さまざまな商品やサービスを利用するための「場」となるプラットフォーム。IT(情報技術)の世界では米GAFAをはじめとする巨大IT企業がプラットフォーマー(プラットフォーム提供者)となり、市場において優位的な地位を占めている。今回はいくつかのプラットフォームを取り巻く現状と、日本企業がプラットフォームを生み出すためのヒントに注目する。

プラットフォームによって優位的な地位を占める企業とは

 プラットフォームとは、商品やサービスを利用するための「場」のことだ。プラットフォームを提供する事業者はプラットフォーマーと呼ばれ、自社のプラットフォームを社会に提供することで利用者を増やし、市場で優位的な地位を占めることで巨大な利益を上げている。

 インターネット時代において、有力なプラットフォームを提供しているのは米GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック=現メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム)をはじめとする巨大IT企業だ。これらのプラットフォーマーが提供するサービスは日本国内でも圧倒的なシェアを占めている。日本企業にもいくつかの分野でプラットフォーマーは存在するが、GAFAや中国のBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)に匹敵するような企業はない。

 この記事ではプラットフォーム(プラットフォーマー)の現状や周囲の動き、日本企業に開かれているチャンスなどについて過去記事から紹介していく。

勝者総取りのビジネス プラットフォーマーがつまずく日

 ビジネススクールにおけるケーススタディー執筆の大家として知られる、デビッド・ヨフィー米ハーバード経営大学院教授によると、プラットフォームには技術的な基盤となる「イノベーションプラットフォーム」と、取引を仲介する「取引プラットフォーム」の2種類があるという。

 どちらのプラットフォームにも共通しているのは、プラットフォームの利用者が増えるほどネットワークとしての価値と利用者の便益が高まる「ネットワーク効果」をビジネスの土台としていることだ。

規制もどこ吹く風、コロナ禍で「焼け太り」のGAFA

 国際的なプラットフォームを提供するGAFA4社と米マイクロソフト。5社の時価総額の合計は2020年4月に560兆円となり、日本の東証1部(当時)上場企業の合計時価総額を超えた。

 新型コロナウイルス禍で世界経済が深刻なダメージを受ける中、「巨額の投資でイノベーション(技術革新)を引き起こし、顧客のニーズを満たすサービスを創造して巨額の利益を得る」プラットフォームビジネスは縮小するどころか、さらに勢いを増しつつある。

データを掌握される前に中国を追い越せ

 米国のGAFAに続き、IT分野のプラットフォーマーとして力をつけているのが中国のBATHの4社だ。これらの企業が提供するサービスは、もともとはGAFAなどの「コピー」だ。しかし13億人超の中国市場を背景に、いまや本家をしのぐほどの急成長を遂げつつある。

アマゾンとイノベーションの歴史、日本の敗因と新たなチャンス

 米国や中国でイノベーションのプラットフォーム企業が登場する一方、日本では過去30年間にわたりこうした企業は現れていない。その背景には有力な日本企業が長期安定の長寿企業であることと、日本企業が1980年ごろから始まった「コンピューター」と「インターネット」の波に乗り遅れたことがあるという。

メルカリ、ヤフーLINEが目指す社会と共存するプラットフォーマー

 それでも少数ながら、独自のプラットフォームによって成長を遂げつつある日本企業は存在している。たとえば個人間取引のプラットフォームを提供するメルカリ、検索型求人サイトを展開する米インディードを傘下に抱えるリクルート、2021年に経営統合した、ヤフーを傘下に持つZホールディングスとLINEなどがその一例だ。


デンソーやVAIOがお手本 日本勢は製造現場の「知恵」を売れ

 野村総合研究所(NRI)の小宮昌人主任コンサルタントによると、日本の製造業はデジタル技術を取り込むことで「ものづくりのプラットフォーム」になれる可能性がある。

 たとえばデンソーは自動車部品のものづくりで培った生産技術を標準化し、FA(ファクトリーオートメーション)システムとして売り出している。またパソコン製造で知られるVAIOも自社のノウハウを生かした電子機器受託製造サービス(EMS)を売り出しており、他の製造業者のお手本になるという。

中小企業でも狙える 小さなプラットフォーマー

 プラットフォームは大手企業だけの専売特許ではない。中小企業にも「サービスの場を提供し、多くのプレーヤーが集まって多様なビジネスを生む仕組みづくり」は可能であり、実際に日本国内でも人材紹介業のマッチングサービスをはじめ、規模は小さいながらいくつものプラットフォーマーが誕生している。

最後に

 GAFAやマイクロソフト、BATHなどのサービスに代表されるプラットフォーム。プラットフォームを提供するプラットフォーマーには、コロナ禍など外部環境の変化を受けても成長を維持する底力を持つ企業が多く存在している。独自のプラットフォームを武器にする企業が日本からもたくさん登場してくることを期待したい。

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