低価格・高性能のスマートフォンからロボット掃除機、さらにはEV(電気自動車)まで手掛ける総合家電メーカー、中国小米(シャオミ)。2010年の創業以来、米アップルに酷似したマーケティング手法で急成長を遂げた同社の歩みや強さの秘密を、これまでの記事から紹介していく。
スマートフォンからEVまで手掛ける「シャオミ」

シャオミ(小米)は中国に本社を置く総合家電メーカーだ。同社の創業は2010年。高性能・低価格なスマートフォンや米アップルにも例えられるマーケティング手法で急速に成長した。2021年度の売上高は6.2兆円に達している。
シャオミの売り上げを支える大きな柱はスマートフォン事業だ。もともと「低価格なハイエンド機」を武器にシェアを拡大していたが、近年は端末価格を上げることで前年比37.2%増とさらに売り上げを伸ばしている。
一方同社はIoT(モノのインターネット)や生活関連製品事業にも力を入れており、広告やゲームといったインターネットサービス事業、さらにはEVも手掛けるなど幅広い分野で事業展開を行う。日本を含む海外展開にも積極的だ。
本記事では躍進するシャオミの歩みをこれまでの記事から振り返る。
忘れてはいけないシャオミ、その野望とは
急拡大する中国IT企業の中で、特に注目される企業の1つがシャオミだ。スマートフォン事業を柱とする同社は、創業からわずか4年で韓国サムスン、アップルを抑え中国国内でトップシェアを獲得した。
その後は華為技術(ファーウェイ)やOPPOなど中国内のライバル企業にシェアを奪われるものの、国外市場の開拓や家電製品の強化、サービス事業の強化によって独自のプラットフォームを構築している。
「ポスト新型コロナ」×「5G」で広がる中国の新ビジネス
中国では2019年11月から「5G」の商用サービスが始まったが、主流となるファーウェイやサムスンの5G端末が高価なこと、また新型コロナウイルス禍でスマートフォンの売り上げが落ち込んでいるといった事情でサービスの普及スピードは低調だ。
シャオミはそこに目をつけ、様々な価格帯をカバーする10機種の5G端末を2020年中に発売する予定だという(当時)。
三洋出身の私がなぜシャオミで炊飯器を作るのか
2016年に炊飯器を発売したシャオミ。開発に参加したのは三洋電機の大ヒットシリーズ「おどり炊き」シリーズの生みの親、内藤毅氏だという。
内藤氏は開発に参加した理由について、同社が「良いものを作り、ユーザーの信用を得て、ブランドを構築していくという考え」を持っていると感じ、「この会社が世界を変える様子を見てみたい」と思ったからだと語る。
シャオミのロボット掃除機に見る、低価格化によるイノベーション
シャオミの強みは同社のロボット掃除機にも生かされている。1999元(約3万円)という安価にもかかわらず、自己位置推定と地図生成を同時に行うSLAM技術を採用し、そのためにLiDARというセンサーを搭載する。それらの機能は他社の上位機種に引けを取らない。
無人店舗、現金お断り…小売先進国・中国の内情
シャオミは自社店舗の展開にも積極的だ。2017年11月には「見た目はほとんどアップルストアと同じ」というシャオミ旗艦店を深センに開設した。
同社の出店計画は中国で1000店舗、グローバルで2000店舗と大規模だ。自社店舗網の拡大を通して、今まで築いてきたグループ企業や協力企業のネットワーク「シャオミエコシステム」の拡大を目指している。
テスラやアップルに負けない スマホ大手シャオミ、EV参入の必然
シャオミがEVの分野にも進出する。2021年9月1日に新会社の「小米汽車」を設立し、500人規模のエンジニアを集めて「レベル4」(特定の条件下で運転を完全自動化する)の自動運転技術の研究開発に取り組んでいる。
同社がEVを手掛ける背景として指摘されるのは、スマホ市場の競争環境の変化や新興EVメーカーの成長、そして中国市場における米テスラの脅威だという。
中国の急成長ブランドから、ファン獲得の秘訣を学ぶ
シャオミの創業者、レイ・ジュン氏が掲げるキャッチコピーは「Just for Fans」(すべてがファンのために)というもの。高いコストパフォーマンスを追求する同社の姿勢は、「米粉」(ミィファンまたはビーフン)と呼ばれるファン集団を作り上げてきた。
最後に
急成長する中国市場の一角を占めるシャオミ。スマートフォンから生活家電に至るまでコストパフォーマンスに優れた製品を送り出す同社は国内のファン集団だけでなく、日本をはじめとする国外からも高く評価されている。最先端のEV開発にも取り組む同社の今後に注目するとともに、日本にも同様の企業が誕生することを期待していきたい。
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