新型コロナウイルス感染拡大の状況下で、リモート会議ツール「Zoom(ズーム)」の利用拡大が著しい。会議からオンライン飲み会まで様々な用途で使われ利点も多いズームだが、急激な利用の拡大に伴い問題も多発しているようだ。以下、ズームに関する記事をまとめてご紹介する。

Zoomとは?

 リモート会議ツール「ズーム」を提供するズーム・ビデオ・コミュニケーションズは、2011年に米カリフォルニア州で設立された。スタンフォード大学のエグゼクティブプログラムを卒業したエリック・ユアン氏が創設者であり最高経営責任者(CEO)だ。ユアン氏は、2019年世界長者番付にランクインした。2019年末にはズームの有料会員数は1000万人だったが、2020年4月には一日の利用者が3億人を突破。現在も急激な成長を遂げている。

セキュリティー問題で逆風、それでも伸びるZoom

 ズームの安全性やプライバシーなどの問題が起き、ユアンCEOが釈明する事態に。だが、問題が発覚してから対応するまでのスピードは早く、ズームが問題に正面から向き合う姿勢は結果的に評価を高める形となった。現在の状況下で、今後も企業や個人での利用者は増えていくだろう。再び問題が起きた際に、今後も真摯な姿勢で向き合い続けられるかどうかもズームの将来を左右する。

ZoomユアンCEOに聞く、「安全性の問題はすべて修正する」

 ユアンCEOは、利用者が増えた要因について、サービスの品質と使いやすさ、そしてイノベーションを実現している点にあると分析する。指摘されてきたセキュリティー問題については、新しい機能を凍結することで、セキュリティーやプライバシー機能を強化する開発に力を注ぐという。ズームに備えられているイベント機能を利用したマーケティングや一般ユーザーによるズーム飲み会など、利用の幅は増えている。コロナ状況下でズームが過大評価されているという指摘もあるが、収束後も新しい働き方や生活が定着し、成長は続くだろうとユアンCEOは話す。

広がるオンライン飲み会、背景画像で飲食店支援

 現在苦境に立たされている飲食店。この状況を変えるべく、「ONLINE PARTY MARKET」は飲食店のフードではなく、各飲食店の「画像データ」の販売を行った。背景には、外出自粛が求められ、ズームなどを使ったオンライン飲み会が広がっていることがある。こうしたツールでは背景を差し替える機能を搭載していることが多く、こうした背景画像用に飲食店の写真の販売をすることで売り上げに少しでも貢献することが狙いだ。ONLINE PARTY MARKETでは、写真データ販売の売り上げから手数料を差し引いた金額を飲食店に還元する仕組み。飲食店からの問い合わせは急増しており、ありがたい存在となっているようだ。

休校で奪われる教育機会、AI教材は救いの手となるか

 オンライン授業の導入が一部にとどまっている中、AIを利用した教材の活用に注目が集まっている。例えば、「COMPASS(東京・品川)」では、生徒の習熟度に合わせて最適な問題を出題するAI型タブレット教材を提供しており、これは全国の100校以上で利用されている。また、大手学習塾も積極的にAI教材を導入している。「atama plus(東京・品川)」が提供するAI教材では、個別指導や自宅学習などの良い点を取り入れられるようだ。オンライン授業がなかなか進まない背景には、オンライン授業を受けられる機器がそろっていないという要因が大きい。AIを使った教材の必要性は今後も増していくだろう。

在宅勤務3カ月経過のGMO、社員に何が起こっているか

 GMOインターネットグループは在宅勤務に切り替える環境が整っていた。東日本大震災を機に、在宅勤務の訓練日を取り入れていたためだ。仕事を誰に依頼して進捗がどうなっているか、自社開発のタスク管理システムを活用している。また仕事の段取りを効率的に報告する習慣が身に付いているという。

 仕組みが整っていたこともあり、在宅勤務に切り替えたことで時間に余裕ができるという利点があったようだ。だが一方で課題もある。社内アンケートによると、デバイス整備から、対面研修ができない、また集団に所属するが故に得られていた幸福度が下がっているのではないかといった問題があるという。現在同社はこうした問題に取り組んでおり、この事例は他社の参考にもなりそうだ。

新型コロナ、危機克服に「エンゲージメント」が大切な理由

 働きがいのある会社ランキングで3年連続1位を獲得しているコンカー(東京・中央)。同社では在宅勤務に移行にしたことで、モチベーションなどの向上に成功した。その要因とは何だろうか。三村真宗社長は、現在の状況下でも社員は積極的にできることを探してくれていると話す。ズームを使って仕事の合間に自主的につながるだけではなく、リモート営業に使うコンテンツ作成などにも取り組んでいるようだ。在宅勤務の成功要因について三村社長は、もともと社員間の絆が強かったことが安心感につながり、現在でも業績の向上にもつながっていると指摘する。

 厚生労働省の調査によると、仕事へのエンゲージメントの高さと生産性の高さには相関関係があるという。エンゲージメントが高い組織であれば、このような危機でも対応していくことができるようだ。

デモと新型コロナで加速、香港教育オンライン化の光と影

 香港の大学ではスムーズなオンライン授業への移行が可能だった。昨年の抗議活動で、大学にも影響があり、ズームを使ったオンライン授業をすでに導入していたからだ。授業のズーム利用には、様々な利点や課題が浮上しているようだ。例えば、イベントや図書館もオンライン化が可能であったり、授業中はカメラで一人一人の顔が見えたりするという利点がある。しかし一方で、試験や実習では不正が生じたり、そもそも行えなかったりいといった課題があるようだ。また、安全性についても誰でもアクセスしやすいことから、部外者が入るといった事例も報告されているようだ。また、オンライン授業では、オフラインで行えるはずだった経験ができないという理由で、学費返還を求める動きもあるという。オンライン授業を進めていく前に、教育とは何かを見つめ直す必要があるかもしれない。

Zoomに心を許さない理由

 グループ通話の参加者は、リアルの対面に比べて「空白」「沈黙」を恐れる傾向にある。無意識のうちに間を消しにかかった経験はないだろうか。人は会社などで公的な人間として振る舞うとき、社会に対峙するために服装と肩書と場の決意の助けを借りている。また、一人で過ごしているときは、多かれ少なかれ人格を変容させているはずだ。テレワークを介して、自室に会社員の自分を召喚したり、逆にオフィスにプライベートの自分を派遣したりしたら、あるタイプの人間は破滅するだろう。

最後に

 現在の状況で急速に広まったズーム。新型コロナ収束後も在宅勤務やテレワークの動きは継続されし、今後もズームのようなオンライン会議ツールの需要は高まりそうだ。また、それに伴うデバイス環境を整えていく必要性もありそうだ。

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