非対面・非接触のコミュニケーションを可能にする、コンタクトレス・テクノロジー。店員と対面せずに商品の購入やサービス利用ができる店舗、アバターを使ったイベント開催など、すでにさまざまな分野で活用が始まっている。ここではコンタクトレス・テクノロジーに関する注目記事をいくつか紹介していく。

あらゆる分野で活用が進む「コンタクトレス・テクノロジー」

 非対面・非接触のコミュニケーションを実現するコンタクトレス・テクノロジー。ゲームなどに代表されるアバターや遠隔操作可能なスマートロックなど、以前からさまざまな技術が開発されてきたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、そのニーズが急増している。

 人が集まる(感染リスクの高まる)大規模イベントの代わりに、大人数がアバターで参加できるバーチャルイベントを開催するというのもその一例だ。生身の人間の代わりにモニター内のアバターが接客対応を行ったり、アバターロボットを通してサービスを提供したりする小売店舗もある。外食産業の中には、入店から精算まで非対面で行うところもあるという。

 今回の記事では、コロナ禍でますます注目を集めるコンタクトレス・テクノロジーについて、過去に取り上げたトピックを振り返ってみる。

回転ずし、脱コロナで一歩リード。くら寿司は非接触技術で先行

 新型コロナの影響で大きなダメージを受けた外食産業。コンタクトレス・テクノロジーに活路を見いだそうとしているのが「くら寿司」だ。

 くら寿司が2020年1月にオープンした浅草ROX店は「入店から退店まで店員と接することのない快適な空間」が特徴。店内では入店案内から注文、精算までも非対面・非接触で行われる。同社は25年までに同様のシステムを全店で導入する予定だったが、コロナ禍を受けて21年10月までに計画を前倒しするとしていた。

モスバーガーが非接触のアバターロボ。店員を転送する新メディア

 モスバーガーを展開するモスフードサービスが導入したのは、分身ロボットによる接客だ。東京・品川の大崎店で20年7月末から約1カ月にわたり試験導入し、将来の本格導入に向けてデータを収集した。

 「人が遠隔操作するアバターロボット」を活用する動きはさまざまな分野に広がりつつある。羽田空港の案内所で活躍する「MORK」をはじめ、東京ポートシティ竹芝のローソン Model Tでは陳列業務を人間型のアバターロボットが行っている。こうしたロボットを、医療や福祉の現場などで活用することも想定されているという。

「会えない時代」を乗り切る新常識、アバターは本当の自分?

 バーチャルな世界でのコミュニケーションも、コンタクトレス・テクノロジーの一つとして注目されている。monoAI technology社のバーチャル空間プラットフォーム「XR CLOUD」をベースに開発された「バーチャル同人誌即売会」には、数千~数万人のアバターが同時に接続し、実際にチャットで交流することで本物のイベントさながらの没入感を生み出した。

 ビジネスの現場にアバターを導入している例もある。従業員がアバターで会話する仮想空間オフィス、アバターのバーチャル販売員が接客を行うアパレル店舗、自律走行ロボットのアバターを使って遠隔地の人と触れ合う「旅行」サービスなどはその一例だ。

「脱物理鍵」が開く新市場。DXを支えるスマートロック

 スマートフォンを使って鍵を開錠・施錠する「スマートロック(電子錠)」も注目を集めている。テンキー入力やICカードなどを物理鍵の代わりに利用するのはもちろん、スマートロックをスマートフォンのアプリと連動させることで「決済・労務管理」や「セキュリティー管理」にも生かせるという。

 スマートロックの活用によって得られるメリットは、これまでシェアリングエコノミーの効率化を阻害していた「人同士の接触」を省力化できること。例えばレンタカー会社であれば「鍵の紛失リスクや車両管理のための人員コストの削減」が実現できるという具合だ。またスマートロックによって得られるデータを「ローン審査」に利用する動きもある。

最後に

 コロナ禍のニーズを受けて加速する、コンタクトレス・テクノロジー。すでに外食や小売り、旅行やイベント、オフィス内など、さまざまな場所で活用が進んでいる。コンタクトレス・テクノロジー分野では、新たな技術開発や既存技術の改良がますます拡大すると考えられる。これから登場する新しいサービスやその活用に、引き続き要注目だ。

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