さまざまなIT技術を駆使し、店員不在で販売を行う無人店舗。コンビニなどの店舗を中心に、人件費を削減する取り組みとして注目を集めている。今回は過去記事の中から、「先進国」の中国と日本国内の取り組みについてピックアップする。

コンビニなどで導入が進む「無人店舗」とは

 無人店舗とは、デジタル技術の活用により「無人化」した店舗のことだ。無人店舗の「先進国」は中国といわれ、コンビニだけでなくカラオケやジム、レストランなどでも無人化の取り組みが進んでいる。日本の無人店舗はコンビニが主流だ。

 無人店舗は多くの場合、IDカードやスマホによる本人認証と、店内にくまなく設置したカメラ、商品に取り付けたICタグなどを利用する。客の動きをカメラで認識し、AIによって購入の有無を判断し、キャッシュレス決済をするのが一般的だ。

 このような無人店舗の導入メリットは「人件費の削減」だ。「万引き防止」などの犯罪防止効果もあるとされる。一方で無人店舗の導入には多大な初期投資が必要だ。現時点では公共料金の支払いや宅配便の受付など、「販売」以外のサービス対応は難しい。

 この記事では無人店舗に関する国内外の事例とその効果について、過去記事から紹介していく。

アマゾン超えた? 上海に登場した無人コンビニ

 中国は無人コンビニの出店が多い。2016年8月には広東省中山市、2017年6月には上海市などで「ビンゴボックス」という店舗が登場した。

 コンテナ型の小さな店舗に入るには、あらかじめ「微信(ウィーチャット)」による本人確認が必要。その後、店舗の入り口にある2次元バーコードをスマホアプリで読み取ると鍵が開く。商品に取り付けた独自のチップで商品と金額を読み取り、微信支付(ウィーチャットペイ)や支付宝(アリペイ)でキャッシュレス決済し売買が完了する。

無人カラオケボックスが中国で急成長

 中国には、ミニカラオケと呼ばれるカラオケの無人店舗もある。ショッピングセンターなどに設置された1~2人用の無人カラオケボックスだ。

 ミニカラオケを利用する際もウィーチャットで登録し、スマホで料金プランの選択をする。「手軽に暇つぶしができる」ことからミニカラオケは人気を集めており、2019年には140億元(約2400億円)まで市場が拡大している。

広場に突如、無人のジムボックスが登場

 2018年9月には無人のジムボックスサービスも登場。スマホアプリから利用登録をするもので、2畳程度のスペースにランニングマシンが設置され、24時間いつでも利用できるという。利用料金は1分0.2元(約3.2円)と手ごろだ。

コンビニ、省人化競争そろり

 日本では2018年12月に、セブン-イレブン・ジャパンが初の「省人型店舗」の実験店をオープンした。「無人」ではないものの、登録者のみ入店できる仕組みや、「完全キャッシュレスのセルフレジ方式など、無人店舗と大きな違いはない。

 一方、ローソンは家電・ITの見本市「CEATECジャパン」に無人決済店舗を出店。JR東日本も赤羽駅ホームで無人店舗の実験をするなど、省人・無人の取り組みが広がっている。

高輪ゲートウェイの無人コンビニ 人件費80万円の削減効果

 2020年5月、JR高輪ゲートウェイ駅の2階コンコースに無人コンビニ「TOUCH TO GO」がオープンした。天井に設置したカメラやセンサー、AIによる画像分析などを活用。店内スタッフの無人化に成功したという(ただしバックヤードにスタッフが1人いる)。

 店舗を運営するTOUCH TO GO(東京・港)は、このシステムの販売も目指す。同規模の店舗なら月額80万円だというが、これは一般的なアルバイト従業員1人分程度の金額だ。

無人店舗が直面する3つの虚実

 一方、「小手先の無人化は意味がない」との指摘もある。専用アプリなどで利用者登録、商品の読み取り、決済などを行う無人店舗は多いが、アプリをうまくダウンロードできない利用者などに対応するため、結局スタッフが常駐している。

 無人店舗が一時的なブームで終わるのか、コロナ後も続く新しい小売りの形になるのか、各社の模索が続いている。

最後に

中国などを中心に利用が進む「無人店舗」。コンビニ、レストランやカラオケボックス、ジムなど、さまざまな「店舗」が新しい販売スタイルに取り組んでいる。消費者にとっては新たな選択肢となるが、コロナ後も続いていくのか、引き続き注目していきたい。

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