米国の巨大テック企業5社の頭文字を取った「FAANG(ファング)」。それぞれが市場で支配的な地位を占めており、その動向に世界の投資家や消費者が注目する。各社の話題をピックアップしていく。

テック市場を支配する「FAANG」

 FAANGは米国のテック企業大手、米フェイスブック(Facebook、現メタ・プラットフォームズ)、米アップル(Apple)、米アマゾン・ドット・コム(Amazon)、米ネットフリックス(Netflix)、米グーグル(Google)の頭文字を組み合わせてつくられた造語だ。

 FAANGはいずれも2000年代以降、「最も時価総額の高い公開企業群」とされ、新サービスの投入や経営者の一挙手一投足に投資家や消費者の注目が集まっている。今回は各社に関する過去記事から、現時点で最新の話題を振り返る。

米グーグルがヤフーにすぐ勝てた理由

 今日、世界のIT業界をリードしているのは米国発の巨大IT企業群だ。日本ではGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)という言葉がよく知られるが、米国をはじめ世界的にはFAANGやこれにマイクロソフトを加えたFAANG+M(ファングプラスエム)の方が一般的だという。

 このうちアップル、アマゾン、グーグルの親会社アルファベット、そしてマイクロソフトは100兆円以上の時価総額を誇り、それゆえ「トリリオンダラー(1兆ドル)クラブ」と呼ばれている。ちなみに2020年にはFAANG+Mのうちネットフリックスを除く5社の時価総額が合計560兆円となり、東証1部約2170社の合計を上回ったことが話題となった。

メタ・プラットフォームズが仮想空間に本腰、米国で先行するのは不動産会社

 FAANGの筆頭、メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)は21年8月、「Horizon Workrooms(ホライゾン・ワークルーム)」という仮想空間サービスを発表した。

 ホライゾン・ワークルームの機能は、アバターをまとった参加者たちが「メタバース(仮想空間)」内の「会議室」に集まり、リアル空間と同等の会議を行えるというものだ。同様のサービスはこれまで他社からもリリースされてきたが、メタ・プラットフォームズのサービスは、B2B向けのメタバースの認知を一気に進めたと評価されている。同社の社名はこのメタバースに由来している。

アップル、就任10年迎えたクックCEOの次なる挑戦

 一時は2.5兆ドル(約280兆円)という、世界最大の時価総額を記録したアップル。創設者のスティーブ・ジョブズ氏のイメージが強い同社だが、今日の時価総額の80%はティム・クックCEO(最高経営責任者)の下で生み出されてきたという。

 そのクックCEOが、21年8月24日に「就任10周年」を迎えた。今後は主要な生産拠点となってきた中国の「地政学面での緊張」や、西側諸国の独禁法による取り締まり強化、経済協力開発機構(OECD)で合意された多国籍企業への課税制度など、さまざまな課題に取り組んでいかなくてはならない。

ベゾス氏退任は周到に準備 さらに手ごわい「アマゾン3.0」

 アマゾン・ドット・コムをめぐる最新の話題もCEOに関するものだ。21年2月2日、同社の創設者でありカリスマCEOとしても知られるジェフ・ベゾス氏が突如退任を発表した。21年7月にCEOの座を降りた後は、エグゼクティブチェア(取締役執行会長)の肩書で取締役会にとどまった。

 ECの分野で急成長を遂げ、クラウドコンピューティングの分野でもシェアを世界に広げたアマゾン。新CEOアンディ・ジャシー氏の下、「eコマース、クラウドに続く“Amazon 3.0”」として成長を続けられるかどうか注目されている。

減速ネットフリックス、日本勢と急接近

 動画配信サービスの世界で、トップシェアを誇るネットフリックス。しかしアマゾン(アマゾンプライム・ビデオ)や米ウォルト・ディズニー(ディズニープラス)、米フールーなど競合サービスの追い上げにより、その成長に陰りが見られている。19年4~6月期に同社が獲得した新規会員は270万人で、これは事前に予想した500万人の約半分にとどまる。

 その一方で、日本における新規会員数は順調に増加している。その背景にあるのは、日本のプロダクションと手を結んで制作した「オリジナルコンテンツ」の存在だ。特にアニメーション分野での提携は、ネットフリックスにとっては「コスパがよく」、資金繰りに苦労している日本の制作会社にとっても「非常にありがたい」のだという。

グーグルが金融で起こす波紋

 検索サービスをはじめ、IT分野の中でも特に幅広いサービスを展開するグーグル。新たにスマホ決済事業を手掛けるpring(プリン、東京・港)を約100億円で買収し、金融分野に乗り出した。pringを傘下に収めたことで、同社は日本における資金移動業のライセンスと、約50行につながる銀行ネットワークを手に入れたことになる。

 金融分野でグーグルがどのようなサービスを展開するかは、現在のところまだ不明だ。業界関係者からは「そもそもグーグルは日本の金融市場で収益を上げることは考えていない」という指摘もある。だが「小口の送金は非常に厳しい戦いになる。金融機関はコスト面でまず勝てない」との見方もあり、国内の金融機関は、今後のグーグルの動きを警戒感を持って見守っている。

最後に

 FAANGと呼ばれる、米テック大手の事業拡大の動きは今も盛んだ。メタ・プラットフォームズ、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグルの各社はそれぞれ置かれた立場は異なるものの、その影響力は等しく巨大だ。それぞれの企業が手がける新サービスや新しい経営戦略は、IT業界だけでなく私たちの生活も大きく変える可能性がある。創業者トップの交代劇や新規事業に向けた戦略に引き続き注目していきたい。

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