音声SNSとは声を媒体としたSNSサービスの総称だ。音声SNSサービスの先駆けは2020年の春ごろに登場したClubhouseだが、その後はFacebookなどの大手も巻き込みながら次々と類似サービスが登場している。今回は音声SNSをテーマにした過去記事から、人気の秘密や可能性について紹介する。
急速に拡大する「音声SNS」

音声SNSとは、声を媒体としたSNSサービスの総称だ。従来のSNSは文字や写真が中心だったが、声による投稿は文字や写真と比べて感情やニュアンスが伝わりやすく、また声は動画と違って画面を注視する必要がなく、他の作業をしながら「聞く」ことができる。
こうした特徴は「ラジオ」や「ポッドキャスト」に近いが、それをSNSというスタイルで発信できる「斬新さ」が音声SNSの魅力だ。また新型コロナ禍により世界中の人々がステイホームを強いられたことも、音声SNSの人気に拍車をかけた。
音声SNSには、すでにリリースされているものだけでも2020年3月に登場したClubhouse、同年12月リリースの「Spaces」、2021年6月の「Greenroom」など、さまざまな種類が存在する。Facebookも新機能として(音声SNSに相当する)「Live Audio Rooms」を追加しており、市場が音声SNSに向ける依然として期待は大きい。
この記事では音声SNSをテーマに、新サービスが人気を集めた理由や国内外の反応、今後への期待について過去記事から振り返る。
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日本でも爆発的な人気を集めるClubhouse。従来のSNSと異なり、あえて要素を減らしているのが特徴だ。投稿できるのは音声のみ。文章や写真、動画の投稿は行えず、アーカイブも残らない。このような挑戦は「企業にとって大きな賭け」だが、あれこれとサービスを盛り込まなかったことが成功につながっている。
Clubhouseが早くも中国で使用不能に、巻き込まれたミッキーマウス
世界中で急速に利用者を増やすClubhouseが、中国当局によって規制を受けた。もとより中国では「YouTube」「Facebook」「Twitter」「Google」「Dropbox」「LINE」などの各種SNSサービスが規制対象となっているが、この規制により、中国においても音声SNSの商業的ニーズがあることが証明されたとみる人たちもいる。
「クラブハウス」の狂乱が日本に残したもの
従来の文字や写真を中心としたSNSサービスは日本でも根強い人気を誇っている。一方で「音声を聞く」文化は未成熟で、例えば海外で人気を集めるポッドキャストのような音声媒体でさえ「英語学習者が海外の英語コンテンツを聴くためのもの」というイメージが強いという。
音声に特化したClubhouseの人気は、そのような日本人の意識を変えるきっかけとなった。これまでラジオやポッドキャストを聞く習慣のなかった人も音声で発信することや聞くことの楽しさを知り、日本人のあいだで(音声SNSに限らず)「聞く習慣」が広がり始めている。
読むべき1冊『ボイステック革命』~新たな市場の胎動を伝える
放送作家の梶山寿子氏も音声SNSに注目する一人だ。「声フェチ」を自称する同氏は、「日本では依然として音声のポテンシャルが過小評価されている」とする一方で、Clubhouseをきっかけに「音声コンテンツが日本でも注目されるようになった」と語る。
梶山氏や同氏が紹介する書籍『ボイステック革命』によれば、音声には「移動中や作業中でも」聞くことができ「コンテンツ作成も記事や動画より簡単」「感情や心の動きもビビッドに伝わる」「ITに不慣れな高齢者にも使い勝手がいい」といった、さまざまなメリットがあるという。
家族の声による安否確認のように、介護に役立ちそうなアイデアも多い「音声」。今後の音声SNSの広がりや、可能性に期待が高まる。
最後に
2020年に登場したClubhouseをきっかけに、世界中で広がる音声SNSサービス。これまで「聞く文化」が未成熟だった日本でも、多くの人たちの意識や習慣を変えつつある。Clubhouseそのもののブームは沈静化しつつあるが、音声SNSが単なるブームに終わるのか、それとも「音声」という媒体のさらなる発展につながるのか、この先の展開から目が離せない。
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