殺人や自殺などの“事故”で、その資産価値が下がってしまっている物件を、「事故物件」や「訳アリ物件」という。そうした物件については、取り扱う不動産は、あらかじめその事情を借りようとする人に告知する義務があるが、そのルールは明確とはいえない。本記事では、その見分け方など、事故物件に関する現状をご紹介する。

事故物件は「心理的瑕疵」がある物件のこと

 賃貸サイトを見ていると、「心理的瑕疵(かし)あり」という記載がある物件を目にしたことがあるはずだ。それがいわゆる事故物件になる。「心理的瑕疵」とは、一般に、「その部屋を借りたくないな」と思うような事情をいう。また、その物件自体には特に問題がなくても、周辺で「事件・事故・火災」などがあった、「嫌悪施設」がある、「指定暴力団などの事務所」があるといった場合には、「心理的瑕疵あり」の物件として扱われる。不動産業者は一般的に、このような物件については、希望者が購入、もしくは借りる前に事前告知をしなければならない。

 ちなみに、ここで言う嫌悪施設とは、小学校や中学校等、清掃工場、葬儀場、火葬場、工場、遊戯施設、原子力発電所等、刑務所、産業廃棄物処理場など、環境悪化や騒音・悪臭・大気汚染・土壌汚染などを誘発する施設のことを言う。なお、小学校や中学校が入っているのは、子供たちの遊ぶ声などを嫌がる人がいるからだと言う。ここからわかることは、心理的瑕疵があるかどうかを判断する要素は、購入者や借り手の感覚による部分が大きいということだ。不動産業者が問題ないと考えていることでも、人によっては生活に害を及ぼすと捉えることもある。そのため、明確なルールを策定するのは難しいし、その条件があまりに細かく、厳しくなってしまうと、企業ももうけを得ることができなくなってしまう。事故物件の背景には、こうした複雑な事情があることが想像できる。

事故物件借りちゃった人の末路

 「大島てる」という、事故物件公示サイトをご存じだろうか。設立当初は東京23区のみの事故物件情報を掲載していたが、その後徐々に対象エリアを拡大していき、現在では日本全国のみならず海外の事故物件をも対象としている。その運営を務めている、株式会社大島てるの代表取締役会長を務めているのが、大島てる(大島学)氏だ。

 同氏によると、事故物件の告知に関するルールは現状曖昧な部分が多いという。特に、上記で示したような、どのような事故があった物件が「心理的瑕疵」に該当するのか、という点に関しては購入者や借り手は注意しなければならないだろう。例えば、一般的に、事件性がある出来事によって、その場で人が死んだ場合は事故物件と判断される。これは、「殺人」や「自殺」、「死者が出た事故」などが該当する。しかし、孤独死については少々事情が異なる。例えば、死後かなりの時間遺体が部屋で放置されたままであった場合は、事故物件として扱われるが、遺体が死後すぐに発見された場合は、告知されない場合もある。

 また、それを告知する義務についても曖昧な部分があるという。例えば、事件が起きてから数年が経過し、入居者も数名入れ替わった場合には、告知義務が存在するかはあいまいなのだという。詳しくは、以下の記事から人気コラム企画、事故物件借りちゃった人の末路をチェックしてほしい。

「事故物件借りちゃった人の末路」の舞台裏

 「事故物件借りちゃった人の末路」が公開されたのは、2016年。2019年8月、日経ビジネスでは過去の人気コラムを振り返る企画を実施。もともと、心霊関係とかホラー的なものに少し関心があり、同コラムの筆者を務めていた鈴木信行副編集長に、その舞台裏を聞いている。

事故物件を見分けるにはどうしたらいいのか

 最近では、家賃が安いといった理由で、あえて事故物件を選ぶ人もいるようだが、多くの人はできれば事故物件は避けたいと考えているはず。では、事故物件を見分けるために効果的な方法は何なのか。大島氏が語る有効な対処法は、その物件の近所の人に話を聞いて、情報収集を行うことだという。

 例えば、付近にある古くから経営している飲食店などであれば、事件の際に警察が来たことや、何が起きたか、事情を把握している可能性がある。不動産業者や大家が教えてくれない情報を、そこで得ることができるかもしれない。もちろん近隣住民でなくても、その物件に詳しい人であれば誰でもよい。要は、その物件について知っており、客観的な視点で情報を提供してくれる人を見つけることが大切なのだ。

こんな物件だったら要注意!

 とはいえ、検討している物件すべてに対して、そんなことをすると手間がかかる。そこで、大島氏が紹介している事故物件の特徴を、ここで少し紹介する。まずひとつ目は、不動産屋に案内されたときに、ほかの部屋に比べて、その部屋だけ異様にリフォームされている場合。事故のあった物件は、床下に体液が染み込んでいるなど、物件そのものの損傷が激しいことが多いという。つまり不自然にリフォームされているのは、こうした損傷を隠すためであると考えられる。

 次に、アパートやマンション名が最近、急に変わった場合だ。事件の報道で世の中に名前が知られてしまったら、業者や大家は当然そのことを隠したくなるだろう。イメージを塗り替えるために改名を行うというわけだ。そして最後に、家賃が相場よりも安い物件だ。一般的にもいわれている通り、事故物件は通常入居者が見つかりにくい。そのため、通常価格より値段を下げることで、そのハードルを少しでも下げようというわけだ。

 上記3つの特徴に当てはまる物件を紹介された場合には、前述したように、近隣住民にその物件の過去を聞き、事情を把握するのがよいだろう。

結論! 事故物件借りちゃった人の末路は?

 だがもし、事故物件とわからずに入居を決めてしまったら……。

 事故物件のなかには、そこに入居した人が立て続けに亡くなるということもある。こうした現象は、もしかしたら霊的な何かが作用しているのかもしれない。しかし一方、科学的にその原因を証明することもできる。以下の記事では、事故物件を借りてしまった大学生、沼田が友人の大山と共に、その原因を科学的に実証すべく奮闘する物語を漫画仕立てで紹介している。

 大島てる氏も主張している通り、「事故が連鎖するいわゆる“呪いの物件”(事故連鎖物件)は存在はするが、その理由は心霊現象ではなく、合理的・科学的な原因がある」という。しかし大島氏によると、これまで見てきた数多くの事故連鎖物件のうち1件だけ、どうしても科学的に説明がつかないケースがあるそうだ。詳細が気になる方は以下の記事をチェックしてほしい。

最後に

 ここまで、事故物件を巡る現状や、その見分け方などを紹介してきた。何を事故物件とし、どのような状況下で告知義務が発生するのかなど、法律にはまだ曖昧な部分が多い。そのため、悪徳な不動産業者や大家の紹介に遭ってしまった場合、不当な形で事故物件を購入したり借りたりしてしまう可能性も考えられる。

 そういった状況に陥らずに物件を購入、借りるには、前述した特徴と照らし合わせ、怪しいと感じた場合には、近隣住民へのリサーチを行うのが効果的だ。是非本記事や上記の有料記事を参考にして、事故物件に関する知識を深めてもらいたい。また、Webサイト「大島てる」のように、事故物件に関する情報を掲載しているサイトや、もしくはSNSでリサーチするのも良い手段だろう。

 多くの場合、事故物件で起きる心霊現象とされるものは、科学的根拠によって説明できる。もし万が一、事故物件を引き当てて、入居することになったとしても、まずは焦らずに状況を判断し、何が原因でその現象が起きたのかを科学的に理解するように努めることが重要だ。

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