏の理念(パーパス)が生かされてきた京セラ。しかし組織や事業の拡大に合わせて社内が硬直化し、チャレンジ精神が現場から感じられなくなっていたという(2017年当時)。

 危機感を抱いた谷本秀夫社長は「新規事業アイデアスタートアッププログラム」の開催、社長自ら事業部門の若手社員と直接対話する機会を設けるなど、新しいアプローチでパーパスの浸透を図っている。

「午後の紅茶」ブランディング戦略で好意度が急上昇

 パーパスをブランディングに活用し、成功を収めているのがキリンビバレッジだ。コロナ禍が広がる2020年3月には同社の看板製品「キリン 午後の紅茶」の新CMのテレビ放送を開始したが、「幸せの紅茶、午後の紅茶。」というテーマが全世代に支持され、特に40代女性では好意度が18ポイントも上がったという。

履歴書に性別も顔写真も不要、ユニリーバの本気

 ジェンダー平等の意識を採用活動に反映させているのはユニリーバ・ジャパン・ホールディングスだ。これまで「LUX」というブランドで「女性が自分らしく輝くためのサポート」というパーパスを掲げてきたが、「ジェンダーが理由で、個人のやりたいことや希望が実現できない現実があるのではないか。LUXとして何かできることはないか」という思いから採用方法の見直しに取り組んだという。

スタバの強さの原点は「成長する喜び」

 「パーパスの明確さと従業員の働き方」が高く評価されているのはスターバックス コーヒー ジャパン。同社ではミッション&バリューを掲げて存在意義を明確にし、パートナー(店舗スタッフ)の採用でもその基準を生かしている。「非正規労働者やマイノリティーに対する差別が職場にない」など、職場環境や従業員の働き方への評価が高いのも同社のパーパスが明確にされていることの効果だ。

消費者の「ペイン」を解決したグリコのアイス「SUNAO」

 「おいしさと健康」というパーパスを掲げる江崎グリコ。このパーパスは健康志向の(ローカロリーの)アイスクリームなど、製品作りにも生かされている。健康寿命が重視される今日、同社のパーパスは高い社会的意義を持つものとして受け止められ、消費者に受け入れられているという。

最後に

 企業にとって、自社の目的や存在価値を内外に示すには「パーパス」が必要だ。デジタル化の推進や新型コロナの拡大で、パーパスへの注目は国内外で高まっている。パーパスは企業のブランディングに貢献する。パーパスを積極的に活用している企業の中には、マーケティングや人材採用の分野で成功しているケースも多い。今後のパーパスの広がりにも要注目だ。

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