複数の人が自動車を共有する「カーシェアリング」。クルマを所有するよりコスト負担が少なく、短時間でも利用できてレンタカーよりも手軽なサービスとして近年人気を集めている。今回はこれまでに掲載した記事を通して、カーシェアリングがどのように注目を集めてきたかを振り返る。

レンタカーよりも手軽な「カーシェア」

 複数のユーザーで自動車を共同利用する「カーシェアリング」。マイカーを持つことにこだわらない若い世代を中心に利用者が増えており、日本では2010年ごろから急速に拡大してきた。運営事業者はレンタカー会社や中古車販売会社が中心だが、不動産会社やIT企業など異業種からの参入も見られる。

 カーシェアリングはレンタカーと似ているが、利用形態が若干異なる。レンタカーの利用者が不特定多数なのに対し、カーシェアリングはあらかじめサービスに登録した会員同士が特定の自動車を共用する形態を取ることが一般的だ。またレンタカーの利用は数時間から数日程度と比較的長いのに対して、カーシェアリングでは数十分単位という短時間・短距離での利用も想定している。このため、利用料金は一般にレンタカーより安く、最近では定額で何度でも利用できるサブスクリプション方式のサービスも登場している。

 この記事では新型コロナウイルス感染拡大の中で、比較的安全な移動手段としても注目を集めたカーシェアリングについて、過去記事から振り返っていく。

カーシェア事業で独走するパーク24

 「Times」ブランドで有名なパーク24。駐車場運営に続く売り上げの柱がカーシェアリングだ。2009年5月に事業をスタートした同社は、国内カーシェアリング市場の7割を占めている。

 日本のカーシェアリング事業において、パーク24は後発組だ。それにもかかわらず成功を収めている背景には、同社が駐車場運営をしていることがある。自動車を置く場所を確保しやすい上、地域密着の営業で集めたデータを武器に自動車の空き時間を徹底的に短くする工夫を重ねているからだ。

ガリバー、クルマ乗り換え放題サービスを開始へ

 2016年夏、中古車販売のガリバーインターナショナル(現IDOM)がカーシェアリング事業に参入した。毎月一定の料金を支払えば、気に入った自動車に次々と乗り換えられるサービスが特徴となる。中古車販売の経験に基づく的確なクルマの「調達力」と顧客の利用データを武器に、顧客にとっていかに魅力的な自動車のラインアップをそろえられるかが鍵となる。

多角化苦戦のDeNA、「0円マイカー」で反転なるか

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は、2019年に保険大手のSOMPOホールディングスとカーシェアリング事業を手がける新会社を設立した。15年からDeNAが展開してきたカーシェアリング事業「Anyca(エニカ)」を引き継ぐ。

 新会社の目玉となるサービスは「0円マイカー」。実質負担が0円に近い形で自動車を貸与し、その代わり月に数回はカーシェアリングとして他の利用者に貸し出してもらう仕組みだ。DeNAは保険大手であるSOMPOのノウハウでカーシェアリングのリスク対応を強化し、専用の保険商品の開発も検討するとした。

オリックスは“サブスク”開始。カーシェア「再成長」への道筋は

 2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大により、順調に伸びてきたカーシェアリング業界に停滞感が広がった。外出自粛や法人需要低迷の影響が大きい。各社はこの状況を打破するための次の一手を競い始めた。

 オリックス自動車(東京・港)は2021年2月、当時としては大手で初めて定額乗り放題プランを始めた。1回の利用当たり3時間以内なら月額9900円(税込み)、6時間以内なら同1万6500円(同)で、何回でも利用できるようにした。

 業界全体には逆風となったコロナ禍だが、公共交通機関を避けてクルマで移動したいという消費者が出たことは追い風となった面もある。パーク24の2020年10月期のカーシェアリング事業の売上高は伸び悩んだが、会員数は2020年2~10月で16万人増えた。

好調の自動車「欲しくても買えず」 受け皿にカーシェアが浮上

 2021年4~6月期決算では、トヨタ自動車や日産自動車といった自動車大手が業績を回復した。しかし新型コロナウイルス変異株の感染拡大や半導体をはじめとする部品の供給不足によって、自動車を「売りたくても売れない」状況が続いた。この間に消費者の心理が変わり、カーシェアリングサービスの利用を後押しする格好になった。2021年1~6月の主なカーシェアリングアプリの利用者は前年同期比で47%増えたという。

最後に

 新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛は、国内のカーシェアリング市場にとって逆風ばかりではなかったようだ。多くの人と接する公共交通機関よりクルマを選ぶという人たちも増えたからだ。「所有から使用へ」という若年層を中心とした意識の変化が進む中、カーシェアリングがどこまで成長し続けるのか注目したい。

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