米国を代表する実業家として知られるジェフ・ベゾス氏。最も知名度が高いのはAmazon.comの創業だが、他にも有人宇宙飛行事業を手がけるブルーオリジンの設立や、ワシントン・ポストの買収などでも話題を集めている。この記事では同氏の歩みと成功・失敗の事例を中心に過去記事を振り返っていく。
Amazon.comの生みの親「ジェフ・ベゾス」

ジェフ・ベゾスは米国の著名実業家、投資家だ。同氏はAmazon.comの創設者のひとりとして知られるほか、有人宇宙飛行事業を目的とするブルーオリジンの設立やワシントン・ポストの買収でも話題を集めている。
1964年生まれのベゾス氏は米プリンストン大学で電気工学と計算機科学の学位を取得し、卒業後は金融関連のIT企業やヘッジファンドなどで働いた。30歳でD.E.ショーのシニア・バイス・プレジデントに就任した同氏だが、インターネットの普及を目にしたことをきっかけにオンライン書店の創業を決意。1994年にAmazonを創業した。
Amazonを世界有数の企業に成長させたベゾス氏だが、成功の背後には失敗もある。ときに強権的にも見える姿勢に対する批判も多い。今回はベゾス氏をテーマにしたこれまでの記事から、同氏の歩みや注目を集めた話題について振り返る。
ジェフ・ベゾス ファイナンス理論に根差した経営で躍進
ジェフ・ベゾス氏はもともと銀行業界の出身で、Amazon.comの経営者となってからも金融業界の関係者らしいファイナンス理論を掲げている。1997年のNASDAQ上場の際に投資家に向けて、Amazonが「会計上の利益を最適化する」よりも「将来キャッシュフローの現在価値を最大化する」と発言したのもその一例だ。
『ジェフ・ベゾス』~有り余る熱量を事業に注ぐ起業家
ベゾス氏に密着して書かれたブラッド・ストーン氏の『ジェフ・ベゾス』。同書からは「成功するプロジェクトにも失敗するプロジェクトにも惜しみなく情熱と労力を注ぎ込む」起業家の顔と、「徹底して利益にこだわる」経営者の顔という、2つの顔を持ったベゾス氏の姿を知ることができる。
老舗ワシントン・ポスト紙を劇的に復活させたベゾス流とは?
2013年にワシントン・ポストを買収したベゾス氏。同氏は「コンテンツシステム」や「アプリ」などIT技術の開発・導入を積極的に進め、創業140年の老舗新聞社の売り上げを劇的に改善させた。関係者によると、ワシントン・ポストの広告収入は2015年から2018年のあいだに4000万ドル増え、デジタル版の購読者数も300%以上増えたという。
月を目指すアマゾンCEOの“深謀遠慮”
ベゾス氏の活動についてAmazonに匹敵する注目を集めたのは、宇宙ベンチャー、ブルーオリジンの創業だ。同氏は2019年に「スペース・コロニーを建設して、宇宙植民を実現させたい」と語り、当時のトランプ米大統領が発表した有人月面着陸プロジェクトにも参加を表明している。
あなたはいくら払う? アマゾン・ベゾス氏との「宇宙ランデブー」
ベゾス氏自身も、自ら宇宙に飛び立つことを発表。2021年7月20日に発射するブルーオリジンのロケットに搭乗し、チケットを落札した他の搭乗者とともに約10分間の宇宙旅行を実現する予定だ(記事掲載当時。その後、宇宙旅行は予定通り成功した)。
アマゾン最大の失敗「ファイアフォン」が売れなかった理由
華々しい成功が語られるベゾス氏だが、大きな失敗事例もある。その中でも「最大の失敗」といわれるのがAmazonブランドのスマートフォン「ファイアフォン」だ。ベゾス氏自身も開発に参加し、米アップルのスティーブ・ジョブズ氏を意識したプレゼンまで行ったにもかかわらず「巨額の損失」を出す失敗作となった。
ベゾス氏が残した負の遺産と、最後に加えた「リーダーの条件」
2021年にAmazonのCEOを退任したベゾス氏。Amazonを米国有数のテック企業に押し上げた同氏の手腕は評価される一方で、従業員の労働環境よりも成長を優先する姿勢には多くの批判も集まった。「Amazonの成長を止めない」ことを目標に突き進んできたベゾス氏の遺産を、後任のアンディー・ジャシー氏がどのように受け継いでいくのか、注目されている。
最後に
Amazonやブルーオリジンの創業、ワシントン・ポストの買収など、話題性にあふれるベゾス氏。華々しい成功や失敗、称賛や非難にことかかない同氏だが、その実行力と経営手腕は誰もが認めるところだ。AmazonのCEOからは退いたものの、ベゾス氏の活動は宇宙ビジネスを中心にこれからも続いていく。同氏の一挙手一投足に、これからも注目していきたい。
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