先進国に生きる人の半数が100歳を超えて生きるという予測に基づき、健康や学びといったライフプランニングの見直しを提言する「人生100年時代」。日本政府も「人生100年時代構想会議」を開催するなど検討に本腰を入れている。ここでは過去記事の中から、人生100年時代についての話題や取り組みを紹介する。
日本政府も取り組む「人生100年時代」

人生100年時代とは、先進国に住む2007年生まれの人のうち、2人に1人が100歳を超えて生きるという予測だ。著書『LIFE SHIFT』の中でこの言葉を提唱した英ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授は、人生100年時代の生き方について、「学ぶ・働く・引退する」という従来のライフステージに従うのではなく、それぞれのステージを組み替えながら柔軟な生き方を模索すべきだと語る。
『LIFE SHIFT』の出版は2016年のことだが、人生100年時代という言葉は日本でも話題となった。2017年以降、日本政府主催の「人生100年時代構想会議」が複数回開催されて、高校教育の無償化や給付型奨学金の支給額増大を含む教育の負担軽減、リカレント教育、高齢者雇用の促進などを柱とする人生100年時代構想が進められている。
今回は人生100年時代をテーマにした過去記事から、特に注目すべきトピックを振り返っていく。
長寿は心腎の健康がキモ 「幸福感」は60代以降に上昇傾向
人生100年時代について多くの人が感じる疑問のひとつが「100歳以上まで長生きする時代に、私たちは本当に幸せになれるのか」というものだ。記事では110歳を超える「スーパーセンチナリアン」が多く持つ特殊な免疫細胞や心腎循環システムの特徴、そして60代以降は主観的幸福度が上昇する「幸せのUカーブ」といったデータを通し、この問いについて考察していく。
室伏スポーツ庁長官「身体感覚を研ぎ澄まし、野性の力を鍛えよ」
2020年10月、スポーツ庁長官に就任した室伏広治氏は、人生100年時代に関連して「高齢化社会で大切なのは自分自身にオーナーシップを持ってライフスタイルを切り開くこと」「スポーツは身体に限らず心の健康にも寄与する」と語る。年齢を問わず、スポーツをライフスタイルとして楽しむことができれば「日本の活力は増す」というのが室伏氏の考えだ。
新しい学びの技術「アンラーン」が、今こそ必要な理由
人生100年時代に必要とされる重要な要素のひとつが「学び」だ。その中には「学び直し」や「生涯学習」に加え、「アンラーン」も含まれるという。アンラーンとは「これまでに学んだ知識や身につけた技術を振り返り、さらなる学びや成長につながる形に整理し直すプロセス」のことで、具体的にはパターン化された「思考のクセ」を捨てることだ。
60歳を超えてからの英語学習に意味はある?
「20代から60代までの時間当たりの学習効率はほとんど変わらない」と語るのは、教育事業を手掛けるトライオンの三木雄信社長。70代から学び始めても「結果はほとんど変わらない」といい、人生100年時代に向けて新たな学習を始めることの意義とメリットを強調する。
老後格差、備えはミドル世代から 双日「ジョブ型」新会社の狙い
人生100年時代に向かう中、「何歳まで働きたいか」という問いに対する答え(働きたい年齢)は年を重ねるごとに上昇しているという調査結果がある。例えば50~54歳の男性の平均回答は「64.6歳まで」だが、75~79歳男性の平均回答は「78.7歳まで」だ。
企業の中にはこれに対応した動きも見られる。双日プロフェッショナルシェアやNJSでは定年を70歳に設定し、太陽生命保険も60歳から65歳に延長するといった具合だ。
大和証券グループ中田社長「リスクに挑まないとビジネスにならない」
大和証券グループの中田誠司社長は、人生100年時代で多様化する人生の支援について「まだ機関投資家にしか開かれていないプロダクトを日本の富裕層に提供する仕組みをつくって、資産のリスク分散につなげていきたい」と語る。また同社で働く社員についても、雇用年齢の上限撤廃やデジタルリテラシー向上の支援といった取り組みを行う。
最後に
人生100年時代では、学びや働き方などが多様化すると考えられている。もちろん健康寿命を延ばすことも大切だ。政府や研究機関、そして民間企業でも、人生100年時代に向けた取り組みや新サービスの開発が始まっている。50年後、100年後に向けて、私たちを取り巻くさまざまな環境がどのように変化していくか注目していきたい。
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