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「ドイツ最大の民間銀行」として知られるドイツ銀行。長らく経営年不振や破綻の危機などのニュースが取り上げられており、世界中への影響を危惧する声も少なくない。
本記事では、2019年に報道されたドイツ銀行に関するニュースをまとめてご紹介する。

ドイツ銀行とは

 1870年、ドイツ銀行はベルリンで創立された。もとはドイツ帝国(統一ドイツ)の資本海外進出を目的に創立され、海外貿易に特化した銀行として始まっている。

 19世紀においては、横浜や・海など海外進出に動くも、海外支店はいずれも閉鎖。国内銀行の買収によって力をつけた後、オスマン帝国やアメリカの企業買収にも精力的に動いた。

 第二次世界大戦の前後においては、ナチ党(国家社会主義ドイツ労働者党)の指示を受け、ユダヤ系の役員を追放するなど、歴史における「影」の側面も見せる。

 戦後は東西ドイツ分割にともない、10の銀行に分割。その後、再統合を受けて、1957年に「ドイツ銀行」は復活。戦後ドイツの経済発展を支えた。

 投資銀行業務はさらに拡大し、1998年の米バンカーストラストの買収、そして1999年にさくら銀行(現・三井住友銀行)に名乗りを上げたことは記憶に新しい。

 こうした急速な拡大路線で強さを見せつけるものの、2008年のリーマン・ショック以後、株式売買による収益も低下し、経営不振が続いていた。

 以下、各ニュースを見ていこう。

カタールから追加出資のコミットメント確保

 財務基盤の強化が経営課題になっているドイツ銀行は、カタールから追加出資のコミットメントを確保した。なお、ドイツ銀行は2014年にもカタール王族(シェイク・ハマド・ビン・ジャーシム・アルサーニ氏支配の投資会社)による出資を受けており、11億ドルの自己資本増強を行なっている。

独コメルツ銀行と統合交渉を正式表明

 以前より、独コメルツ銀行や独政権幹部と頻繁に話し合いを重ねていると報じられていたが、2019年3月17日に統合交渉を進めていることを正式に表明した。また、ブルームバーグによれば、以下、ドイツ銀行のクリスティアン・ゼービング(最高経営責任者)が以下のように述べたとのこと。

 「ドイツおよび欧州の銀行セクターの統合がわれわれにとって重要な問題であることを私は常に強調してきた」。「その具体化においてどのように役割を担うかをわれわれは考える必要がある」と述べている。

 統合により、大きな人員削減が実施される可能性も危惧されていた。

重なる問題の末、コメルツ銀行との統合交渉は打ち切りに

 2019年4月25日、ドイツ銀行とコメルツ銀行は統合交渉を打ち切ったと表明した。

 リストラを警戒する労働組合の反発などの問題が重なったことが原因とされている。また、ドイツ銀行とコメルツ銀行が共同で発表した声明によれば、統合した場合に発生する執行リスクや再編費用、より資本要件が厳しくなっていくことを指摘している。結果として、株価の低下を招く事態となった。

アハライトナー会長が再任

 ブルームバーグによれば、株主の間でパウル・アハライトナー監査役会会長への不満が高まっていると報じられていたが、アハライトナーの再任が、5月23日承認された(フランクフルトで開催された年次株主総会にて)。

 株主総会での賛成率は昨年(84.4%)より低い、71.6%だった。

不良資産の切り離し準備を検討する動きも

 経営再建が迫られる中、不良資産の受け皿となる資産管理会社(バッドバンク)の設立や資産売却などを検討する。

 切り離しの対象となるのは主にデリバティブ関連の資産とみられており、投資資銀行部門は大幅な縮小を迫られることになる。

最大2万人の人員削減の可能性も?

 再建計画の一貫として、1万5000人〜2万人の人員削減を検討していると報道されている。その数は投資銀行部門の半分の従業員に当たる。ゼービング最高経営責任者(CEO)は5月の株主総会で「大胆な縮小の準備はできている」と語っており、経営の不安定要因になっている投資銀行部門を、大幅に縮小する姿勢を示している。

経営不振の最大の原因はグローバル化できていなかったこと

 そもそも、世の中を賑わせているドイツ銀行の経営不振は、どのような問題が起点となっているのだろうか。

 リーマンショックが、その大きな分岐点になっていると考えられる。

 米金融機関は株式売買業務を縮小し変化に対応したものの、ドイツ銀行は対応が遅れ、低迷していった。

 その要因は、組織内の「グローバル化」が遅れていたことが起因していると言える。今やグローバル企業にとって経営陣の多様性は不可欠である。

 例えば、ドイツ銀行と並んで、ドイツを代表する企業であるシーメンスの取締役には欧州域外の出身者がいるなど、大企業の事例としては枚挙にいとまがない。

 しかしながら、ドイツ銀行においては取締役会、監査会など、経営陣ののグローバル化は進まず、特に米国でのリスク対応を遅らせたと分析する。

 詳細は、ロンドン支局:大西孝弘による「特派員レポート」に詳しい。

最後に

 2019年に本誌で報じた、ドイツ銀行の動向やニュースについてご紹介した。今後、ドイツ銀行の破綻は起こり得るのだろうか。

 近年のCEO解任劇、コメルツ銀行との統合交渉が破談、大幅な人員削減など、いずれにしても今後もドイツ銀行の動向から目が離せない。