仮想通貨やNFT(非代替性トークン)などの暗号資産、あるいはそれらを支える技術として注目される「トークン(token)」。トークンの活用によって生み出される「価値」は、新たな資産となりつつある。今回はトークンに関連する暗号資産や技術、そしてその影響について、過去の記事から紹介していく。

次世代のインターネット社会を担う「トークン」

 「トークン(token)」には様々な意味があるが、近年は特に「ブロックチェーン技術を利用して発行された仮想通貨」や「NFT(非代替性トークン)」などを指して使われることが多い。そもそも”token”は「象徴」や「記号」を意味する英単語だが、そこから転じて、デジタル上でなんらかの価値を象徴するもの(価値を表す記号)として用いられている。

 「トークン=仮想通貨」という意味で、代表例として挙げられるのが「ビットコイン」だ。しかしビットコイン以外にも世界には様々な仮想通貨が存在しており、それらもすべてトークンといえる。一方、NFTは非代替性トークンとも呼ばれ、「唯一無二のトークン」つまりアーティストが作品に描く署名のようなものとして扱われる。実際、デジタルで作成された画像や動画がNFTによって取引されており、新たなデジタル資産として注目を集めている。

 トークンは特定の誰かが価値を決めるものではなく、利用者が相互に価値を信頼し合うことで形成される。このためGAFAM(Google、Apple、Meta=旧Facebook、Amazon.com、Microsoft)が情報を独占する現在のインターネット社会(Web2.0)に対し、トークンを活用して個人が互いに情報を持ち合う次世代のインターネット社会は分散型インターネット、もしくは「Web3.0」と呼ばれている。

 この記事ではインターネットに大きな影響を与えつつあるトークンについての話題を、過去の記事から振り返ってみる。

古民家再生支える「デジタル証券」 個人投資家開拓に新手法

 ビットコインなどの仮想通貨として知られるトークンだが、個人投資家を集める「デジタル証券」としても活用されている。デジタル証券は、安全性が高いブロックチェーン(分散型台帳)技術を使うため、第三者による認証がなくても自分の権利を証明でき、他の投資家への譲渡が容易になるなどの利点がある。

 神奈川県鎌倉市のエンジョイワークスではデジタル証券を活用したクラウドファンディングで古民家再生の資金を募集し、約80人の投資家から総額1500万円の調達に成功した。

企業のESG活動、ブロックチェーンでお墨付き

 トークンを支えるブロックチェーン技術は、企業のESG(環境・社会・企業統治)活動にも活用されている。追跡可能性に優れて改ざんが困難という特性を生かして天然資源や再生可能エネルギーなどの取引を証明し、金融市場での自社の評価を高めることもできる。

 また、ブロックチェーン技術は商品やサービスを選ぶ際に、環境や社会に与える影響を考慮する「エシカル(倫理的な)消費」にも活用されようとしている。

横浜で岩手の再エネを使えるわけ 電力も仮想取引

 ブロックチェーンの技術を使えば「岩手県で発電された電力を横浜の企業が買う」ことも可能になる。例えば、風力発電所が一定時間ごとの発電量に基づいてトークン(デジタル権利書)を発行し、利用者側は電力の使用量をスマートメーターで計測する。この両者をマッチングさせ、電力料金を精算するという仕組みだ。

つぶやき1つに3億円、次のバブルはデジタル資産「NFT」?

 ここ数年内に登場し、急速に注目を集めているのがブロックチェーン技術を使うNFTと呼ばれるデジタル資産だ。NFTは「Non-Fungible Tokens」の略で、「世界に一つ」であることを証明できる。これを活用することで、デジタル画像や動画などがデジタル資産として取引できるという。

 実際に、米ツイッターの創業者ジャック・ドーシー氏が2006年3月21日に投稿した初ツイートや、米プロバスケットボールNBA所属のレブロン・ジェームズ選手がダンクシュートを決める動画のNFTが競売にかけられている。

メッシの契約金の一部にトークン スポーツ界で普及する暗号資産

 NFTの一種、「ファントークン(fan token)」がスポーツ選手への支払いに利用されている。21年8月にリオネル・メッシ選手がサッカーのフランス1部リーグの強豪パリ・サンジェルマン(PSG)へ移籍した際、契約金の一部がPSGのファントークンで払われた。その額は当時のレートで約32億円にもなると報道された。

 ただし、ビットコインなどの暗号資産と同様に、ファントークンも大幅な価格変動にさらされており、規制当局が投資家に警鐘を鳴らす事態にも発展している。

メルカリとパリーグがNFT参入、スポーツ産業再興の一手となるか

 NFTの可能性に注目している企業の1つがメルカリだ。同社はプロ野球パリーグ6球団が出資するパシフィックリーグマーケティング(PLM、東京・中央)と組み、21年シーズンの名場面の動画を収録した18種類のデジタルデータを販売した。販売価格は1種類あたり2000円(税込み)からで、2万5000円(同)のものもある。

 販売開始当初は、いわば試合映像の「切り売り」だが、今後はブロックチェーン技術を用いたコレクションの再販や、購入者同士のコミュニティーを活性化させるツールも検討している。

ウェブ3.0時代の新しい組織の形

 ブロックチェーン技術を軸としたウェブ3.0は、米国のGAFAMが牛耳ってきたウェブ2.0を変えるといわれる。そんな中、新たな組織の運営形態として注目されているのが「DAO(ダオ、分散型自律組織)」だ。事業の参加者には現金や株の代わりにブロックチェーンのトークンが提供され、また個人の能力で組織に貢献した人は、報酬としてトークンを得られる。投資家としてトークンを購入することもできる。

 DAOは同じ目的を持った実務者と暗号資産投資家の集まりのような組織といえる。事業に参加するトークン保有者は誰でも、DAOで進める事業の運営方針に意見できる。このように、生まれた場所や年齢などに関係なく「多くの人々が好きなプロジェクトで自身の能力を発揮できる」のがWeb3.0の特徴だ。

最後に

 仮想通貨からデジタル証券、NFTなど、トークンが利用される場面はますます増えている。有名企業もNFTが秘める可能性に注目し、新たなサービスが次々に生み出されている。トークンが今後の私たちにどのような影響を与えていくか、注視することが必要なようだ。

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