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 先進国の中でも、いち早く少子化の問題に直面している日本。

 この未曾有の社会課題は、いつから深刻化していったのだろうか。また、民間企業の取り組みや教育費問題、そして少子化問題とAIとの関わりなど見逃せないトピックを中心にまとめている。本誌過去記事を辿りながら、重要なトピックをおさえていこう。

日本はどのようにして少子化に突入していったのか

 1974年、日本人口会議が開かれたことをご存知だろうか。厚生省と外務省が後援したその会議において、「子どもは2人まで」という趣旨の大会宣言が採択された。それにともなって日本の人口動態は大きく変化していった。

 また、経済成長によって社会構造が急激に変化し、社会福祉などの諸制度が追いついていなかったこと、日本の権威主義的な家族制度が、より少子化を加速させたとされている。

少子化対策で重要なのは「人口を増やすこと」なのか?

 ところで、出生率を上げようとする少子化対策は、成長戦略として本当に有効なのだろうか。

 現在の日本の社会システムは、人口が右肩上がりで増えていくことを前提に作られてきたが、人口減少の問題点は、経済規模の縮小よりも、こうした社会システムが破綻することにある。無理に人口を増やすような政策を続けるだけでなく、これらの社会システムを現状に合うように作り変えていくことを優先する必要がある。

フランスの少子化対策「シラク3原則」とは

 他国の状況についても見ておこう。

 いち早く少子化対策に本腰を入れたフランスは、「シラク3原則」という政策をすすめた。

 それは、子どもを持った人に新たな経済的負担を生じさせないこと、無料の保育所を完備すること(待機児童ゼロ)、育児休暇から復帰したときには、ずっと勤務していたものとみなして企業側は受け入れる、という内容だ。実利的な待遇と精神面、両方を支援する政策を推進していった。

ANA、サイボウズは、少子化対策にどう向き合う?

 民間企業は少子化対策にどのように向き合っているだろうか。

 厚生労働省の推計では、2053年に日本の人口が1億人割れする見通しとなっている。少子化を食い止めるために企業はどう取り組むべきか。

 ANAホールディングス・片野坂真哉社長は、「休職率を加味した人材採用」を実施している。また、サイボウズ・青野慶久社長は、男性の育児参加だけでなく「ベビーシッターの拡充」について提唱している。

ユニ・チャーム、伊那食品工業の取り組む働き方改革とは

 引き続いて、民間企業の事例をご紹介する。

 ユニ・チャームの高原豪久社長は、子育て後の新卒入社も可能にした制度構築を行なっている。また、制度だけでなく企業にできる価値観醸成の機会を多く提唱している。

 伊那食品工業の塚越寛会長は、雇用増加を起点として、育休から復帰しやすくし、社員が戻ってきやすい環境の整備に務めているとのこと。

増える教育費の負担軽減は、打開策となるのか

 少子化の流れにますます拍車をかける要因として、所得や教育費の問題も無視できない。

 所得が伸び悩み、教育費負担が重荷となっている現状を打開するためには、今後、金融リテラシーの向上が欠かせない。子育て世代への資産移転、運用や効率活用につなげ、教育の機会を充実させることが不可欠だ。

AIの発展は少子化・人口減少にどう関わるのか?

 AIと少子化の問題についても見逃せない。

 AIによる自動化によって今ある仕事が代替され、労働需要が減る可能性も議論されている。

 一方で、少子化、高齢化によって労働供給も減りつつあるという課題もある。「AI失業」と「人口減少」はどのように影響し合うのか、マクロ経済学の観点から整理している。

最後に

 日本の少子化の現状と対策についてご紹介した。この未曾有の課題は現状の打開策はもちろんのこと、どういった仕組みや制度を経て、今に至るのかを再度理解しておくことが重要だろう。

 日本だけにとどまらず、ドイツや韓国といった先進国でも少子化は年々深刻化している。国内だけでなく、各国での取り組みも見逃せない。