石油の採掘から販売までを一貫して手がけ、世界中で強大な経済力と政治的影響力を持つ「石油メジャー」。現在は6社の石油メジャーが存在し、それぞれに存在感を放っている。今回はこれまでの記事の中から、石油メジャーに関連する企業や人物の動向を振り返ってみる。

強大な経済力と政治力を持つ「石油メジャー」

 石油メジャーとは石油の採掘から輸送、精製、販売までを一貫して手がけ、強大な経済力と政治力を振るう国際石油資本のこと。

 かつてはガルフ・オイル、モービル・オイル、シェブロン、エクソン、テキサコ、ロイヤル・ダッチ・シェル・グループ、ブリティッシュ・ペトロリアムの7社(セブンシスターズ)が石油メジャーとされていたが、これらの企業はその後巨大合併や買収を繰り返し、4社(エクソンモービル、シェブロン、シェル、BP)に統合されている。

 現在は元・セブンシスターズの4社に、トタルエナジーズとコノコ・フィリップスを加えた計6社が「スーパーメジャー」と呼ばれ、新たな石油メジャーを構成している。

 ここでは石油メジャーや石油メジャーに関連する企業や個人の動向について、過去の記事から紹介していく。

注目された石油メジャー会長の国務長官就任

 米トランプ政権誕生に伴い、石油メジャー最大手、エクソンモービルの会長兼CEO(経営最高責任者)、レックス・ティラーソン氏が新国務長官に指名された(当時)。ビジネス畑一筋の人物が国務長官に指名されたのはこれが初めてのことで、米国内では驚きをもって受け止められているという。

 ティラーソン氏はロシアの政財界人とのパイプが太く、ウラジーミル・プーチン大統領とも懇意にしている。トランプ氏の狙いは、ティラーソン氏を仲介役としてプーチン大統領との個人的関係を作ることだったと考えられている。

エクソンもシェルも苦杯 脱炭素の圧力が国内石油元売りの試練に

 「石油の世紀」と呼ばれた20世紀に、世界を支配した石油メジャー。しかし「脱炭素」の21世紀では石油メジャーに対する風当たりは強く、各社とも非石油事業への事業転換を加速しつつある。日本石油元売り企業は石油関連以外の事業を拡大させようと躍起だ。

 だが「非石油事業の成長力は未知数」とされ、数万人の社員や大規模な精製所を持つ石油関連事業からの転換は容易ではない。脱炭素に向けた納得感のあるシナリオを提示できるか。石油を事業の中核としてきた企業にとって喫緊の課題となっている。

英国のガソリンパニックで、人手不足よりも心配なこと

 ガソリンが全く買えず、「ガソリンパニック」と呼ばれる状態が続いている英国(2021年10月時点)。その発端となったのは英国の石油メジャー、BPの内部資料がリークされたことだ。

 リークされた内容は、長距離大型トラックドライバーの不足によりガソリンを運ぶことができず、ガソリンスタンドの燃料在庫が通常より少ないことを政府に警告するものだった。だが、このガソリンパニックは人手不足の心配よりも別の多くのことを考えるきっかけになった。

オールドエコノミーが大変身 新エネの巨人が誕生。欧州勢、逆転の軌跡

 かつて世界のエネルギーを支配した石油メジャーが羨望のまなざしを向ける、デンマークのオーステッド。同社は洋上風力発電事業の世界最大手で、海上に1600基以上の風力発電機を設置し、その発電量は原子力発電所7基分に相当するという。

 脱炭素の後押しも受け、オーステッドは「2020年のサステナビリティ企業ランキング」で世界1位に輝く。米アマゾン・ドット・コムや台湾の台湾積体電路製造(TSMC)も同社と長期契約を結ぶなど、その勢いはますます加速している。

アンモニアも水素も発電利用、現実解求め「第2のLNG」探す

 石油メジャーが興味を示す企業は日本にも存在する。国内最大の石炭火力、碧南火力発電所などを運用しているJERA(ジェラ)だ。東京電力ホールディングスと中部電力が出資する日本最大の発電会社である同社では火力発電燃料の一部を「アンモニア」に転換する実証実験を進めている。石油メジャーの首脳から「一緒にやろう」と声をかけられることもあるという。

ロシアの石油・ガス輸出が途絶する4つのシナリオ

 ウクライナへの軍事侵攻で国際社会からロシアへの経済圧力が強まり、欧米企業からもロシアでの事業から撤退するところが出始めている。BPやシェル、エクソンモービルといった石油メジャーやエクイノール(ノルウェー)、ENI(イタリア)といった大手石油企業も例外ではない。ロシアでの資源開発を行ってきた日本の総合商社などにも撤退の圧力がかかっている。

最後に

 石油メジャーに関連する近年の動きはさまざまだが、いずれの企業にも大きな影響を与えているのが「脱炭素社会」に向けた圧力と、ウクライナ問題によってロシアで進めてきた石油関連事業の行方だ。取り巻く環境は石油メジャーにとって厳しくなりつつあるものの、それでも各社の経済力や政治力は無視することはできない。今後の石油メジャーの動きと、それが日本の政治経済や企業活動に与える影響を注視すべきだろう。

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