糖質制限とは白米などの炭水化物を控えるという食事療法だ。ダイエットや体質改善の手段として注目されるが、医学界では効果や影響についてさまざまな意見があり、中には糖質制限を危険視する声もある。今回は糖質制限をめぐる賛否両論やその影響について、過去記事から振り返ってみる。

賛否両論が渦巻く「糖質制限」

 糖質制限とは、炭水化物の摂取を減らしてタンパク質と脂質をしっかり取る食事療法だ。もともとは糖尿病の治療方法だったが、最近ではダイエットや体質改善の手法として認知され、年代を問わず実践者が増えている。

 糖質制限は、具体的には「ご飯(白米)は残して、肉などのおかずだけを食べる」といった形で実践されることが多い。こうした食生活を続けることで「糖質を燃焼する」体質から「脂肪を燃焼する」体質に変わり、ダイエット効果などが得られるという。

 だが糖質制限には反対意見も多い。糖質をカットすることでエネルギー不足になり、疲労や倦怠(けんたい)感が慢性化したり、性格が攻撃的になったりする例も見られるという。一方「正しい糖質制限」でダイエットや体質改善に成功したとの証言もあり、医学界、さらに外食産業まで巻き込んだ議論が続いている。

 この記事では糖質制限に関する過去の記事から、近年の糖質制限ブームが社会に与えている影響を中心に紹介していく。

“糖質列島”、右往左往

 食事の際に炭水化物を控える糖質制限。「糖尿病をはじめ、がんや心臓病、脳卒中、認知症、果ては老化まで、あらゆる生活習慣病のもとを断ち切れる可能性がある」ほか、内臓脂肪を減らすダイエット効果もあるとされる。

 だが一部の自治体では、糖質制限をめぐって混乱も起きている。例えば「うどん県」を自称する香川県では、うどん店に野菜を使ったメニューを推奨する県の行動に対して地元民から反発の声が上がっている。お好み焼きやたこ焼きが文化となっている大阪府でも、「主食の重ね食べ」と「肥満」の関係について報告書をまとめた府の報告書に苦情が集まった。

 専門家からは「糖質制限への対応は今後、飲食業者にとって当たり前のことになる」という声も聞かれ、こうした動きが政府の地方創生政策にどのような影響を与えるか、懸念されている。

影響、「食」にとどまらず

 糖質制限が身体機能に悪影響を与えているとの証言もある。あるタクシー運転手は、脳梗塞をきっかけに糖質制限を始めたところ集中力の低下や物忘れが増え、立て続けに2度の事故まで起こしたという。「四十数年ずっと無事故、無違反でしたからね。本当にショックで」とその運転手は語る。

 とはいえ糖質制限そのものが危険とは言い切れない。糖質制限を提唱する専門家の医師によると、正しい方法で実践すれば「糖質制限で集中力が落ちることはない」という。また従業員の健康のために「正しい糖質制限」を推進するタクシー会社も「正しい糖質制限は、運転手の集中力を高め、事故防止や営業力向上につながる」と証言する。

 世界保健機関(WHO)も糖質制限によって「肥満や生活習慣病を減らせる」と述べ、糖質制限は国際的な潮流となりつつある。

糖質制限で夜勤が危ない!

 「間違った糖質制限をせざるを得ない」原因のひとつに「不規則な勤務体系」がある。特に夜勤を含む交代勤務では食事のタイミングが不規則になり、結果として早食いなどの不摂生が習慣化してしまう。交番勤務の警官や救命医などはその典型だ。

 もちろん警察や医師に限らず、深夜勤務を行う業種は多い。糖質制限が一般化していくにつれ、「正しい糖質制限」をしにくい業界では人材不足が深刻化しかねないという。

大塚食品が発売する肉不使用ソーセージ、そのお味は?

 糖質制限などの食事制限で、肉の消費量が増えているという。一方で、家畜の飼育に伴う森林伐採や温暖化ガスの排出を問題視する声がある。「生き物を殺傷せずに“肉”を食べたい」というニーズも少なくない。

 そうしたニーズに応えるため、国内外で「代用肉」の開発が進められている。大塚食品は大豆を原料とするハンバーグやソーセージを発売し、米国でもスタートアップ企業のビヨンド・ミートが大豆由来の人工肉を開発し、業績を伸ばしている。

低糖質で「コロナ太り」を防ぐ 調理家電の新たな価値

 糖質制限は調理家電の分野にも影響を与えている。例えば家電メーカーの山善は「構造的な仕組みで物理的に糖質を除去する」炊飯器を、アイリスオーヤマは「コメに多くの水分を吸わせることで体積を増やして摂取する糖質の量を減らす」炊飯器を発売した。同じく家庭用のパン焼き器でも、糖質を抑えることのできる製品が発売されているという。

 新型コロナで外出自粛が続く中、肥満防止などを目的とした糖質制限や、そのための工夫に注目が集まっている。

最後に

 白米やパンなどの炭水化物を減らし、タンパク質や脂質を積極的に摂取する糖質制限。ダイエット効果などが期待される一方で、健康上の悪影響が指摘されるなど専門家の間でも賛否両論がある。とはいえ糖質制限は世界的なブームとなっており、食品メーカーや調理家電メーカーに与える影響も大きい。新型コロナ禍で健康に注目が集まる中、「正しい糖質制限」について一層理解を深めていきたい。

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