次世代エネルギーへの転換によって脱炭素社会の実現に取り組むGX(グリーントランスフォーメーション)。日本政府は洋上風力や自動車・蓄電池など14の重要分野で脱炭素化の技術革新を後押しすることを表明し、NTTグループをはじめホンダ、トヨタ自動車といった企業も独自の取り組みを進めている。今回はGXをめぐる関係者の声や政府の動きを過去記事から振り返る。
新たな成長機会として日本でも注目を集める「GX」

GXとは「Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)」の略で、次世代エネルギーへの転換によって持続可能な社会を実現させる取り組みのこと。世界中で脱炭素社会の実現に向けた取り組みが進む中、新たな経済成長の機会として各国政府や業界から注目を集めている。
GXに向けた取り組みで先行しているのは欧米企業が中心だが、日本でもNTTグループをはじめ、ホンダやトヨタ自動車などが積極的な取り組みを開始。日本政府も「グリーン成長戦略」と呼ぶ産業政策を策定し、洋上風力など14の重要分野で企業の技術革新を後押しすることを表明した。
この記事ではGXをめぐる業界団体や政府の動きについて、過去記事から紹介していく。
日立やソニーに学ぼう 会社の抜本改革でゲームチェンジに備え
GXへの取り組みで先頭に立つ欧米企業。9兆円以上の営業キャッシュフローを原資にESG(環境・社会・企業統治)投資を行う米アップルもそのうちの一社だ。遅れている日本企業が巻き返しを図るには「技術や人、設備などに大規模かつ長期的に投資することが不可欠」だと、企業再生・産業再生のプロとして知られる冨山和彦氏は語る。そのためには「原資となるキャッシュを、がっちりと稼ぐことができるかどうか」が重要だという。
経団連の十倉会長「崖っぷちの資本主義を救え」
2021年6月に経団連の新会長に就任した十倉雅和氏。急逝した前会長・中西宏明氏の遺志を引き継ぎ「サステイナブル(持続可能)な資本主義」というキーワードを掲げ、「彼(中西氏)が最後の1年で進めたかったDXとGXをしっかり進める」と決意を語る。
十倉経団連会長 脱炭素・エネルギー安保に「投資400兆円必要」
ウクライナ危機を受けて日本でもエネルギーの安定調達や価格高騰のリスクが高まる中、経団連の十倉会長は「再生可能エネルギーと原子力、この2つを純国産エネルギーとして推進する以外に道はない」と強調する。日本にとって有利なクリーンエネルギーとして十倉氏が注目するのは「米国、インドネシアに次いで3番目の潜在能力がある」という地熱発電だ。
経済産業大臣・萩生田光一氏 「GX」では負けられない
岸田文雄内閣で経済産業相(記事掲載当時)を務める萩生田光一氏も、エネルギー危機を受けて「GX関連の政策を推進していきたい」と語る。政府は22年6月に閣議決定した骨太の方針に「グリーンイノベーション基金による支援拡充」を盛り込んだほか、「GX経済移行債(仮称)」で20兆円規模の政府資金を調達し、投資を支援していく計画だという。
経産省GX戦略キーマンが直言、「アンモニアと水素に勝機あり」
経済産業省の山下隆一氏は、GXを実現するための取り組みについて「単に脱炭素を進めればいいわけではなく、経済の成長発展があってこその脱炭素」と語る。それを実現するための新しいエネルギーとして注目しているのが、CO2(二酸化炭素)を出さない「アンモニア」と「水素」だ。
23年度予算 「防衛費優先、GX債・少子化対策財源先送り」論浮上
23年度に向けた予算編成の中で、大きな政策課題の一つとされるのが脱炭素推進策だ。政府は次世代送電網の整備や新エネルギーの分野において、今後10年間で官民合わせて150兆円超の投資実現を目指している。20兆円規模の「GX経済移行債」はその先駆けだ。
最後に
欧米を中心に、世界中でGXの動きが加速している。日本政府や日本企業もこの動きに付いていこうとしているが、その差はまだ大きい。国民生活やビジネスの基幹となるエネルギー分野や日本経済を支える自動車産業をはじめ、各分野のGXへの取り組みに引き続き注目していきたい。
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