製薬業界で世界トップクラスの売上高を誇る「大規模な製薬会社」の呼称であるメガファーマ。その中には新型コロナワクチンの開発にいち早く成功した、米ファイザーも含まれる。今回はメガファーマと新型コロナワクチンに関する話題から、特に注目のトピックを紹介していく。

数百億ドルの売上規模を誇る「メガファーマ」

 メガファーマとは「大規模な製薬会社」を指す言葉だ。売上金額などの明確な基準はないものの、現在メガファーマと呼ばれる製薬会社には、米国のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、スイスのノバルティスなど数百億ドル規模の売上高を誇る巨大企業が名前を連ねている。

 ほとんどのメガファーマは、業界内でのM&A(合併・買収)を繰り返すことで規模を拡大してきた。たとえば武田薬品工業の場合、2018年にアイルランドの製薬大手、シャイアーを買収したことがメガファーマ入りのきっかけだ。

 今日、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の製造をめぐり、製薬会社の役割はこれまで以上に高まっている。この記事では日本の製薬会社とメガファーマの関係、そしてメガファーマと新型コロナワクチンに関する話題について過去記事から紹介する。

日本からメガファーマはもう生まれない?

 メガファーマと呼ばれるのは、売上高が日本円で数兆円規模の巨大製薬会社ばかり。2018年のランキングでは、スイス・ロシュの6兆5447億円を筆頭に、米ファイザーの5兆9012億円、スイス・ノバルティスの5兆7090億円と続いている。

 一方、日本の製薬会社ではトップの武田薬品工業が2兆972億円となっている。医薬品市場では世界第3位の日本だが、メガファーマと呼べる規模の企業はなかなか生まれてこないのが現状だ。その原因について専門家は「業界再編の遅さ」「イノベーションの波に乗り遅れたこと」、そして日本の製薬業界を覆う「ぬるま湯」的な環境を挙げている。

武田薬品、2030年度売上収益5兆円に自信たっぷり

 アイルランドのシャイアーを合併し、日本の製薬会社としては初めてメガファーマの仲間入りを果たした武田薬品工業。クリストフ・ウェバー社長CEOは、2020年12月に行ったプレゼンテーションの中で「2030年度までに売上収益5兆円の目標達成に自信を持っている」と語った。

 だが主力製品の特許切れにより、武田薬品工業が好調な収益を持続できるかどうかは不透明だ。新たな治療薬やワクチンの開発により収益増を目指す同社。思惑通りに売上収益5兆円を達成し、グローバルファーマの中でトップ5入りを果たせるかどうか、注目が集まっている。

新型コロナ向けワクチンの日本供給、仏製薬大手のスタンスは?

 一方、ライバルとなる世界のメガファーマの中には、新型コロナワクチンの開発を通してさらなる売り上げ拡大を目指す企業もある。たとえば米メルク(2021年の売上高ランキングで第3位)、英グラクソ・スミスクライン(同6位)、米ファイザー(同8位)、フランス・サノフィ(同9位)は、いずれも世界のワクチン市場で重要なポジションを占めている。

 このうちサノフィは、米国や欧州をはじめ世界中の主要地域にある製造拠点でワクチン製造を進めるとともに、新型コロナに効果が期待される治療薬「プラケニル」「ケブザラ」の開発にも力を注いでいる。新型コロナによる「(業績への)大きな影響は感じない」と語る同社。この機会をポジティブに捉え、今後の医療分野で「新しいやり方の先駆者になる」ことを目指している。

コロナ禍で改革進む製薬業界

 メガファーマの1つ、ファイザーのアルバート・ブーラCEOは「私たちは、不可能なことを可能にするために全力を尽くした」と語る。その1つは新型コロナワクチンを独ビオンテックとともに迅速に開発したことで、もう1つは製薬業界に対するイメージの改善だ。

 これまでの製薬業界は「不当に薬価を上げている」といった批判にさらされることが多く、好感度は主要業種の中で最下位に落ち込んでいたという。そんな業界が、新型コロナをきっかけに「公益を考える業界」へとイメージチェンジしつつあるのだ。

日本は「ワクチン後進国」脱せよ

 新型コロナのワクチン開発で勢いに乗る海外のメガファーマに対し、日本の製薬会社の動きは遅れ気味だ。これは新型コロナだけに限ったことではない。1989年から2006年までに日本で承認されたワクチンは2種類だけで、20種類以上が承認されている海外との差は大きい。こうしたことから、日本は「ワクチン後進国」と呼ばれていた。

 この原因とされているのが、国に明確な政策がなかったことだ。とはいえ新型コロナに対抗するにはワクチン開発が欠かせない。そしてワクチン開発には製薬会社のグローバル化も重要だ。国には、スタートアップ企業を含む製薬会社へのサポート体制が求められている。

最後に

 年間数百億ドルの売上規模を誇るメガファーマ。その中には、新型コロナワクチンの開発で脚光を浴びるファイザーといった企業も含まれる。これに対し日本では、メガファーマと呼べるのは武田薬品工業の1社のみ。また国内企業による新型コロナワクチンの開発も海外勢に後れを取っている。日本の製薬会社には、今後の成長や活躍を引き続き期待していきたい。

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