オンライン決済の後払いサービスを提供するPaidy。日本を代表するユニコーン企業の一つとして知られ、2021年9月には米国のPayPalホールディングスが同社の買収を発表したことでも大きな話題を集めた。今回はPaidyのサービスや買収劇をめぐる話題について、過去記事から紹介する。

日本発のユニコーン企業「Paidy」

 Paidyとはオンライン決済で利用される「後払いサービス」のサービス名、およびサービス提供者の会社名だ。

 Paidyの設立は2008年。当初はエクスチェンジコーポレーション(ExCo)という社名でソーシャルレンディング(クラウドファンディングの一種)サービスを手がけていた。後払いサービスのPaidyを開始したのは2014年で、その後2018年に現在の社名に変更している。

 Paidyのユーザーアカウントは、2021年6月時点で550万以上。ユーザー数も売り上げも急速に伸びており「日本発ユニコーン企業」とも呼ばれる。一方、2021年9月には米国オンライン決済大手PayPalホールディングスが同社の買収を発表し、大きな話題を集めた。

 この記事ではPaidyサービスをめぐる市場の動きと同社社長へのインタビュー、そしてPayPalによる買収の背景について過去記事から振り返る。

キャッシュレス決済の新潮流「BNPL」クレカ不要で後払い

 オンライン決済のユニコーン企業として注目を集めるPaidy。同社が提供するPaidy(サービス名)は「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」と呼ばれる、クレジットカード不要の後払いサービスだ。

 同社サービスの強みは、人工知能(AI)を利用することで決済の可否が「0.5秒で判明する」という手軽さ。クレジットカードのような年会費も必要ないことから利用者の人気を集め、利用者を急速に伸ばしているという。

「後払い」でユニコーンに。Paidy社長が語るスマホ時代の決済

 Paidyの杉江陸社長兼CEOによると、同社サービスとクレジットカードの違いは「支払期間」にある。クレジットカードが「長期間の分割払い」を前提とするのに対し、PaidyなどのBNPLは「スマホを通じて短期間で支払う」「一括払いと分割払いを利用ごとに選べる」のが特徴だ。

 クレジットカードのように16桁のカード番号や暗証番号が必要なく、電話番号とメールアドレスをスマホに入力するだけで使えるという手軽さと安心感も、特にZ世代に支持される理由となっている。

後払い決済のPaidy、詐欺対策が生みだすジレンマ

 手軽に利用できることで人気を集めたPaidyだが、一方でそれを悪用した詐欺事件も発生している。フリマアプリを使い、手元にない商品を出品したように見せかけて売上金をだまし取るという手法だ。

 Paidyの審査は携帯電話番号とメールアドレスによって行われるが、犯人は不正に入手した携帯電話番号で審査をパスしていた。被害件数は、把握されているだけでも330件を超えるという。

「起業家はかっこいい、という時代は終わった」Paidy杉江社長兼CEO

 詐欺事件にPaidyが悪用されたことについて杉江陸社長兼CEOは、「大きな責任を感じた」と振り返る。「最初にきちんと向き合っていれば起きなかった事態かもしれない」とし、事件の発覚後すぐに「顔認証を用いた本人確認機能」などのセキュリティーを導入した。

 杉江氏は、一連のトラブルを反省しつつも「ネットバンキングをもっと普及させないと、金融サービスのデジタル化は進まない」と語る。

PayPalが3000億円でPaidyを買収。日本を素通りした「出口戦略」

 2021年9月7日、PayPalホールディングスがPaidyの買収を発表した。約3000億円という巨額の買収金額とともに、数少ない日本発のユニコーン企業が海外企業の傘下に入ることでも注目を集めている。

 この買収に限らず、Paidyの企業価値を高く評価していたのはいずれも海外の投資家たちだ。日本のベンチャーキャピタルは資金回収を急ぐ傾向が強く「出資先が小規模なうちに新規株式公開(IPO)を促すケースが多い」といい、それが有望新興企業のニーズとマッチしていないのだという。

最後に

 オンライン決済サービスで日本有数のユニコーン企業となったPaidy。クレジットカードに代わる手軽なBNPLサービスを特徴とし、大きく成長を遂げている。フリマアプリを利用した詐欺事件や米PayPalによる巨額買収などで話題を集めたPaidyが、この先どのようにサービスを進化・拡大していくのか引き続き注目していきたい。

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