使い捨てプラスチックの利用を制限する脱プラスチック。マイクロプラスチックによる海洋汚染と、生態系への悪影響を解消するのが狙いだ。欧州では2018年より、日本でも19年以降積極的な取り組みや法制化が進んでいるが、実効性を持たせるには企業の取り組みが欠かせない。ここでは過去記事の中から、脱プラスチックに関連する記事をピックアップして紹介する。

国際社会や政府が熱心に推進する「脱プラスチック」

 脱プラスチックとは、海洋汚染の原因となる使い捨てプラスチック製品の利用を制限しようとする動きのこと。すでに地球上の海には1億5000万トンものプラスチックごみが存在しており、さらに年間800万トン以上のプラスチックごみが加わり続けている。これらが5ミリメートル以下の「マイクロプラスチック」となることで、生態系への悪影響が懸念されている。

 脱プラスチックに向けた国際社会や政府の動きは活発だ。2018年6月の主要7カ国(G7)首脳会議ではプラスチックごみ削減の数値目標を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」が採択され、欧州を中心に具体的な取り組みが始まった。日本も19年の主要20カ国・地域(G20)サミットで50年までに海に流出するプラスチックごみをゼロにする「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を提案し、首脳間で共有した。また「プラスチック資源循環戦略」を策定して20年7月よりレジ袋の有料化を開始している。加えて22年4月からは「プラスチック資源循環促進法」も施行された。

 今回はこうした政府の取り組みに対する企業の反応やその成果について、これまでの記事から振り返ってみる。

「脱プラ」の波に乗れない飲料業界

 プラスチックを大量使用する清涼飲料業界が、18年11月に「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」を発表した。「家庭などから出るペットボトルを30年度までに回収して100%有効利用する」という内容の宣言だが、ペットボトルの使用量削減に踏み込んでいないなど、内容は中途半端だ。

 この背景にはペットボトル飲料に対する消費者ニーズの高まりと、缶よりも安いペットボトルの調達コストがあるという。

「脱プラ」で代替素材に商機 コストや強度の壁を破る

 環境意識の高まりから、石油由来のプラスチックの使用を控える動きが世界的に広まっている。代替素材の需要の高まりが予想され、日本でも大手やスタートアップ企業が新素材の開発を急ぐ。

 例えば、サントリーホールディングスは30年までに、ペットボトルで新たに石油由来素材を使わない目標を掲げるほか、日清食品も19年12月からカップヌードルに植物由来8割の容器を使うなど、ESG投資を意識した動きが活発化している。

 また、素材開発のスタートアップ企業、TBMはプラスチックの代替素材として、世界中に無尽蔵にあり、木や石油と比べて枯渇の心配がない「石灰石」を利用する新素材を開発している。

三菱ケミカルHDが長期ビジョン、社会課題を事業機会に

 一方で、プラスチックに代わる新素材を開発する動きも活発だ。日本製紙は19年4月に同社初となる紙ストローの販売を開始した。パナソニックが開発した「セルロースファイバー」を含む樹脂や、三菱ケミカルの植物由来の原料を使った生分解性プラスチック「バイオPBS」も注目を集めている。

大王・王子にも“脱汎用”の波、コロナで紙需要がシフト

 製紙業界では三菱製紙も「脱プラスチック向け包装用コート紙」を生産している。情報記録紙で培った薬品の精密塗工技術を活用したもので、テークアウト用のプラ容器の代替品として活用することも検討されているという。

「セロハン」復権、脱プラスチックが促す古くて新しい素材革命

 脱プラスチックを支えるのは新素材ばかりではない。100年以上の歴史を持つ「セロハン」も、近年の需要低下から一転、復活の兆しを見せている。

 中でもレンゴーが20年に開発した包装材シリーズ「レビオス」は、耐水性や熱をかけて溶かして接合できる「ヒートシール」性という点で従来のセロハンよりプラスチック寄りの性質を持ち、食品や日用品の包装用に向いているという。

スプーン、ハンガーも削減、プラ循環法で知っておきたい10のこと

 22年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」では、使い捨てのプラスチック製品を年5トン以上使う事業者を対象に、プラスチック製ストローなどを含む「特定プラスチック使用製品」の削減が義務化される。違反した場合は社名の公表や「50万円以下の罰金」の対象となる。すでにセブン―イレブン・ジャパンやスターバックス、白洋舍などが実証実験や具体的な取り組みを開始しているという。

最後に

 海洋汚染の改善を目的とする脱プラスチック。国内でも法制化に加えて民間企業による積極的な取り組みや新素材の開発などが進められるが、ペットボトル需要の増加などもあって、飲料業界では脱プラスチックの動きは緩やかだ。だが世界の流れに後れを取ることは日本にとって大きなマイナスとなる。業界関係者である場合はもちろん、消費者としても脱プラスチックを意識した行動が必要だ。

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