2025年、大阪・夢洲(ゆめしま)を舞台に開催される2025年国際博覧会(大阪・関西万博)。日本文化の魅力はもちろん、持続可能な開発目標(SDGs)での日本の取り組みやSociety5.0(超スマート社会)について世界に発信する好機として期待が集まるが、一方で参加国誘致の遅れや建設費用の増加といった課題も指摘されている。今回は大阪万博をテーマにした過去記事から、注目のトピックを紹介していく。

日本の取り組みや魅力を発信する「大阪万博」

 2025年に大阪市の人工島・夢洲で開催される大阪万博。150の国、25の国際機関の参加を目標とし、約2820万人の来場者と約2兆円の経済波及効果が見込まれる一大国際イベントだ。

 00年以降は5年に1回開催されている万博だが、実は大阪が万博会場となるのはこれが2回目だ。前回の開催は1970年で、日本はもちろんアジアでも初めての万博として注目を集め、日本の高度経済成長を世界にアピールする機会となった。

 2025年の大阪万博で政府が目指すのは「SDGs達成への貢献」と、日本の国家戦略である「Society5.0の実現」だ。最先端技術を含む世界の英知を集めて新たなアイデアを創造発信し、国内外からの投資を呼び込む狙いもある。もちろん近畿エリアの活性化や日本文化の発信のチャンスでもある。

 一方で、大阪万博を巡っては様々な課題も指摘されている。中でも深刻なのが「誘致の遅れ」と「費用の増大」だ。開催まで3年を切った22年6月14日現在、150カ国・25国際機関という目標に対して参加を表明しているのは120カ国・7国際機関にとどまる。また建設資材や人件費の高騰により、万博会場や周辺道路の整備にかかる費用は当初想定の1.5倍(約1850億円)に膨らんでいるという。

 この記事では大阪万博に寄せられる期待や指摘される課題について、過去の記事から振り返っていく。

万博をベンチャーの登竜門に

 万博は「ベンチャーの登竜門」という指摘がある。1970年の大阪万博で黒川紀章、横尾忠則、コシノジュンコといった建築家、芸術家、デザイナーが脚光を浴びたように、今日の万博も国内外のベンチャー企業が先進的な事業モデルを提案し、世界の注目を集める場となり得る。

「本質」「挑戦」「チームワーク」が不可欠

 2025年日本国際博覧会(大阪万博)協会事務総長の石毛博行氏は、通商産業省(現経済産業省)時代の経験から「本質を考え、現場を見ること」「背伸びをしてチャレンジをすること」「チームワークを発揮すること」の重要性を強く意識しているという。同氏は大阪万博においても「『本質・現場』『チャレンジ』『チームワーク』を忘れずに、コロナ禍を乗り越えた社会の姿を示したい」と語る。

関西財界、IR事業に名乗り上げたオリックスに不安と期待

 カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を目指す大阪府と大阪市では、IRと大阪万博の相乗効果を見込んでいる。大阪府・市の積極的な姿勢の背景にあるのが、企業や人の流出への危機感だ。大阪府では、東京の一極集中に対し、地盤沈下が長く叫ばれてきた。大阪府・市によるとIR事業の投資規模が1兆円規模に上る見通しで、関西経済の起爆剤として期待されている。

稼働率は一桁、大阪のホテルで相次ぐ身売り話

 大阪万博でのインバウンド需要を見越して急速な開発が進んでいたホテル業界。その最中に発生したコロナ禍により、大阪ではホテルの稼働率が大幅に落ち込んでいる。中には「稼働率一桁」というところもあり、ホテルの所有者たちからは「ホテルを売りたい」との声も聞こえるが、買い手がつかないのが現状だ。

日本三景の一つ「天橋立」、遊園地事業が苦境

 コロナ禍で苦しんでいるのはホテル業界ばかりではない。遊園地などの娯楽施設も臨時休業や営業休止を余儀なくされ「地域全体の死活問題」になっているという。天橋立ビューランドを運営する天橋立総合事業の山本大八朗会長は「25年の大阪万博までは何とか耐え抜かないと」と語る。

「空飛ぶクルマ」は東京の空に羽ばたくか 離着陸拠点づくりに課題

 万博らしい明るい話題もある。それが「空飛ぶクルマ」だ。政府は25年の大阪万博を「次世代の移動技術のショーケース」と位置づけ、万博期間中は夢洲の会場と伊丹空港を含む関西3空港や大阪市内などを結ぶ交通手段として実用化に期待を寄せている。すでにトヨタ、スズキ、ホンダといった自動車メーカーやJAL、ANAなどが技術開発やサービスへの参入を検討しているという。

最後に

 25年に大阪・夢洲で開催される万博は、ベンチャー企業が脚光を浴び、「空飛ぶクルマ」が飛び交い、観光業や地域が活気づくチャンスとして期待されている。しかしコロナ禍によって蒸発したインバウンド需要がどこまで回復するかは未知数で、新技術の実用化や地域の経済効果についても課題は多い。大阪万博が日本経済のカンフル剤となり得るのか、引き続き注目していきたい。

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