中小事業所を中心に、オフィス用品などの「翌日配達」サービスを手掛けるアスクル。大手文具メーカーの通販事業部としてスタートしたが、現在は文房具から生活用品まで幅広い商品を取り扱う。今回は同社をテーマとして過去記事から、注目のトピックを紹介する。

翌日配達が強みの「アスクル」

 アスクルはオフィス用品を中心に扱い、「アスクル」という社名は、翌日配達(明日来る)というサービスの特徴に由来している。

 文房具大手プラスの通販事業部として、1993年3月に事業をスタート。97年5月にプラスから独立し、2000年11月にはJASDAQ上場、さらに04年4月には東証1部(現プライム)市場に上場した。

 アスクルの通販事業は中小事業所向けサービスの「ASKUL」が中心だが、他にも大企業向けの「SOLOEL ARENA(ソロエルアリーナ)」や、個人向けの「LOHACO(ロハコ)」といったサービスもある。扱う商品は文房具だけでなく、飲料・食品、キッチン用品、医薬品、コスメなど多彩だ。

 この記事ではこれまでに日経ビジネス電子版で取り上げたアスクル関連の過去記事の一部をピックアップして紹介する。

アスクル、アマゾンは追わず次世代ECを先導

 12年にヤフーと資本提携契約を締結したアスクル。その後両社の共同事業として立ち上げたのがLOHACOだ。米アマゾン・ドット・コムや楽天グループといった強力なライバルと一線を画すため、同社はメーカーと共同で商品開発や販促を研究する「ECマーケティングラボ」を継続的に開催している。

水の会社を買ってやりたかったこと

 「配達に来た時にちょうどトイレに入っていて受け取れない」といった不満を解消するため、アスクルがロハコ向けに導入したのが「Happy On Time(ハッピーオンタイム)」という受け取りサービス。配達時間を1時間単位で指定できることで、再配達率を2.7%まで減らすことに成功した。

ヤマトとアスクルから見えた“物流危機”

 17年2月、アスクルの物流センター「アスクルロジパーク首都圏」で大規模な火災が発生した。稼働からわずか3年半と新しく、消防設備の設置基準も満たしていた。それにもかかわらず大火災を防げなかったことは、アスクルだけでなく業界全体に衝撃を与えた。

良い時は悪い時、悪い時は良い時

 アスクル創業者の岩田彰一郎氏は、倉庫火災について「最も記憶に残る落とし穴」と表現する。「明日来る」はずの配送が12日後となり、多くの顧客から叱責された。一方で全国から有志の社員が集まって復旧や配送に尽力してくれたこと、半数以上の顧客が配送の遅延を受け入れてくれたことなど、「うれしいこともあった」という。

ヤフーとの対立の背景にソフトバンクの影

 19年に入り、アスクルとヤフーの関係が悪化している。ネット通販事業を強化したいヤフーがアスクルに対しロハコの譲渡を検討するよう求めたという。これに対しアスクルの岩田彰一郎社長(記事掲載当時)は「成長事業を支配株主(ヤフー)に乗っ取られようとしている」と警戒感をあらわにした。

10年目の決断 復興支援、寄付より「インパクト投資」

 アスクルが10年に渡り取り組んでいるのが東日本大震災の復興支援だ。対象となるアスクルオリジナルデザイン商品の売り上げの一部を被災地の産業復興支援に役立てる「寄付付き商品」を販売している。

アスクルと日野、宅配トラックのEV化探る

 アスクルは日野自動車と共同で「EV(電気自動車)のトラックを使った配送」の実証実験を開始する。使用するのは日野の小型EVトラック。これまでも部分的にEVトラックを運用していたが、使い勝手に課題があったという。

最後に

 中小事業所向けのオフィス用品、個人向けの家庭用品など、幅広い通販を展開するアスクル。度重なる危機を乗り越え成長を続ける同社は、EVシフトなど国の未来を見据えた取り組みにも力を入れる。アスクルの挑戦と、それが物流業界全体に与える影響に引き続き注目していきたい。

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