証券取引所に上場しない、もしくは上場を廃止した企業の状態を「非上場」という。あえて非上場を選ぶ企業の中には、サントリーや竹中工務店といった大企業も少なくない。また不祥事問題に揺れる東芝も非上場化を議論している。今回は過去の記事から、非上場の企業事例をピックアップする。

多くの企業があえて「非上場」を選ぶ理由

 非上場とは株式会社が自社の株式を証券取引所に上場していないこと、もしくはいったん上場したあとに上場廃止することをいう。これに対し上場している企業は上場会社と呼ばれる。日本のほとんどの会社(全体の99%以上)は非上場となっている。

 企業が非上場である理由はさまざまだ。単純に規模が小さく上場できないというケースもあるが、中には明確な理由で非上場を選択する企業も少なくない。例えば「オーナー経営者が自分の思い通りに会社を経営したい」とか「(投資家の圧力で)短期的な利益追求に追われたくない」、買収を避けるために上場しないというケースもある。

 実際にサントリーやロッテなどの大企業、さらに新聞社や出版社の多くも非上場だ。この記事では非上場を貫く企業の事例や、非上場化を検討している東芝の事例について過去記事から紹介していく。

サントリーが動いた

 「非上場では日本最大級の企業」がサントリーだ。これまで長年にわたり創業家による経営を続けており、「上場したら企業理念を追求する経営が崩れてしまうかもしれない」との思いから非上場を貫いてきた。

 一方で創業者・鳥井信治郎の孫で現在は副会長を務める鳥井信吾氏は「将来は分からない」とも語る。たとえ非上場のまま経営を続けるとしても、少なくとも「創業家が結束できるように、考えを合わせていかなければ、代を下るごとに将来は危うい」という危機感を抱いているという。

独ボッシュ、非上場を貫き通す理由

 海外の大企業では、自動車産業の歴史を支えてきたドイツの老舗、ボッシュも非上場だ。売り上げ規模が年10兆円という大企業でありながら非上場を貫く背景には、「長期的な視野に立って経営を続ける」という同社の方針がある。

 一方ボッシュは、「経営に対する監視・監督の目が行き届かない」という非上場ならではの課題を解決する仕組みも持っている。それが財団と合資会社を活用した「所有」と「経営」の分離だ。

「上場したらジャパネットじゃなくなる」 非上場貫く髙田社長の境地

 ジャパネットホールディングスも非上場を貫いている。同社の髙田旭人社長兼CEOは「父である髙田明・前社長の代から方針は変わっていませんが、そもそも上場する必要性を感じたことがありません」と語る。上場のメリットには資金調達や知名度の向上も含まれるが、同社は「テレビ通販という事業をしているので知名度があり、通販業なので工場や店舗を造るような大きな初期投資費用も要らない」ためだ。

東芝、非上場化も選択肢。会社2分割案でも大株主に懸念

 不正会計問題で揺れた東芝。一時は海外投資ファンドによる買収案も出ていたが、現在は経営と事業の立て直しを図るために3分割もしくは2分割での「会社分割」を目指している。また現在は東証1部(当時、現在は東証プライム、名証プレミア)に上場しているが、非上場化によるシンプルな株主構成での再スタートも検討されているという。

東芝が「大好きです」、島田新社長が就任会見で繰り返した理由

 東芝では、2022年3月1日に島田太郎氏が新社長兼CEOに就任した。航空機の設計チーム、外資系企業を経て約3年前に東芝に入社した経歴を持つだけに、「生え抜きを重んじる社風がある」東芝でどのように手腕を発揮するかが注目されている。

会社2分割案に株主が「ノー」、東芝の再編案が振り出しに

 3月24日に開催された臨時株主総会で、東芝側が提案した会社の2分割案が否決された。非上場化への検討状況を詳細に開示するよう求めた株主提案も同時に否決されたため、これで同社の再建プランは振り出しに戻ることになる。

 次の定時株主総会までにどのような再建プランが示されるのか、株主や関係者の注目が集まっている。

最後に

 企業が非上場を選ぶ理由はさまざまだ。長い歴史と毎年の莫大な利益があるにもかかわらず、経営者の理念を貫くためにあえて非上場のままというケースもあった。一方で、非上場が会社再建の一歩と考えながらも株主の意向で非上場に踏み切れないケースもある。非上場企業がなにを思い、どのように行動しているのか、身近な企業を素材にいま一度考えていきたい。

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■修正履歴
記事公開当初は本文3段落目で「上場廃止を選択した東芝の事例について」としていましたが、正しくは「非上場化を検討している東芝の事例について」でした。また「会社2分割案に株主が『ノー』、東芝の再編案が振り出しに」の項目中で「次の定時株主総会でどのような再建プランが示されるのか」としていましたが、正しくは「次の定時株主総会までにどのような再建プランが示されるのか」でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2022/5/23 16:00]
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