世界最高峰の障害者競技大会であるパラリンピック。近年はオリンピックに近い人気を集めつつあり、2021年の東京大会にも期待が寄せられる。この記事では過去記事に掲載された、関係者の声や思いを紹介していく。

「パラリンピック」の歴史と、込められた思い

 4年に一度、オリンピックと同じ年に開催されるパラリンピック。障害者スポーツの分野で世界最高峰の総合競技大会だ。夏季大会は1960年のローマ大会を皮切りに、2016年のリオデジャネイロ大会に至るまで、これまで計15回のパラリンピックが開催されている。

 パラリンピックに参加するアスリートは、身体障害や知的障害などさまざまな障害がある、その程度も多様。しかし現代のパラリンピックは福祉的な側面よりも競技そのものに注目が集まる。その証拠に2012年のロンドン大会では大会史上初めてチケットが完売し、2016年のリオデジャネイロ大会ではスマートフォンアプリによるライブ中継が実施された。

 次のパラリンピックは、東京大会。競技者はもちろん支援者の間でも、「東京パラリンピック」が東京や日本のバリアフリー推進に大きく貢献するとの期待が広がる。今回の記事ではそうした意見や関係者の思いについて、過去記事から振り返っていく。

チャレンジすべきことが多いって素晴らしい

 2020年東京オリンピック・パラリンピックで、組織委員会の参与に就任した乙武洋匡氏。観客として訪れた2016年のリオデジャネイロ大会では、パラリンピックに対する興味・関心の高まりを体感したという。

 乙武氏は、「私は障害者ですが、ほかの障害に詳しいわけではない」と語る。組織委員会にもっと「当事者」を迎え入れ、準備段階からその視点を生かすことが東京大会の充実につながると話す。

障害者と健常者の境界はあいまいになる

 陸上競技で3度のオリンピックに出場した為末大氏。パラリンピックに代表される障害者スポーツにも深い関心を持ち、2014年には義足開発会社のXiborg(サイボーグ)を立ち上げている。

 為末氏によると、義足の技術開発が進み「パラリンピアンがオリンピアンに勝つ」場面も現実のものとなりつつある。スポーツの世界で障害者と健常者との境界線がなくなれば、日常の中でも「健常」「障害」と分ける常識が揺らぐと話す。

 2012年ロンドン大会後、「障害者をサポートしようという雰囲気が浸透したり、新しい建物がバリアフリー設計になっていたり」と、意識の変化を感じた為末氏。東京大会でも、バリアフリー化に向けた実験的な取り組みが行われることを期待している。

パラリンピックは選手を支える意識の競争

 「パラリンピックは、選手を支える国や国民の意識の高さや気持ちの大きさで競う大会」と語るのは、セブンユニホームの本島得二社長だ。2016年リオデジャネイロ大会に出場する岩渕幸洋選手(卓球)のスポンサーだ。

 本島社長によると日本のパラリンピック選手は、オリンピック選手以上に経済的な負担が大きい。ユニホーム、道具、遠征費などを自己負担するため競技生活に専念できず、仕事と競技生活とを両立できず試合への参加を断念する人もいる。これに対し、国や社会が選手を支える仕組みのある国では、選手のレベルも高くなる。

ブラインドサッカー通じ、混ざり合う社会実現へ

 パラリンピックの中でも人気の競技「ブラインドサッカー」。その普及を目指す日本ブラインドサッカー協会は、収入の約45%が法人からの協賛金・寄付金、約30%が事業収入となっており、国や自治体からの補助に依存しすぎない「自立的な運営」をしている。

 障害者競技団体では収入の80~90%を補助金・助成金で賄っているケースも珍しくない。しかし同会の収入形態は、ブラインドサッカーをはじめとする障害者スポーツに興味・関心を持つ団体や、それを「教育やビジネスに役立つワークショップ」として活用する団体が増えつつあることを示している。

障害者雇用をバブルに終わらせない

 世間の注目を集めつつある障害者の就労やスポーツ。これを「バブルに近い状態」と語るのは、社会福祉法人「太陽の家」の創設者で整形外科医の中村裕氏。1964年の東京パラリンピックで団長を務めた人物だ。

 これまで「障害者は仕事を持ち自立することが最も重要」という信念で活動してきた中村氏。近年の環境の変化については、「その思いが今の時代に浸透してきた」と感じる一方で「バブルに終わらせてはいけない」と指摘する。

 障害者の雇用やスポーツがバブルで終わってしまうのか、さらに発展して続いていくのか。2020年東京パラリンピックが「1つの岐路になる」と注目されている。

最後に

 4年に1度、オリンピックに続いて開催されるパラリンピック。障害者スポーツの最高峰大会は近年ますます注目されつつあり、多くの人の感動を呼んでいる。2020年の東京大会は、 新型コロナの影響で1年延期された。開催の是非は依然として議論のただ中にあるが、この大会が日本社会にどのような影響を与えていくのか、引き続き注目していきたい。

 さらに詳しい記事や、会員限定のコンテンツがすべて読める有料会員のお申し込みはこちら

この記事はシリーズ「テーマ別まとめ記事」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。