シングルマザーは、母親一人で未成年の子育てを行う世帯を指す言葉だ。現在の日本では120万以上のシングルマザー世帯が貧困状態に苦しんでおり、社会問題と化している。ここでは過去に掲載した記事の中から、民間企業の取り組みを中心に紹介する。

「シングルマザー」の現状

 婚姻関係がないまま、あるいはパートナーと離婚や別居した状態で子育てを行うシングルマザー。内閣府が公表した「男女共同参画白書」によると、2016年の時点で日本の母子世帯(シングルマザー)の数は123万2000世帯に上る(男女共同参画局「母子世帯数及び父子世帯数の推移」より)。

 未成年の子どもを抱えるシングルマザーは勤め先の確保が難しく、経済的に困窮している世帯が多い。厚生労働省の統計によると、2015年にシングルマザーが就労で得る年間収入は平均200万円(厚生労働省「ひとり親世帯の平成27年の年間収入」)ほどだ。

 一方、近年は政府や自治体、企業を中心にシングルマザーの貧困世帯をサポートする動きも見られる。今回は過去の記事から、シングルマザーに関する話題を振り返っていく。

不幸の連鎖、男性の3人に1人「生涯未婚」時代

 日本人の少子化問題に拍車をかける未婚問題。男性の3人に1人が未婚という状態はシングルマザー世帯の増加を招いている。非正規就労を強いられるシングルマザーの年間収入は125万円で、その中から育児費を捻出することからシングルマザー世帯の貧困はますます深刻化している。

多様な「家族ユニット」へ

 従来の日本は「家族」という枠組みを重視し、「企業」の支えを頼りに成長を続けていた。だが近年は家族の枠組みが崩れつつあり、企業も弱体化している。配偶者控除や賃貸住宅補助といった優遇制度は「家族」であることが前提となっているため、シングルマザー世帯の生活はますます苦しくなっている。

外資系ビジネスマンと子どもをつなぐ「居場所」

 近年では、シングルマザー世帯を支える取り組みも活発化している。そのひとつが、貧困家庭の子どもを対象とした学習会(英語教室)だ。NPO法人キッズドアが実施する学習会でボランティアで講師をするのは、外資系企業に勤めるビジネスマンだ。

 英語教室は子どもたちと社会をつなぐ「居場所」であると同時に、企業やビジネスマンにとっても、誰かの役に立てることを実感する「有用感」を生み出しているという。

社会課題解決と収益を両立

 シングルマザーの貧困という社会課題解決に取り組むスタートアップ企業、「ボーダレス・ジャパン」。同社はバングラデシュに革製品の製造工場を建設し、シングルマザーや障害を持った人といった就職が困難な人を優先雇用している。

 同社はこのほかにも、グループ企業を通して「住まい探しが難しい外国人に住まいを提供するシェアハウス事業」や「ミャンマーの貧しい農家と直接取引しハーブティーを販売する事業」、「難民の自立を支援しながら電子機器のリサイクルを手掛ける事業」などを提供する。「社会課題解決を目指す起業家のプラットフォーム」を目指すというのが同社の理念だ。

精子産業の際どい実情

 貧困に苦しむシングルマザー世帯がある一方で、積極的にシングルマザーを選ぶ人々もいる。そうした人を対象にしているのが「精子産業」だ。米国ではシングルマザーになることを選ぶ人々の多くがこのビジネスを利用し、いわゆる「精子・卵子市場」は拡大の一途をたどっている。

 しかし精子産業には「生まれてくる子どもたちの権利を無視している」との批判もあり、訴訟に発展するなどのトラブルも少なくないという。

最後に

 2000年代以降、シングルマザーの世帯数は高い水準で横ばいを続ける。それと同時に、シングルマザー世帯の貧困が社会問題となっている。シングルマザーの多くは「婚姻世帯向け」の補助制度を受けられないが、一方で民間企業による支援の動きも増えている。今後の社会の動きにも引き続き注目していきたい。

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