自社が保有する知的財産から利益を引き出す「IPビジネス」。アニメやゲームなどのコンテンツ配信はもちろんグッズ販売やコラボイベントといった二次的な利用など、IPビジネスの持つ可能性は大きな注目を集めている。今回は過去記事を通して、IPビジネスに積極的に取り組む国内企業の事例を紹介する。

知的財産から利益を生み出す「IPビジネス」

 IPビジネスとは「知的財産」を生かしてライセンス料などの利益を得るビジネスのこと。代表的なものとしては映画やアニメ、ゲームといったコンテンツの上映・配信・販売が挙げられるが、これらのキャラクターをグッズ化して販売したり、他社のビジネスとコラボレーションしたりするといった二次的な利用もIPビジネスに含まれる。

 IPビジネスは新しいビジネス手法ではないが、近年は動画配信サービスなどの発達で人々がコンテンツを目にする機会が増え、またSNS(交流サイト)によって作り手側の情報発信やファン同士のコミュニケーションなども活発になっていることからIPビジネスへの注目度は高まっている。一方で「海賊版」などIPビジネス特有のリスクも存在しており、その対応には十分な注意と配慮が必要だ。

 この記事ではIPビジネスをテーマとした過去の記事から、特に国内企業の動向や取り組み事例を紹介していく。

YOASOBIにLiSA ソニーが音楽で一人勝ちする理由

 IPビジネスで大きな成功を収めている日本企業の一つがソニーグループだ。同社のエンタメ事業はさまざまな知的財産を保有・活用しているが、特に音楽事業では2021年3月期に9399億円(前期比1割増)を売り上げ、営業利益率は20%に上った。

 同社の躍進を支えるのは、「YOASOBI」「King Gnu」「LiSA」「米津玄師」「NiziU」など高い注目度を誇るアーティストたちだ。

 

ソニー、稼ぎ頭のゲームも「選択と集中」事業売却のしたたかさ

 IPビジネスを通して「長期的に10億人の顧客とつながること」を目標に掲げるソニーグループ。これまで映画やアニメ、ゲームなどの分野でも他社の買収や出資を繰り返してきたが、一方で「選択と集中」の事業戦略にも取り組んでいる。その一つが21年10月に行われたモバイルゲーム事業売却の発表だ。

 

「桃鉄」復活、さらば「ウイイレ」コナミが挑む2大改革

 ゲーム会社のコナミホールディングスは「桃太郎電鉄(桃鉄)」「ウイニングイレブン(ウイイレ)」といった人気ゲームで高い知名度を誇る。これらは同社の看板製品ともいえる作品だが、2021年9月に発売される最新作からはウイイレの名前が消えるという。

 自社の財産ともいえる「名前」を捨てた背景には、世界中で人気が高まりつつあるeスポーツの影響がある。

 

カプコン辻本社長があえて「PCゲーム」に注力する理由

 「ストリートファイター」や「バイオハザード」で知られるカプコン。同社の強みはゲーム分野でのIPビジネスだが、世界的にスマホゲームが人気を集める中で、同社はあえてPCゲームへのこだわりを見せている。

 「スマホの先を見ている」と語る辻本春弘社長COO(最高執行責任者)が見据えるのは、「スマホでゲームと出合った人がスペックの高いPC環境に移行していく」という世の中の流れだ。

 

サンリオエンタ小巻社長の再生術「どうせ」は期待の裏返し

 サンリオエンターテイメント(東京都多摩市)が運営する「サンリオピューロランド」は、サンリオが所有するキャラクターを生かしたテーマパークだ。新型コロナで大きな打撃を受けた同社だが、自分たちの強みをあらためて見直した結果、「来場できなくてもキャラクターとの接点を途切れさせない」新たな形式のビジネスを生み出している。

 

ガンプラも追い風? 初任給3割増バンダイナムコの驚きの成長戦略

 バンダイナムコホールディングス(HD)が持つ知的財産は、ゲームやアニメなど多種多様だ。そのうちの一つ「機動戦士ガンダム」も高い人気を誇り、ガンプラなどガンダム関連のグッズの売り上げも「品薄」になるくらい好調だという。

 そのバンダイナムコHDが今、注目しているのがメタバースだ。同社ではガンダムのコンテンツをメタバースと組み合わせることで、既存のIPビジネスとのシナジー効果をより拡大しようとしている。

 

最後に

 音楽、ゲーム、アニメなど、日本企業が世界に誇る知的財産にはさまざまな種類がある。各社とも自社の知的財産をより効率的に活用するために取り組みを進めており、その行方に注目が集まっている。IPビジネスが日本の「主要産業」となる日が来るか、各社のチャレンジをこれからも見守っていきたい。

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