新型コロナウイルスの感染拡大により、政府は個人や企業への支援策として多くの給付金施策を打ち出している。そこで本記事では、過去のニュースを振り返りながら、現在政府が打ち出している給付金についての情報を一部紹介する。

新型コロナ禍に対応すべく、政府が打ち出した給付金は?

 現在、政府が打ち出している給付金は、大きく分けて個人向けと個人事業主・企業向けの2つ。個人向けのものには、住民票のある人(2020年4月27日時点)が対象となる、特別定額給付金(一律10万円)、離職・廃業から2年以内、またはやむを得ない休業などで失業の場合と同程度に収入が減った人(フリーランスの人を含む)が対象となる、住居確保給付金などがある。また後者は、雇用維持のため労働者に休業手当などを支払う事業者が対象となる、雇用調整助成金の特別措置や、事業収入が前年同月比 50%以上減少した事業者が対象となる、持続化給付金などが挙げられる。

新型コロナが浮き彫りにした格差社会の危険な先行き

 経済的理由から病院に行けない人は、2008年のリーマン・ショック以降、国内でもたびたび報告されてきた。2009年に全日本民主医療機関連合会が、加盟医療機関を対象に行った調査では、経済的な理由から受診が遅れ死亡に至った事例は、2009年の1年間だけで少なくとも47件もあった。また、2014年に行われた「非正規第一世代」の氷河期世代を対象にした調査で、壮年非正規雇用者の15.9%が「お金がなくて病院に行くのを我慢したことがあった」と答えていることからも、“目に見えない格差”が身近に存在することが分かるはずだ。そんな中のコロナ禍である。「今後仕事はどうなるのだろう? ちゃんと稼げるのだろうか?」と不安定な状況にある非正規やフリーランス、利用者が激減している旅館やレストラン経営を行う人々への対応が求められている。

新型コロナの“需要消滅”が招く雇用危機、「倒産する」悲鳴続々

 新型コロナウイルスの感染拡大による影響が、雇用にも及び始めている。最初に「雇用クライシス」が顕在化しているのが、感染防止のための外出自粛の影響を直接受けている、飲食店などサービス業の小規模事業者だ。政府は給付金などを用意し、中小企業の経営悪化による雇用リスクを抑えようとしているが、状況は厳しい。東京都内でワインレストランなど数店舗を展開する外食企業は3月末、1店舗を残して閉店・休業することを決めた。再開する見通しは立っておらず、社員やアルバイト約50人に、男性幹部は「4月分の給料は払えない。辞めてくれと頭を下げた」と明かす。

10万円の特別定額給付金について知っておくべき10のこと

 政府は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策として、全国民を対象に「特別定額給付金」として一律10万円を支給する。事業費は事務費を合わせて12兆8803億円だ。給付を受けるにはどのような手続きが必要なのか、本記事では、給付の対象、どのように受け取れるか、いつ受け取れるのかなど、定額給付金について今知っておくべき10のことを解説した。

 例えば、その申請方法だ。受け取りを希望する場合は、住民基本台帳を基に、市区町村が世帯全員の氏名が記載された申請書を登録住所に郵送。世帯主や代理人が金融機関の口座番号などを記載し、運転免許証の写しなどの本人確認書類を添付して返送すると、世帯分の給付金が口座に振り込まれる。マイナンバーカードを持っている場合は、オンラインで振込先口座を入力し、口座の確認書類をアップロードするなどすれば、同様に振り込まれる。

「消費減税」vs.「現金給付」vs.「商品券」

 しかし、政府が打ち出したこの10万円給付施策は、コストパフォーマンスが悪いという声も聞かれていた。それは、過去に2兆円規模で実施した定額給付金と同様、消費ではなく貯蓄に回る部分がかなり出てくるとみられ、コストパフォーマンスが悪すぎるからだ。さらに言えば、イベントや外出の自粛など感染拡大防止策がとられている期間においては、その現金を消費に回す機会自体が著しく減っている。

 そうした現金給付のデメリットも意識しつつ主張する向きがあるのが「商品券」配布だった。有効期限を定めて配れば、現金給付の場合よりも消費に回る度合いは高くなるのではないかという発想に基づく。自民党内では、岸田政調会長が現金給付に傾く一方で、二階幹事長は商品券配布を支持していたという。

安倍首相「もう政策論じゃない」…一律10万円給付「成功体験」の行方

 また、10万円給付について、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野 泰也は、問題点をこう指摘する。同氏は「SNS上の投稿を読んでいると、政府による一律現金給付は国の借金(国債の発行)を増やしながらするものであって、その借金は将来世代による納税などの負担で返済されるはずだという意識が全くなさそうな人が、相当多いことに気づかされる」と述べる。

 「これは『お金が天から降ってくる』かのような非現実的な認識であり、財政面の規律は草の根レベルでもかなり緩んできたなと感じさせられる」。そうした中、SNS上で示されるものを含め、人々の間で蓄積する不満が政治家を動かす形で、一律10万円の現金給付が実現した。この一種の国民側の「成功体験」が今後、どのような形で日本の政策運営に影響してくるのか注目していく必要があるだろう。

新型コロナで浮き彫りになる「仕切れない財務省」問題

 「強い官邸」の意向を踏まえ、2度にわたる消費増税延期や増税分の使途変更にも従った財務省。組織防衛のためにも「安倍政権の間は出しゃばらず、政策のアイデアも無理をしてまで官邸に持ち込む必要はない」が幹部の共通認識だ。そんな官邸と財務省との微妙な距離が今回は裏目に出ている。10万円の一律給付への転換はその一例だ。

 もともとの案である減収世帯への30万円給付策を巡っては、政府内で1世帯当たり20万円とする方向で調整が進んでいた。だが、「ポスト安倍」を狙う岸田氏の手柄としてアピールしようと首相周辺や麻生太郎副総理兼財務相らがシナリオを描き、岸田氏の上積み要請に首相が応じて30万円に引き上げることになったとの解説が流布された。

最後に

 ここまで、コロナ禍を受けて政府が打ち出した給付金について、過去のニュースを紹介しながら解説してきた。一律10万円の給付や事業者への給付など、政府は立て続けに施策を打ち出しているが、厳しい意見も多く寄せられている。様々な角度からの見解を知った上で、引き続き今後の動向を見ていくべきだろう。

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