世界190カ国以上で事業を展開するシスメックス。同社の主力事業は血液分析装置の開発製造だが、川崎重工業と共同で開発する国産の手術支援ロボットも注目を集めている。今回はこれまでに掲載した記事の中から、同社の取り組みや社長インタビューを紹介する。

世界190カ国以上でシェアを広げる医療機器メーカー

 シスメックスは1968年(昭和43年)設立の医療機器メーカーだ。同社は主力の血液分析装置をはじめ、尿検査装置、免疫検査用試薬などを手掛けている。すでに世界190カ国以上で事業を展開しており、海外売上高が全体の80%以上に及ぶという。

 シスメックスが関わる事業の中で、近年特に注目されているのが医療ロボットだ。川崎重工業と共同出資で設立した合弁会社、メディカロイド(神戸市)を通して開発した「hinotori」は、これまで米企業が独占していた手術支援ロボット市場で、価格優位性を武器にシェア拡大を目指している。

 本記事ではシスメックスが関わる事業、特に医療ロボットをめぐる話題と、同社を率いる家次恒氏のインタビューをこれまでの記事から紹介していく。

「3層構造」で稼ぐ検査サービス

 シスメックスの主力事業は、血液検査や尿検査などに使用する検査機器や検査用試薬の製造・販売だ。営業利益は2015年3月期時点で444億1100万円で、15期連続の増収が見込まれている(当時)。

 同社の好調な売り上げは、「ハード(装置)」と「ソフト(試薬)」の販売に加えて「サービス(きめ細かな顧客サポート)」も含めた、3層構造の収益体制に支えられているという。

米巨人「ダビンチ」に挑む日の丸手術ロボ群

 シスメックスが手術支援の医療ロボットの分野でも注目を集めている。これまで同市場は米インテュイティブサージカル社の「ダビンチサージカルシステム」が独占してきた。

 これに対し日本国内では大手からベンチャーにいたるまでさまざまな企業が対抗機種の開発に乗り出しており、その中に川崎重工とシスメックスが共同出資で設立するメディカロイドも含まれている。メディカロイドの強みは、産業用ロボットの分野における川崎重工の技術と、医療分野におけるシスメックスの知見だ。

川重とシスメックスの手術ロボ戦略に感嘆

 川崎重工とシスメックスが共同設立したメディカロイドは、独自開発した手術支援ロボットの19年の発売を目指している(当時。その後20年8月に製造販売承認を取得)。

 同社が開発するロボットは市場を独占する「ダビンチ」と同等の機能を備えているだけでなく、「アーム同士が干渉しにくい」「病院にとってのコストメリット」といった特徴が強みになるという。

新型コロナのPCR検査を自動化するロボットも

 川崎重工とシスメックスの協業は手術支援ロボットにとどまらない。両社は「新型コロナウイルスのPCR検査を自動化するロボット」の開発にも取り組んでいる。

 PCR検査には人手がかかるうえ、検査技師の資格が必要とされ、さらに感染のリスクにもさらされるという。この作業をロボットによる流れ作業にすることで、これまで約3時間だった待ち時間を80分程度に短縮できたという。

強迫観念のように開発する

 シスメックス代表取締役会長兼社長CEOの家次恒氏は同社の事業について、「医療機関が困るのは機械がダウンしたとき。我々のコンセプトはサービスによってダウン時間をいかに短くするかということ」と語る。

 同社は販売した検査機器をネットワークにより遠隔チェックできる上、病院からの電話には専門知識を持つ担当者が直接対応し、問い合わせ先に急行できるようサービスマンの位置も常に把握しているという。

最後に

 血液分析装置で世界トップシェアを誇り、国産手術支援ロボットの開発にも関与するシスメックス。医療という特殊な分野で日本を代表する企業のひとつだ。新型コロナウイルス禍でも順調に経営を続ける同社の今後の発展を、引き続き見守っていきたい。

 さらに詳しい記事や、会員限定のコンテンツがすべて読める有料会員のお申し込みはこちら

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。

この記事はシリーズ「テーマ別まとめ記事」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。