共働きとは、夫婦が共に非雇用者として就労することをいう。このような「共働き世帯」は統計開始以降、ほぼ一貫して増え続けているが、それでも職場における男女間の賃金格差、待遇格差は依然として社会問題となることが少なくない。今回はこれまで掲載した記事の中から、共働きの実態と課題に関するトピックを紹介していく。

全世帯の4分の1を占める「共働き」

 共働きとは、夫婦そろって被雇用者として就労することをいう。このような家庭は共働き世帯と呼ばれ、その数は(統計が公表されている1980年以降)おおむね上昇傾向にある。特に2010年ごろからはその傾向が顕著で、2010年の1012万世帯に対し19年には1245万世帯と、大幅に増加している(『令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-』より)。ちなみに同じ年の全国の世帯数は5178万5000世帯で、そのうちのほぼ4分の1が共働き世帯という計算だ。

 共働き世帯の増加にはさまざまな理由が指摘されている。たとえば「産業構造の変化で男性を重用する2次産業から女性の多い3次産業従事者が増加」したことや「若年層を中心に賃金水準が低下し、生活を支えるために既婚女性の就労が求められる」ようになったという理由だ。だが共働き世帯が増えても男女間の賃金格差や職場での待遇の格差は根強く残っており、結婚や出産を機に退職を迫る「共働きハラスメント」が問題になることも多い。

 この記事では共働きをテーマに取り上げた過去記事から、注目の話題を振り返る。

共働き世帯の家事分担、夫は3割の不平等 それでも円満の秘訣

 夫婦が共に働く「共働き世帯」でも、家庭内は平等でないケースが多い。リクルートが19年に公表した「週5日勤務の共働き夫婦 家事育児 実態調査2019」によると、1039組の共働き世帯のうち「家事育児の実施割合は妻が7割、夫が3割」だったという。とはいえ「仕事と家事育児を両立したいと思っているが、できていないと感じている夫は5割を超える」との報告もあり、夫の側に必ずしもやる気がないわけではないこともうかがえる。

 この背景にあるのは「男性のほうが、子育てに対する周囲の理解が得られにくい」「男性は家事育児について相談する相手がいない」といった事情だという。

駄言のキングは「家事、手伝うよ」!?

 共働き世帯における夫婦の格差は、21年になっても依然として存在する。かつての「男は仕事、女は家庭」という固定観念は、今では「男は仕事、女は仕事と家庭」になっているという。

 若い世帯では男女ともに「妻も夫も(育児や家事を)同様に行う」と考える割合が多いというが、それでも女性による「ワンオペ」が大半だ。こうした風潮や固定観念を変化させるためには、政府による男性の育児休業取得の義務化といった「家の外からの強制力」も必要だ。

パートタイマー「130万の壁」

 共働き世帯では、妻が低所得のパートで働くケースも多い。その原因のひとつとされるのが配偶者控除だ。配偶者控除とは配偶者の収入が一定基準内の場合に受けられる所得控除のことで、16年当時は「103万円以下」が基準とされていた(現在は改正)。また収入が103万円という金額が所得税の課税・非課税のボーダーラインであることや、収入が130万円を超えると年金や健康保険など社会保険料の負担が生じることも、妻が正規労働者を選びにくい理由とされている。

 こうした課題に対し、政府も「配偶者控除の見直し」を検討するなどの動きを見せるが、社会保障制度全体の見直しは容易ではない。

働き方改革、失速の懸念も

 安倍晋三首相が「最大のチャレンジ」としていた働き方改革(16年当時)。社会進出の妨げとして問題視されていた配偶者控除の廃止も検討されていたが、議論は進まず早々と見送りになった。当面は「103万円以下」とされている妻の年収要件を引き上げるなど、小幅な見直しを行っていく方針を打ち出していた。

東京海上は専門役員を設置、若手女性リーダーは半数以上

 共働き世帯の男女格差が問題視される中、「準リーダー層の半数以上が女性」というインパクトのある人事を行っているのが東京海上ホールディングスだ。その背景にあるのは「不確実性のある問題に対処するには、ダイバーシティーが礎となる」という理念。このダイバーシティーには、もちろん性別も含まれている。

 保険業界でもかつては「女性が事務、男性が営業」という区別が存在していたという。しかし同社では、08年より性別による仕事の区別を無くすプロジェクトを実施し、19年度までに女性の営業職員を10倍以上にまで増加させた。結果として保険業界でのマーケットシェアも改善するなど、大きな成果が見られているという。

最後に

 ここ数年、共働き世帯の数は上昇傾向にある。すでに全世帯の4分の1近くが共働き世帯だが、男女間の賃金格差や、家庭内で女性に負担が偏るといった課題も少なくない。政府や民間企業の中には、男女間の格差を解消し、女性の活躍を促進しようとする動きも見られる。共働き世帯の女性がどのように活躍の場を見いだしていけるのか、引き続き見守っていきたい。

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