インターネットなどを介して行う電子的な商取引を「電子商取引(EC、Eコマース)」という。電子商取引はIT(情報技術)技術の進歩とともに発展し、新型コロナウイルス禍の現在においてもなお勢いを増している。今回は過去記事から、注目すべき最近の事例を振り返る。

コロナ禍でも拡大を続ける「電子商取引」とは

 電子商取引とはインターネット上などで行われる電子的な商取引のことだ。電子商取引はEC(Electronic Commerce)やEコマースと表現されることもあり、特に国境を越えた電子商取引については「越境EC」と呼ばれることも多い。

 電子商取引はインターネット技術やIT機器の進化とともに発展し、コロナ禍の現在もその勢いは世界中で増す一方だ。一方で国内の法整備は電子商取引の急速な進歩に追いついておらず、政府も「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」などの制定や改訂を繰り返しつつ、電子商取引の推進と適正な規制に努めている。

 この記事では、コロナ禍で注目を集めた国内の電子商取引事例を中心にピックアップしていく。

急増ネットスーパー需要、アプリで取り込み狙うイトーヨーカ堂

 コロナ禍が続く中、電子商取引で商品を購入するネットスーパーの需要が拡大している。スーパー大手のイトーヨーカ堂でも2020年6月に新たな専用のスマートフォンアプリを導入し、ライバルとの競争で落としていた売り上げの回復を狙う。

 一般的にネットスーパーは配送効率が悪く、「店舗に比べて利益率が低い」とされる。それでも同社では、首都圏を中心とした59店舗からの配送について繁閑に応じて配送料が変動するダイナミックプライシングを導入したり、配達の7日前から注文を可能にしたり、といった工夫で、ネットスーパー事業の継続を目指している。

激化するネット通販の時短競争 お届けは「当日」から「15分」に

 電子商取引の弱点は、注文から配達までの「タイムラグ」だとされる。ネット通販各社は、その弱点の克服を目指して激しい競争を繰り広げている。

 たとえばヨドバシカメラでは、東京都23区全域や一部の政令指定都市などで「最短で2時間半以内」の配達サービスを提供し、ヤマダデンキは福島県の一部地域で「90分以内」の配達を行う(現在は対象地域を拡大)。Zホールディングスが始めた実証実験は、日用品や食料品を「最短15分」で届けるというものだ。

鬼滅、トレカ、ホロライブ、世界のオタク化加速する「越境EC」

 一方、日本から海外に向けた「越境EC」も盛んだ。トレーディングカード、コミック、人気VTuber(バーチャルユーチューバー)グループの限定グッズなど、主に日本の「オタク層」に人気の高い商品が世界で売れているという。

 こうした現象について、関係者は「コロナ禍をきっかけに、世界のオタク化が進んだ」と分析する。越境ECの拡大がコロナ後にどのような変化を遂げていくか、関心が集まっている。

展示会をバーチャル空間で 強み生かし畑違いの新事業で成功

 「オンライン展示会」と呼ばれる、仮想空間に設置したショールームの活用が増えている。コロナ禍でさまざまなイベントが自粛される中、仮想空間でのイベント開催は大きな注目の的だ。

 システムを開発したのは東京・渋谷のスペースラボ。もともとは商業施設の建築パースなどを手がける会社だが、新型コロナで商業施設関連の依頼が減る一方、新たなサービスとしてCG(コンピューターグラフィックス)技術を使ったオンライン展示会のサービスを始めた。同社では今後、この技術を電子商取引の分野にも活用していきたい考えだ。

柔道着の生地を使ったマスクやTシャツ 目新しい商品が話題呼ぶ

 電子商取引が盛んな業界のひとつにアパレルがある。経済産業省の調査によるとアパレル業界のEC市場は右肩上がりで拡大しており、2020年の市場規模は前年比約16%増となる2兆2200億円に上ったという。

 その一方で、アパレル各社には業界内の激しい競争を生き抜くための工夫も必要だ。たとえば老舗柔道着メーカーの九櫻(くさくら)では、柔道着に使用する「刺子(さしこ)生地」を使ったマスクやTシャツ、ブルゾン、パーカーなどを次々に開発、クラウドファンディングサービスで販売している。さらに一部のアパレル企業では、中国で盛んな「ライブコマース」の手法を取り入れる動きもあるという。

メルカリ、「フリマアプリ」からの脱皮

 フリマアプリの代名詞メルカリも、電子商取引の分野に力を入れ始めている。メルカリアプリの中で事業者が出品を行う「メルカリShops(ショップス)」がそれだ。メルカリが手がける新たなサービスは、これまで楽天グループやアマゾン・ドット・コム、BASE(ベイス)など複数のサービスを利用してきた事業者からも注目を集めている。

最後に

 ここ数年、右肩上がりの成長を続けてきた電子商取引(EC)。コロナ禍の影響で外出自粛が続く中、さらに成長を続けると予想されている。生鮮食品を扱うネットスーパーの拡大、配達の時短競争、越境EC、オンライン展示会など、バラエティー豊かな電子商取引。こうした動きがコロナ後にどのような変化や進化を遂げるのか、事業者も消費者も注目している。

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