ゆとり教育と呼ばれる教育方針によって育てられた「ゆとり世代」。それ以前の世代とは異なる価値観や行動理念を持つことから、特に上司や経営者世代との「世代間ギャップ」が問題になることも多い。ここではゆとり世代との上手な付き合い方について、過去記事から紹介していく。

「ゆとり世代」の特徴と課題

 ゆとり世代とは、義務教育でいわゆる「ゆとり教育」を受けてきた世代のことを指す言葉だ。彼ら・彼女らの多くは1980年代後半から2000年ごろにかけて生まれ、その中には若手社員や中堅社員として企業で活躍している人はもちろん、間もなく卒業・就職を迎える人たちも含まれている。

 ゆとり世代が受けたゆとり教育は、教育時間数や教育内容の削減と「総合的な学習」を特徴としている。それまでの詰め込み教育への反省から児童・生徒の負担を減らすとともに、国際理解や情報など、既存のカリキュラムでは補いきれない知識を身に付けさせるのが狙いだ。

 一方で学習時間の減少による学力の低下や、他の世代との価値観の違いを懸念する声も多く、特に企業内では、ゆとり世代との接し方に悩む上司や経営者も少なくないという。この記事ではゆとり世代をテーマにした記事から、特に注目すべきものをピックアップする。

東京マラソンと箱根で証明!青学メンタル育成術

 ゆとり世代に活躍を促す秘訣について語るのは、青山学院大学陸上競技部で監督を務める原晋氏。かつての陸上界は「監督が絶対的な権力を持ち、上意下達の文化」だったが、このような文化はゆとり世代には通用しないと原氏は語る。

 ゆとり世代を指導する上で重要なのは、監督が「選手と同じ目線でレールを引き、同じベクトルを向くこと」。そして若者たちの意見を潰さず、彼らが「自分の思いを監督に自由に言える雰囲気」も大切だという。

「ゆとり社員」は甘やかしなさい

 現代の中小企業が抱える課題について、「売り上げの確保より先に、人手確保に知恵を絞るべし」と語るのは、株式会社武蔵野の小山昇社長。「中小企業経営のカリスマ」と呼ばれる同氏によると、すでに企業同士の競争の基準は「売り上げの奪い合い」ではなく「人の奪い合い」だという。

 そこで課題となるのが、新人として入社してくるゆとり世代との接し方だ。雇い手(企業)よりも働き手優位な現代社会では、会社のやり方に若者を無理やり合わせる手法は通用しない。まずはゆとり世代のクセを把握し、それに合わせて会社のやり方を変えることが必要となる。

若手社員育成のカギは「おもつらい」

 ゆとり世代は「意義を感じられるか」を重視する傾向があるという。かつての世代のように「頑張れば報われる」「とにかくやれ!」と突き放すスタイルでは、ゆとり世代は育たない。

 ワケがわからないまま頑張らせるのではなく、仕事に意義を感じさせて仕事を楽しいと感じさせること。それがゆとり世代の若手社員を育成するカギとなる。

会社に”エモい”経営理念が必要な理由

 リクルートワークス研究所主幹研究員(当時。現・特任研究員)の豊田義博氏は、ゆとり世代を「本気」にさせるには「エモーショナルな経営理念」が有効だと語る。

 ゆとり教育によって「他者への貢献」と「協力して行動する」ことを教え込まれてきたゆとり世代は、理念のない仕事を単なる「ライスワーク(食べるために仕方なくする仕事)」として割り切ってしまう。そしてその分、社外のボランティア活動などに情熱を傾ける。

 ゆとり世代を振り向かせるためには、働くことが社会貢献になると実感できるような「“エモい”経営理念」が必要だ。

私たちは世代によって「異なる風景」を見ている

 世代間で線引きをする考えを否定する声もあるが、世代間のギャップは存在する。実際に団塊世代、新人類世代・バブル世代、団塊ジュニア世代、ゆとり世代、さとり世代では世の中を取り巻く環境や教育方針が異なるため、結果として世代ごとに「異なる風景」が見えているという。

 とはいえ「この世代はこういう人だ」と決めつけるのではなく、世代間のギャップを事実として理解した上で、お互いがより分かり合うための工夫が必要だ。ビジネスをスムーズに進めるためにも、「相手の立場になって考える」ことが欠かせない。

最後に

 ゆとり教育によって育てられた、ゆとり世代。それまでの「詰め込み教育」を受けてきた世代とは異なり、自分で考え納得することが重視される世代だ。ゆとり世代の登場は、特に企業においては「世代間ギャップ」の原因となってきた。しかし、人材不足が深刻な現代、彼らのような若手世代の育成は全ての企業にとって死活問題だ。世代間の違いをどのように理解し、適切に関わっていくのかは引き続き注目していくべきテーマである。

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