人・社会・地球環境の持続的な発展を意味する「サステナブル」。国際的な意識の高まりにより、各国政府はもちろん、多くの民間企業でも新たな取り組みが見られる。この記事では、過去に掲載したサステナブル関連の話題をピックアップして紹介する。

注目を集める「サステナブル」

 人間社会・社会経済・地球環境の持続的な発展を意味する「サステナブル(Sustainable)」。英語のsustain(持続)とable(できる)を組み合わせた言葉で、近年では国や国際NGOはもちろん、各国の民間企業からも重要視されている。

 サステナブルが注目を集めるようになったきっかけの1つは、2015年に採択された「パリ協定」だ。この国際的な枠組みでは参加国それぞれにCO2排出削減目標の作成と提出(公表)が義務付けられ、結果として多くの国で官民を問わず「地球温暖化」への意識が高まることにつながった。

 他にも経済格差や社会格差の是正、人権問題、ジェンダーに関する問題など、ひとくちにサステナブルと言ってもそこに含まれる概念はさまざまだ。今回は過去記事の中から、サステナブルが企業に及ぼしている影響を振り返る。

「サステナブル」に本気になる5つの根拠

 気候変動をはじめとする「サステナブル経営」を実践しない企業は、近い将来に市場から淘汰されるなどともいわれる。

 すでに日本でも、温暖化ガス対策や水や森林資源の保護に積極的な企業が増えつつある。

もう隠しません ユニクロが工場リスト公開

 人権問題という観点からサステナブルに取り組んでいる企業の1つが、ユニクロ。ファストファッション業界では人件費の安い海外に生産工場を持つ企業が多いが、そうした工場の一部では劣悪な労働環境が問題視されている。

 自社が関係する工場を吟味し、さらに調達経路を公表することでサステナブルへの取り組みを内外にアピール。「顧客の獲得」につなげているのがユニクロの戦略だ。

アディダス幹部「職場でペットボトルは禁止」

 ドイツのスポーツ用品メーカー、アディダスも「労働者の権利」に配慮したサステナブル経営を実践する。「労働者がアディダス幹部に直接連絡できるホットライン」を設置しているが、これは業界初となる試みだという。

 「地球環境の保全」の分野も同様だ。水を使わずに染色する製品の開発、持続可能に生産された綿や再生ポリエステル繊維の利用、オフィスでのプラスチック製ボトルの使用禁止など、取り組みは幅広い。

石炭事業への再保険、停止の波紋

 保険や投資の分野でも、サステナブルを意識した取り組みが始まっている。再保険(保険会社向け保険会社)大手のスイス・リーでは気候変動に対する取り組みの一環として、「石炭火力発電事業や発電燃料向け石炭採掘事業の売り上げが総売上高の30%以上の企業」をリスク引き受けの対象から排除する方針を打ち出した。そうすることで、間接的に「低炭素経済への移行を積極的に支える」のが狙いだ。加えて、資産運用でも石炭に関わる投資を減らしているという。

GAFAが児童労働で訴えられる理由

 サステナブルへの取り組みは、特にグローバル企業にとって事実上の「義務」となっている。取り組みが不十分だと、訴訟のリスクを抱えることにもなりかねない。

 GAFAの一角であるグーグルの親会社のアルファベットとアップルに加え、マイクロソフト、デル、テスラは、リチウムイオンバッテリーを製品に使用しているという理由だけで「児童労働をさせている鉱山を支援している」と訴えられた。他にも各国のIT大手が同様の批判を浴びている。

 他にもカカオを栽培する農場での児童労働が問題視されたネスレ、中国や東南アジアの工場の労働環境が批判されたユニクロなど、こうした例は業種を問わず増える一方だ。

バイデン氏勝利の「インパクト」

 「パリ協定」から離脱したトランプ大統領に代わり、大統領に選ばれたバイデン氏。大統領選挙では環境問題への積極的な取り組みを公約に掲げ、「35年までに二酸化炭素(CO2)を排出しない電力業界の実現」を目指すとした。

 大統領就任後は「代替エネルギー」や「資源効率化」分野を手掛ける企業に多額の投資が流れ込むと見られ、注目を集めている。

コストと効率だけでは不十分

 サステナブルはサプライチェーンにも変革をもたらしている。すでにアパレルメーカーやサプライヤーが「Higgインデックス」という、環境負荷や労働環境などのパフォーマンスを数値化した指標を使っている。

 Higgインデックスは、再生繊維の使用、廃棄を減らすための小ロット多品種生産、素材のトレーサビリティ確保などから算出する。こうした取り組みを積極的に行う企業からは「国内外での取引拡大」につながったという声が聞かれる。

最後に

 人(人権)や社会、地球環境の持続的な発展を意味するサステナブル。温暖化対策に関連するパリ協定をはじめ、世界中の国や企業が注目する現代の「常識」だ。多くの企業がサステナブルに配慮し評価を高める一方で、不十分な取り組みは訴訟のリスクにつながる。サステナブルの今後の流れに、引き続き注意を払っていきたい。

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