インキュベーションとは、新たなビジネスの誕生を支援する取り組みのこと。民間企業や自治体、大学などが支援者(インキュベーター)となり、スタートアップ企業や起業志望者に活動場所、資金、ノウハウを提供する。今回は日本国内のさまざまなインキュベーション事例について振り返る。

新規ビジネスの孵化を促す

 インキュベーションとは、設立したばかりのベンチャー企業や起業志望者などの支援を意味する。英語で「incubation」は卵の孵化(ふか)を意味するが、転じて新事業の誕生を促すことを指す。

 インキュベーションには、支援対象に活動拠点を提供するもの、資金やノウハウを提供するものなどがある。インキュベーションをする組織はインキュベーターと呼ばれ、民間企業はもちろん、自治体や大学が単独で、あるいは産学連携などでその役割を担うことがある。

 この記事では、さまざまなインキュベーションの事例について過去記事からピックアップしていく。

世界有数のスタートアップ基地が日本に進出?

 海外と比べ、出遅れているといわれる日本のインキュベーション。そこに一石を投じようとしているのが世界有数のインキュベーター、CIC(ケンブリッジ・イノベーション・センター)だ。

 CICの特徴はその規模にあるという。一般的なインキュベーション施設が1000平方メートルから2000平方メートル程度なのに対し、同社のセンターは10万平方メートルの広さを誇る。大規模なセンターの近くには投資家や大企業が集まり、それが相乗効果となり新たなビジネスを誕生させているという。

「皇居ラン」AI化のKDDI

 純国産のインキュベーターの1つが、大手通信会社のKDDIだ。「ムゲンラボ」というインキュベーション組織を設立し、インターネットの技術やノウハウを使った新事業の創出や、同社の「非」通信事業拡大のきっかけとなり得るスタートアップを支援している。

東大・松尾研でも起業ラッシュ

 東京大学も日本で指折りのインキュベーターだ。東大の産学協創推進本部が推進する教育プログラムやインキュベーション施設、ベンチャーキャピタル(VC)によって生み出された企業の中には、バイオのユーグレナ、ITのグノシー、医薬のペプチドリームなどのベンチャーが含まれる。こうした「先輩」たちが「後輩」ベンチャーを育てるという循環があるのも、東大発インキュベーションの特徴だ。

高島屋村田社長「発見のある売り場を」

 百貨店にもインキュベーション機能があるという。高島屋の村田善郎社長は「新しいライフスタイルを支える商品や文化の担い手を育てるインキュベーション機能こそが百貨店の魅力」と語る。同社では「作家を育てる」ために店舗内にギャラリーを設けたり、新しい「ロボット」製品の売り場を設けたりするなど実験的な取り組みにも積極的だ。

廃校をスタートアップ施設に

 自治体のインキュベーションで注目を集めているのが、名古屋市の取り組みだ。2017年に廃校となった小学校をリノベーションし、「なごのキャンパス」というインキュベーション施設に生まれ変わらせた。

 なごのキャンパスの運営には、トヨタ自動車系列の東和不動産や、パソナJOB HUB、名古屋商工会議所などが加わる。ベテランのノウハウを最大限に活用することで、「次の100年に続く産業」の育成を目指す。

ソフトバンク、投資先「発掘」から「生む」へ

 愛知県もインキュベーションに取り組んでいる。仏パリのスタートアップキャンパス「ステーションF」を参考に、日本最大級のスタートアップ支援拠点「ステーションAi」を設置する。

 施設の整備と運営を担うのはソフトバンク。狙いは、世界でスタートアップを発掘してきた孫正義社長のノウハウを投入し、日本発ユニコーンを育成することだ。

最後に

 スタートアップ企業の孵化を支援するインキュベーション。日本にも大手企業や大学、自治体などのインキュベーターがいくつも存在している。こうしたインキュベーションにより、どのようなベンチャーが生み出されてくるか、注目していきたい。

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