米国の巨大IT企業集団、GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon.com、Microsoft)。これらの企業は世界中で事実上の「社会インフラ」とみなされる一方で、強すぎる影響力が懸念されている。今回は過去記事を通して、GAFAMをめぐる識者の意見や世界の動きを紹介していく。

巨大IT企業「GAFAM」の影響力

 GAFAMとは米国の巨大IT企業、Google、Apple、Facebook、Amazon.com、Microsoftの5社を指す言葉だ。これらの企業はいずれもグローバルなサービスを展開しており、米国内だけでなく全世界で膨大な収益を上げている。

 事実上の「社会インフラ」として、多くの人の生活やビジネスに欠かせない存在となったGAFAM。だが強くなりすぎた影響力を危惧する声も大きく、識者の一部には、GAFAMが資本主義など既存の社会秩序を破壊しかねないと指摘する人もいるほどだ。

 一方で世界にはGAFAMに対抗しようとする動きもある。その筆頭が、BATと呼ばれる中国の3大IT企業、Baidu(バイドゥ)、Alibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)だ。日本でも、小規模ながら注目すべきITベンチャーが誕生しつつある。

 今回の記事ではGAFAMをめぐる話題を中心に、過去記事を振り返っていく。

サイボウズ青野社長「GAFAMという“ゴジラ”が資本主義を揺さぶる」

 GAFAM5社の時価総額は日本の東証1部上場企業の合計よりも大きく、国家よりも強くなっているという。そのGAFAMを「ゴジラ」に例えて「国家を超えるゴジラが生まれた時代に我々はどうやって暮らすかを考えなければなりません」と語るのは、サイボウズ社長の青野慶久氏だ。

 GAFAMが提供するサービスは多くの国で「社会インフラ」となっており、これによって国家間、企業間という概念が破壊されていると青野氏は語る。そして、そのような時代には「会社のあり方」も多様になるべきだという。

 各企業が「この企業はどのような社会的意義を持ってこの集団の存在をつくるのか」をしっかり表明し、国も法制度によってそれを促進すること。そしてオープンな情報共有のもとにオープンな議論をすること。青野氏によれば、それが「巨大IT企業が国家よりも力を持つ時代」の社会のあり方だ。

データで見るBAT 巨大な市場追い風にGAFA追う

 GAFAMに匹敵するといわれる、中国のBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)。2019年6月の株式時価総額ランキングではAlibabaとTencentが世界のトップ10位内に入っており、特にネット通販の市場規模やライドシェアではすでに米国企業を上回っているという。

 BATの急成長は、中国政府の後押しと、「約14億人」という巨大な市場に支えられている。たとえば「インターネットの利用者数」は、米国の2.93億人に対して中国は7.3億人。またキャッシュレス決済の比率は、米国の45%に対して中国は60%に上るという。

 「収益力」ではまだまだGAFAMに分があるものの、東南アジアを中心に海外進出を強化するBATが、GAFAMに並ぶ日が来るのも想像に難くない。

「日の丸AI」急上昇。技術で巨人GAFAMに挑む4社

 企業規模や収益力ではGAFAM(そしてBAT)に及ばない日本企業。しかし近年は、新興ITベンチャーを中心に高い技術力で存在感を高めている企業も現れてきた。

 特に近年注目を集めているのが、プリファード・ネットワークス、アベジャ、シナモン、リープマインドの4社だ。これらの企業は自社開発のAI技術を武器に、時には巨大IT企業と同じ土俵で、時には隙間を縫いながら、GAFAMやBAT、そして他の日本企業とも違う独自のビジネスモデルを展開している。

米のデジタル課税受け入れ、米国第一だが「夢の税制」への第一歩

 世界中で収益を上げるGAFAMに対し、欧州諸国では「課税逃れ」を指摘する声がある。これに対し米国・バイデン政権が「国境を越えて活動する巨大多国籍企業を対象とする新たな税」を打ち出し、注目を集めている。

 この税制度はGAFAMなどを念頭に置いており、特に米国企業にとって不利と考えられる。このため専門家の中には、今回の米国の動きを「革命的」と表現する人も少なくない。とはいえバイデン政権では課税対象をIT企業に限定せず、むしろ独フォルクスワーゲンなど海外の巨大多国籍企業もターゲットにしている。これにより「米国内の格差解消に役立てる」「民主党左派の支持を固める」のが狙いだ。

 それでも世界的には画期的な「夢の税制」であることに変わりはない。今後はOECD(経済協力開発機構)とG20(主要20か国)で議論が進められることになり、BATを抱える中国の反応を中心に、世界の注目を集めている。

最後に

 GAFAMが提供するサービスは、すでに多くの国で「社会インフラ」となっている。だが強すぎる影響力や、多国籍企業ならではの「税の不平等」は、時に国際社会の懸念材料となっている。この先GAFAMがどのように成長していくのか、これらの巨大IT企業に挑む日本企業は現れるのか、そして世界標準の税制は制定されるのか。こうした問いの答えに、引き続き注目していきたい。

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