事務職をはじめ、オフィスで働く人を指す「ホワイトカラー」。ホワイトカラーの人たちに関しては、これまで労働条件をめぐる議論やAIの発展に伴う議論などが数多く交わされてきた。この記事ではそうしたテーマを取り上げた過去記事をピックアップして紹介する。

「ホワイトカラー」をめぐる議論

 ホワイトカラーとは、事務職をはじめ、一般的にオフィス内で働く人を指す言葉だ。これに対し、肉体労働を伴う仕事をする人のことはブルーカラーと呼ぶ。

 ホワイトカラーには高度な専門職や管理職も含まれることから、欧米では労働時間ではなく労働の質(結果)によって報酬を決める「ホワイトカラー・エグゼンプション」という制度が導入されている。日本でも安倍晋三政権(当時)の働き方改革の一環として、ホワイトカラー・エグゼンプションをベースにした「高度プロフェッショナル制度」が議論され、2019年より導入された。

 一方、近年のAIの進歩によって、ホワイトカラーを含む多くの職種が近い将来に「消滅する」との予想がある。これに対してAIによって「新たな職種が登場する」「新たな価値が生み出される」との指摘もあり、今後の動きが注目されている。

 今回はホワイトカラーをテーマに、働き方改革をめぐる議論とAIに関する議論を過去記事から紹介していく。

働き方改革、労働条件改善の“アメ”から着手へ

 安倍政権(当時)が推し進めてきた「働き方改革」の中に、「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入が含まれている。ホワイトカラー・エグゼンプションとは欧米を中心に採用されている制度で、一定給与以上のホワイトカラー層を対象に、労働時間ではなく労働の質・内容で報酬を決めるというものだ。

 これに対して野党や労働組合は「残業代ゼロ法案」と反発し、政府・野党間の火種となっている。政府としては、まずは「働き手の待遇改善を強調する」ことで反発を和らげ、制度の導入を図りたい考えだ。

ゴールは「同一労働・同一賃金」

 民間企業の中には早々と「ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入するところも登場している。それが日本ネスレだ。

 外資系企業の日本ネスレだが、これまでは「終身雇用・年功序列」を前提とした日本式の雇用制度を採用していた。しかし2010年に高岡浩三社長兼CEOが就任すると(当時)、社内の働き方改革を次々と実行。テレワークの推奨や年功的給与・属人的手当の廃止、非正規社員の正社員化に加え、ホワイトカラー・エグゼンプションを導入した。

いよいよ「働き方改革」が法案審議に

 日本版ホワイトカラー・エグゼンプションともいえる「高度プロフェッショナル制度」。2018年の施政方針演説で、安倍総理(当時)は「同一労働・同一賃金」の実現や「働き方に左右されない税制」、そして「長時間労働解消」を訴え、一方で「専門性の高い仕事では、時間によらず成果で評価する制度を選択できるように」すると宣言した。

 同国会に提出される労働基準法の改正案が成立すれば、2019年より日本でもホワイトカラー・エグゼンプションがスタートすることとなる。(日本版ホワイトカラー・エグゼンプション「高度プロフェッショナル制度」は、2019年4月より導入された)

ホワイトカラーの仕事も、AIに取って代わられる

 AIの進歩は「人間の職を奪う」と言われている。多くはブルーカラーの仕事が対象だが、ホワイトカラーも決して例外ではないという。

 たとえば「広告戦略を練り上げ、実施する」といった高度な仕事も、AIを活用した「広告管理ソフトウエア」なら、より正確に、高い精度でこなすことができる。複雑な経営判断もディープラーニングによって対応可能だ。

ロボット導入が、人の価値を高める

 自動化技術であるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)も、AIを活用することでホワイトカラー業務の半数を代替できる。一方で、RPAの導入をすればチェックやミスの訂正にかかる時間が不要になり、これまで属人的だった業務プロセスの共有も可能だ。

 結果として一部の仕事は奪われるものの、「人間がすべき業務は、より付加価値の高い領域にシフト」していくという。

ロボット化が問う、人間が発揮すべき価値とは

 AIと連動したRPAの導入は、より価値の高い「クリエイティブな事業推進者」の活躍の場を広げる。また経理・人事・総務・法務・監査・工場管理といった仕事についても、作業自体は(RPAの)ロボットが行うものの、意思決定は人間の役目だ。

 これからのホワイトカラーには、AIやRPAをより効果的に活用していくためのスキルやセンスが求められることになる。

最後に

 事務職や管理職に代表されるホワイトカラー。特に専門性の高いホワイトカラーについては、「労働時間の上限」をめぐる議論がこれまで活発に交わされてきた。加えて、AIの進歩がホワイトカラーの仕事に与える影響も注目を集めている。これはブルーカラーも含め、すべての労働者に影響する問題だ。引き続き、興味深く見守っていきたい。

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