全4815文字

モバイル通信ネットワークは1Gから4Gと、10年ごとに大きく進化を遂げている。「5G」は、その次なるモバイル通信ネットワークとして、世界中が注目しているテクノロジーだ。韓国や米国、中国ではすでに商用サービスが開始されており、ここ日本でも2020年の春から商用利用の開始が予定されている。5Gの登場によって、世界の産業や私たちの生活は、どのように変化するのだろうか。今回は、過去の記事を振り返りつつ、その可能性とこれまでの各国での取り組みを振り返っていく。

5Gとは

 前述の通りであるが、5Gとは「次なるモバイル通信ネットワーク」を指しており、2020年春から商用利用が予定されている。5とは、1Gから始まり「5世代目」であることを示しており、人が能動的に情報にアクセスする現代の通信社会(4G)から、人工知能が能動的に社会問題を解決するようになると期待されている。自動車の自動運転などは、その一例だ。

5Gで“あり得ない”が現実に 変化への備えはあるか

 5Gの普及した先には、住まいや移動、健康など日常全般に生じるストレスから解き放たれた世界がある。メガネ型や指輪型など様々なウエアラブル端末、クルマや街に設置された膨大な数のセンサーなど、人手を介さずにデータをやり取りするネット端末が普及し、あらゆる領域でIoT(モノのインターネット)が進む。そこで作り出される社会基盤が、企業、そして国家の競争力をも左右することになる。各国が5Gに関して国を挙げて先進性を競う理由はここにある。

全産業が激変、「5G」に世界中が群がる

 実際、各国の企業は既に5Gをいち早く導入できるよう、準備に躍起になっている。2019年4月2日、韓国の通信大手KTは、世界で初めてとなる「5G」の商用サービスを5日に開始すると発表した。しかし、米大手のベライゾン・コミュニケーションズがこれに対抗。4月3日、予定を約1週間前倒ししてサービスを開始して「世界初」の称号を奪取した。すると今度は4日午前、韓国最大手のSKテレコムとKTが、「3日午後11時に開始した」と発表し、「韓国が世界初」と改めて宣言。ベライゾンより1~2時間、早かったとこだわりを見せる。

5Gで変わるゲームルール、次の「GAFA」を狙え

 こうした競争に勝つことができれば、従来の競争はいったんリセットされ、世界を席巻するテックジャイアント、「GAFA」たちの立場も危うくなる可能性がある。彼らはこれまで、通信技術の世代変更のタイミングで新たな商品・サービスを打ち出すことで「勝者」に君臨している。つまり、次の時代に5Gに最適化されたサービスやプロダクトを生み出すことができれば、次のGAFAになることができるかもしれない、と言うわけだ。

いまさら聞けない 5Gの5つの疑問

 一方で、ある種「バズワード」化してしまっている5Gに対して、疑問を抱く人も少なくないだろう。例えばそれは、5Gの名称の由来だ。それは、5Gは各国の通信会社や関連機関が話し合って定める無線通信の国際規格の第5世代に当たるからだ。また、その通信速度についても諸説あるが、実際のところはどうなのだろうか。これに関しては、4Gと比較するとわかりやすく、5Gの速度はその20倍と言われている。その他の疑問が気になる方は、以下の記事を参照されたい。

米国の圧力でも拡大続く “ファーウェイ5G生態系”

 そんな中、5Gの対応でいまもっとも先行しているのは、中国・華為技術(ファーウェイ)だ。同社の成長戦略の要となっているのは、意外にもパートナーシップ。米政府が圧力をかける一方で、以前から協業することを表明してきた。

アップルが5Gスマホを2020年投入、クアルコムチップ搭載

 そんなファーウェイを追いかけているのが米アップルだ。米CNBCによると、同社は5Gに対応したスマートフォンを、2020年に米半導体大手のクアルコムと、韓国サムスン電子のチップを搭載して投入するという。アップルはかつて、特許を巡ってクアルコムと争っていたが和解。同社から再びチップを購入することになる。

ファーウェイ初の5Gスマホ、8月発売へ

 そんなアップルを尻目に、ファーウェイはスマートフォン「Mate20X」の5G対応モデルを2019年7月26日に発表。これは同社初の5G対応スマホで、その後8月16日に中国で販売が開始された。

アップル、通信半導体入手し5Gでファーウェイ追う

 同社のスマホ「Mate 20 Pro」は、LTE通信装置内蔵のSoC(システム・オン・チップ)を採用している。一方、ほぼ同時に発売されたアップルの「iPhone XR」に採用されたSoCは未対応だ。そこでアップルは、米インテルから移動通信用の半導体部品事業を買収。これは、5G分野でファーウェイを追うための決断だったと推測できる。

富士通社長、5G基地局の受注に意欲

 ここまで、グローバルな視点で各国の企業の5G対応を見てきた。次に国内の状況を見ていこう。富士通は2018年10月、スウェーデンの通信機器大手、エリクソンと提携。また、本格化する5G関連の受注合戦に備え、NECが10月に韓国サムスン電子と提携するなど、メーカー同士が連携して足りない技術を補完する動きが加速している。

5G前哨戦に乗り出す携帯大手、KDDIは新料金、SBはデモ注力

 また、KDDI、ソフトバンク、NTTドコモの国内通信大手3社は、2020年3月ごろに相次いで5Gの商用サービス開始を予定している。それぞれ、5G時代を想定した新たな料金プランの発表や、5Gを活用して、テクノロジーの利便性を体験するサービスを提供している。

KDDI高橋社長「5G時代は定額使い放題に」

 KDDIの高橋 誠社長は、5G時代には、定額制の導入が当然の流れになってくるだろうと語る。さらに、スマホ向けなら、月額7500~9500円ぐらいの水準が現実解と言えそうだと付け加えている。また、5Gの普及について、当面は4Gと5Gのハイブのリッド状態が続くだろうと推測。完全に切り替わるのには、5年ほどの期間が必要だろうとの見解を示した。

最後に

 ここまで、5Gの可能性と、国内外の対応状況を紹介してきた。また、5Gは私たちの生活を大きく変える可能性を秘めていることも、ご理解いただけただろう。

 私たちの生活が完全に5Gに切り替わり、その恩恵を受けるまでにはまだ少し時間がかかりそうだ。しかし、いまから世界の企業がどのような対応を進めるか、今後注視していく必要がある。

 さらに詳しい記事や、会員限定のコンテンツがすべて読める有料会員のお申し込みはこちら