危険な運転によって他のドライバーやライダーを脅かす「あおり運転」。2017年の死亡事故をきっかけに大きな社会問題となり、その後の取り締まりやドライブレコーダーの普及にも影響を与えた。今回はあおり運転に関連する、これまでの記事を振り返ってみる。

「あおり運転」とその影響

 走行中に不要な幅寄せをしたり、極端に車間距離を詰めたりして他のドライバーやライダーの走行を妨害する「あおり運転」。こうした危険運転やそれによる事故は昔から珍しくない。しかし2017年、あおり運転の被害者夫婦が高速道路上で死亡した事故は世間に大きな衝撃を与え、それ以降大きな社会問題となった。

 あおり運転への注目は、法制度や取り締まり方法についての議論はもちろん、民間企業の経済活動にもさまざまな影響を与えている。特に、被害者(になるかもしれない)側の自衛やあおり運転の抑止を目的とするドライブレコーダーは一気に普及が進み、自動車メーカーやパーツメーカーによる製品開発も盛んだ。ドライブレコーダーの映像が、警察や保険会社による事故の検証に活用されるケースも少なくない。

 今回はあおり運転とその影響をテーマにした過去記事から、注目すべきトピックを紹介する。

ドラレコ販売急増。あおり運転厳罰化で「自衛」ニーズ

 2020年7月に施行された改正自動車運転処罰法。危険運転の適用範囲を広げ、新たに「あおり運転」を取り締まりの対象とする内容だ。6月には改正道路交通法も施行され、あおり運転が「妨害運転罪」として厳罰化された。

 この影響を受けたのがドライブレコーダーだ。これまではタクシーやトラックなどビジネスユースが中心だったが、あおり運転に対抗する自衛手段として一般車両のユーザーにも売れている。ある大手自動車用品店では、ドライブレコーダーの売り上げが前年と比べ35%増えたという。

JVCケンウッド、ドラレコが導く「脱・メーカー」

 あおり運転の社会問題化をきっかけとしたドライブレコーダーの普及は、メーカー各社にも大きな影響を与えている。JVCケンウッドも、そうしたメーカーの1だ。

 JVCケンウッドは、カーナビやドライブレコーダーといった自動車用機器のメーカーとして大きなシェアを持っている。しかしドライブレコーダーの需要急増をきっかけに、現在は単にハードウエアを製造するだけでなく、ハードと連動するサービス開発にも積極的だ。

 例えば大手損害保険会社の自動車保険に「ドラレコ特約」が採用されるよう働きかけたり、DeNAが提供する商用車向け運転支援サービスに通信機能内蔵のドラレコを提供したりしている。

スマホがドラレコになるアプリ登場、無料の狙いは撮影データ

 スマホを活用したドライブレコーダーアプリも登場している。AIベンチャーのニューラルポケットが提供する「スマートくん」は、運転中の動画撮影・保存に加え、AIが前方車両や信号機、人の動きを分析し、ドライバーに警告してくれる機能を備えている。しかも無料だ。

 同社ではサービスを通して収集した「車両の台数といった混雑状況や白線の欠落など」のデータを、「倒木や落石情報の自治体との共有や、運送会社への渋滞情報の提供、自動運転に必要な道路地図の提供」といった新たなサービス開発に生かしていく考えだ。

違反運転のドラレコ動画を募集、警察「現認」代わりに

 ドライブレコーダーの情報は警察にも活用されている。一般に交通違反の取り締まりは警察官による現認(現場での確認)によって行われるが、「時間や場所の特定が可能な」ドライブレコーダーの映像が、現認の代わりになるというのだ。

 すでに岡山県警では「岡山県あおり110番鬼退治ボックス」というサイトを開設し、情報の提供を呼びかけている。また「こうした情報提供サイトがあることで、危険なあおり運転や追い越しなどを抑止し、交通安全につながってほしい」と、抑止効果にも期待が寄せられている。

ドラレコだけじゃない「あおり対策」で使える新機能

 自動車メーカー各社も、こうした「あおり運転対策」に力を入れている。例えば日産自動車の新型車に搭載される「SOSコール」、トヨタ自動車やホンダなどの車両に搭載できる「ヘルプネット」といった緊急通報システムは、「急病や危険を感じたときなどにボタンを押すとオペレーターとつながり、ハンズフリーでやり取りができる」という。

 とはいえ、事故を避けるにはドライバー一人ひとりの意識が重要だ。警視庁のホームページでは、ドライバーに向けたメッセージとして、

  • 車間距離をとって運転する
  • みだりに車線変更はしない
  • ほかの車の前方に割り込んだり、並走している車に幅寄せしたりしない
  • 2車線以上の場合、一番左の車線を通行する

 などの項目が挙げられている。

最後に

 社会的に大きな注目を集めた「あおり運転」。死亡事故にもつながりかねない危険行為として、警察による取り締まりが強化されている。それでもあおり運転の事例は後を絶たない。自衛を目的にドライブレコーダーを導入するのも大事だが、まずは一人ひとりが、あおり運転をしない・させない意識を持つことも重要だ。

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