国家や団体、個人の資産を凍結したり、国際取引を制限したりする「経済制裁」。日本では外為法に基づき、国際平和や日本の平和安全の確保を目的として行われている。今回はウクライナ危機をめぐるロシアに対する経済制裁について、これまでの記事から振り返る。

経済制裁とは

 経済制裁とは、特定の国や団体、あるいは個人に対する不買運動や商船の臨検、資産凍結といった制裁措置の総称だ。

 経済制裁の目的や根拠、内容は国によって異なる。日本の場合は「条約その他の国際約束の履行、国際平和のための国際的な努力への寄与、日本の平和安全の維持」などを目的とし、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」に基づいて発動される。具体的な制裁内容としては「資産凍結」が中心だ。

 こうした経済制裁は日本単独で実施することもあるが、欧米など他の国と歩調を合わせて行われることもある。2022年2月26日より数次にわたり実施されているロシアへの経済制裁もその一つとされている。

 この記事では日本や欧米によるロシアへの経済制裁の経緯やその影響について、これまでの記事から要点をピックアップしていく。

歴史に学ぶ経済制裁、なぜ日中・日米戦争を止められなかったのか?

 ロシアへの経済制裁が注目を集めている。一方、かつての日本も戦争行為をきっかけとする経済制裁を米国から受けた経験がある。1941年8月に行われた石油輸出の全面禁止や日本人が米国に持つ資産の凍結がそれだ。しかしこの経済制裁は、戦争抑止という点ではほとんど効果がなかったという。

プーチンも変えられず、ロシア「資源一本足経済」のもろさ

 経済制裁を受けるロシア。2020年の名目GDP(国内総生産)は「世界11位」となる1兆4785億ドル、原油供給量は世界3位、天然ガスの供給量は世界2位という経済大国・資源大国だが、エネルギー資源などへの依存度の高さがロシアの弱みになっているという。

自ら成長の芽を摘むロシア…原油・天然ガス、買い手の離反広がる

 厳しい経済制裁を受けて、ロシアが輸出する原油や石油製品の需要が落ち込んでいる。メジャーと呼ばれる国際石油資本の買い控えなどの影響で、ウクライナ侵攻前から3割減っているという。産油量を維持したいロシアはインドなどに値下げを持ちかけているというが、その一方で近年ロシア産原油の調達を増やしている中国の動向にも大きな注目が集まっている。

ロシア制裁で欧州エネルギー危機、フランス大統領選でも主要争点に

 ロシアに経済制裁を科す欧州に、深刻なエネルギー危機が広がっている。日常生活に直結するエネルギー料金は国民にとって重要な関心事となっており、フランス大統領選挙ではエネルギー料金の税率引き下げを公約に掲げるマリーヌ・ルペン候補が一定の支持を集めるなど、選挙の争点になった。

ロシアの陰で日本企業に迫る中国の脅威…狙われる素材・部品・装置

 ロシアへの経済制裁に世界の耳目が集まる中、着実に影響力を伸ばしているのが中国だ。22年3月上旬に開かれた全国人民代表大会(全人代) でも、対ロシア経済制裁を注意深く観察して、自国に対する経済制裁があった場合の防衛策を講じる姿勢が見られた。

残留か撤退か…自動車、ロシア事業にレピュテーションリスク

 ロシアでの経済活動が困難になる中、日本の自動車メーカー各社はロシア市場に残留するか、撤退するかの難しい判断を迫られている。トヨタ自動車、日産自動車、いすゞ自動車は撤退の方向、三菱自動車とマツダは生産・販売を継続する方針だ。

ロシア中銀の女性総裁、「ルーブル防衛」ミッションクリア!

 ロシアへの経済制裁が依然として続く中、一時急落していたロシアの通貨ルーブルがウクライナ侵攻前の水準に回復した。この「成果」をもたらしたのは、ロシア中央銀行のエルビラ・ナビウリナ総裁だ。ナビウリナ氏はユーロマネー誌の「今年の中央銀行総裁」に選ばれたこともある人物で、その手腕には定評がある。

最後に

 ウクライナ侵攻を続けるロシアへの圧力として実施された経済制裁。これによりロシアの石油輸出量は3割も減少したが、ロシアの通貨・ルーブルは侵攻前の水準に戻るなど制裁の効果は限定的だ。中国やインドのように、大きな経済力を持ちながらロシアとの関係を維持している国もある。現在の経済制裁が、果たしてウクライナ侵攻の歯止めとなるかどうか引き続き注目していきたい。

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