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熱中症は、高温多湿な環境に、私たちの体が適応できないことで生じるさまざまな症状の総称。毎年400~1000人もの死亡者が出ており、その多くが高齢者だ。熱中症を巡る話題や予防について触れた記事を紹介する。

熱中症とは?

 熱中症は、高温多湿な環境に、私たちの体が適応できないことで生じるさまざまな症状の総称。症状には、めまいやふらつきなどがあり、熱中症の初期症状に気付いたらすぐに対策を取ることが必要だ。近年、熱中症により毎年400~1000人ほどの人が死亡している。飛び抜けて多かった2010年は、1800人近くの人が熱中症によって死亡している(厚生労働省「熱中症による死亡数 人口動態統計(確定数)」)。中でも、死亡者数に占める65歳以上の割合は80%前後と高いのが特徴だ。

医者が勧める熱中症予防

 熱中症を予防するには、どのような対策が必要だろうか。総合南東北病院の中山祐次郎氏は、自身の加療経験から「一人暮らし」や「エアコンがない」などが熱中症を起こす原因になるとする。また、同氏は日本救急医学会の「熱中症診療ガイドライン2015」を参照し、熱中症の危険がある人は、「男性」「高齢」「独居」「日常生活動作の低下した人」「精神疾患や心疾患などの基礎疾患を有すること」とする。熱中症で死亡するのは高齢者が多いが、若い人でも亡くなることがあるという。

 熱中症の予防法としては、1)喉が渇かなくてもスポーツドリンクを飲む、2)エアコンを使い涼しくする、3)屋外では涼しい服装をし、日差し対策をすることがお勧めだという。

 1)については、上記のガイドラインでは、可能なら市販の経口補水液がよいとしている。経口補水液は、アクエリアスの経口補水液や「OS-1(オーエスワン)」が有名。ナトリウム(塩分とほぼ同義)の濃度が、スポーツドリンクでは21mEq/L、経口補水液では50mEq/Lと倍以上なのがポイントだという。

食フェスで多数の熱中症

 熱中症は少しの油断や想定違いで起こりうる。16年7月17日に、宮崎市内で開催された食フェス「ふるまい宮崎」では、入場に時間がかかり、午後2時ごろの炎天下の中で来場者は長時間待たされた。その結果、熱中症により救急搬送者6人を含む多数の熱中症患者が発生した。

 このイベントは、九州のおいしい料理を知ってもらおうと企画したものだった。九州各地の名店100店舗が集まり、3500円の入場料を払えば、どのお店でも、並び直せば何度でも食べられるスタイルで実施した。

 しかし、日中の最高気温が30度を超え、しかも会場は宮崎市内の河川敷で日陰がないところだった。イベントを企画・運営したふるまい実行委員会 実行委員長の有川 誠氏は「前日まで雨続きで、当日の気温に対しても、熱中症になるまでは高くならないだろうと甘く考えていました」としている。

 運営側は熱中症対策のために、水の噴霧器を10m間隔で20台を設置。また無料配布用の水やお茶のペットボトルや、塩あめを用意したという。しかし、想定以上に並ぶ列が長くなったことや、ペットボトルなどを配るスタッフが十分でなく、配布に時間がかかった。噴霧器も一部が故障してしまったという。

ベトナム笠で熱中症対策

 「ベトナム笠」という意外なアイテムをベースにした熱中症対策商品がある。360度方向からの日差しをシャットダウンするハット「チルバ」だ。シアトルのアウトドアブランド、カブーの製品だ。

 カブーはもともと、漁師の家に生まれ育った創業者が「アラスカの過酷な環境にも耐えられ、頑丈で水に浮き、強い日差しから目を守り、船上での作業中でも強風に飛ばされにくいサンバイザーを作る」というアイデアを実現するために設立した会社だ。このサンバイザーは「ストラップキャップ」という同社の看板商品になった。

 カブーの製品は個性的なデザインが注目されているが、中でも10年以上前から音楽フェスティバルなどで人気なのが、この「チルバ」だ。ベトナムで出合った笠からインスピレーションを受けて作られた独創性の高いデザインと、全方位から日差しを守るシルエットが特徴だ。

 長めのつばが、直射日光から顔全体をガード。耐久性はっ水加工を施したナイロンをベースとしている。これに「クローズドセルフォーム」という水を浸透しない素材を組み合わせ、水にも浮く。内側には透湿性に優れたメッシュ素材のキャップを取り付け、安定した着用感も確保。チルバをアゴで固定するストラップが付いているので、潮風の強い海沿いや、悪天候時でも吹き飛ばされる心配がない。

打ち水よりも冷や水を

 18年、東京23区内では、7月1日から24日までの間に、熱中症による死者が71人を数えた。この数字は、17年7月の死者25人を大きく上回った。そんな中、心配されていたのが東京オリンピック・パラリンピックの暑さ対策だ。

 そんな中、小池百合子東京都知事は、7月23日、東京日比谷ミッドタウンで行われた打ち水イベントに参加し、東京オリンピック・パラリンピックに向けた暑さ対策の一環として、江戸由来の「打ち水作戦」を活用する意向をアピール。この時、知事は集まった記者団に向けてこうコメントした。

 「風呂の残り湯などを使って朝夕にまく打ち水は、江戸の知恵で、おもてなしでもある。隣近所で、同じような時間にやることで涼を確保する。この作戦も、東京大会で威力を発揮するのではないか」

 コラムニストの小田嶋隆氏はこう書く。「率直に申し上げて、五輪開催を2年後に控えた招致自治体のトップの口から出てきたとは思えない空疎なフレーズだと思う」。

最後に

 ここまで熱中症とは何か、そして熱中症を巡る社会の動き、そしてその予防法などを過去の記事から紹介した。東京オリンピック・パラリンピックも控える中、熱中症を防ぐための対策に今こそ注目だ。

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