災害に見舞われ続ける日本。避難所生活の過酷さや仮設住宅のストレス、そしてその先にある災害関連死など問題は依然として山積している。今回はこれらの問題の一助となるトレーラーハウスの被災地活用についての記事を紹介する。

提言!災害関連死削減にトレーラーハウス活用を

 米国では当たり前となっている、被災地へのトレーラーハウス導入。

 ハリケーンなどの自然災害から、テロや大規模鉄道事故などあらゆる災害に対応する米国のFEMA(連邦緊急事態管理局)のトレーラーハウスの活用は特に有名だ。

 日本でもトレーラーハウスは阪神淡路大震災では簡易の診療所や集会所、仮設店舗などにも活用された。

 しかし、防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏によると、熊本地震の発生後半年、死者145人で、このうち「災害関連死(災害後の体調悪化などによる死亡)」は95人にものぼるという。被災による死者が50人であるのに対して、災害後の災害関連死が95人と大きく上回るのは由々しき事態だと語る。

緊急支援にトレーラーハウスが被災地熊本へ!

 アメリカでは災害が起きれば、翌日には貨物列車やフリーウェイを利用しておびただしい数のトレーラーハウスが被災地に運び込まれるという。このスピーディーさ、スケールの大きさを日本はいまだまねできていない。

 日本には災害の被災者に関連した法律がいくつもあるが、手続きの煩雑さなど被災者に優しい内容とは決して言えないのだ。また公的機関も被災しているため、被災者支援まで手が回らないという実状もある。

 このような状況の中、熊本地震では福祉避難所としてトレーラーハウスが日本では初めて活用された。

日本初、熊本の避難所がトレーラーハウスを導入

 熊本にトレーラーハウスが活用された事例について、こちらの記事もチェックしておきたい。

 病人や妊産婦の方々のために必要な福祉避難所として、熊本地震の被災地である益城町は初めてトレーラーハウスの導入を決断した。一般の避難所では対応できない妊産婦や介護の必要な高齢者などを対象とする福祉避難所である。

 益城町内では福祉避難所のニーズは80世帯ほどあり、トレーラーハウスが100台あればまかなえると考えられる。そして日本には福祉避難所として活用できるトレーラーハウスが400台ほどあるため、トレーラーハウスの設置場所さえ確保できれば、災害には十分対応可能だという。

トレーラーハウスの被災地活用、熊本の次は?

 益城町で福祉避難所として初めて使われたトレーラーハウスは、どのようにして提供されたのだろうか。

 熊本地震の際に活躍したトレーラーハウスは、タレントの清水国明氏が運営するレスキューRVパークが提供した。移動費用などはすべて手出しのため収支は真っ赤だという清水氏だが被災者の喜ぶ顔に救われたという。

 レスキューRVパークは民間運営のため、経済的な負担が大きく、民間だけですべてをまかなうには限界があるとも感じている。またトレーラーハウスが初めて活用された熊本地震以後、トレーラーハウスの活用をどのように継続していくかは大きな課題だ。特にコスト面の課題が大きいと話す。

被災地支援の切り札、トレーラーハウスを仮設に

 コスト面の問題があるとはいえ、毎年のように災害に襲われる日本では、避難所生活の改善は急務だ。

 避難所や仮設住宅の劣悪な環境が注目されたのは阪神淡路大震災からであり、避難所生活は過酷を極めていたという。東日本大震災でもその状況は変わらず、被災後2カ月経過しても、まだ段ボールベッドを使っていた被災者がいたという。

 このような避難所の状況を打破すべく、2018年の西日本豪雨では、被災地である岡山県倉敷市において初めて「応急仮設住宅」として、トレーラーハウスが公的に運用された。日本発のトレーラーハウスの仮設住宅活用だ。

 ただし、必要なトレーラーハウスの数がそろわないことやトレーラーハウスを設置する場所がないことなどの懸念もある。こうした懸念について、平時はトレーラーハウスをレジャー用として活用し、有事には被災地に運び込むことというレスキューRVパーク構想が挙げられる。現在、日本各地で常時500台を配備できる準備が進められている。

なぜ被災地でトレーラーハウスか?市長に聞く

 日本で初めて、応急仮設住宅としてトレーラーハウスを公的に活用した倉敷市の伊東香織市長は、トレーラーハウスの導入について、少しでも早く安心できる快適な生活を被災者に届けたかったと語る。

 倉敷市が仮設住宅としてトレーラーハウスを導入した時は、災害から2カ月を経過していたが、土地の選定や整地などの作業に時間を要したとのこと。

 トレーラーハウスを仮設住宅として利用するには、トレーラーハウスごとに形状や仕様が異なる点が気になるという。入居者には十分な説明を行い、入居者にも居住において工夫が求められる。

 多様なトレーラーハウスだからこそ、画一的な仕様の仮設住宅に比べて柔軟に対応できる面もあるが、仕様面や入居者の工夫は今後の課題となる。

使って分かったトレーラーハウスの利点と課題

 トレーラーハウスの仮設住宅にはメリットが多いことが分かった。

 しかし従来のプレハブには迅速かつ大量に仮設住宅を設置できるというメリットがあるため、どちらが良いという問題ではない。トレーラーハウスという選択肢があることがとても重要だ。

 ただしトレーラーハウスが運び込まれても、電気・水道・ガスなどのライフラインが復旧するまでは使えない。さらにトレーラーハウスにライフラインをつなげる工事は、自治体の指揮の下で行われるため、トレーラーハウスが使えるようになるまで1カ月かかったという事例もある。

最後に

 トレーラーハウスを福祉避難所、仮設住宅として利用する可能性や今後の課題について解説した。プレハブ型仮設住宅は迅速かつ大量に設置できるメリットがあるが、トレーラーハウスにも大きなメリットがある。それぞれのメリットを生かし、被災者を第一に考えた被災地対応が求められている。

 トレーラーハウスを活用した熊本地震や西日本豪雨の事例が、今後も生かされることに期待したい。

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