フリマアプリの「メルカリ」、スマホ決済サービス「メルペイ」などを提供するメルカリは、フリマアプリ事業の急成長ぶりで注目を集めてきた企業だ。同社の躍進の背景には何があるのか。過去の記事を紹介しながら振り返る。

メルカリの沿革

 メルカリは、東京都港区に本社を置く日本の企業で、フリマアプリ「メルカリ」のサービスを運営している。2013年に同社CEOの山田進太郎が、コウゾウを設立し、後に社名をメルカリに変更。わずか3年で2016年に初めて黒字化し、2018年には東証マザーズへの上場を果たす。同社は上場以前から、ユニコーン企業として話題になるなど、注目を集めていた。また、直近では2019年にスマホ決済サービスの「メルペイ」をリリース。それと並行して海外展開にも乗り出すなど、現在も攻めの経営を行っている。

メルカリの変節、山田進太郎CEOの反省

 「上場のための準備」「いまさらかよ」「こんなことすらしていなかった闇マーケット」。メルカリが2017年11月に、住所や氏名など初回出品時の本人情報登録を必須とするなど大幅な仕様変更を発表すると、ツイッターなどのSNS(共有サイト)には「コンプライアンスよりも成長や売り上げを優先してきたのでは」とする批判の声があふれた。こうした状況に対し、CEOの山田進太郎氏は「社会からメルカリがプラットフォーマーとして見られている、ということに気付くのが遅れたのは事実です。そこは経営陣としてすごく反省をしています」と語った。

メルカリ小泉社長が“超絶”コミットする理由

 そんなメルカリだが、17年12月には世界累計1億ダウンロードを突破。当時の社長は、山田進太郎氏からその座を引き継いだ小泉文明氏(現在は会長として折衝・渉外や鹿島アントラーズ担当に)。小泉氏はインタビューで「社長という肩書ありきでの仕事はしない。役職を持つと、当然責任やリスクを取れる範囲は広がるが、意思決定では事業メンバーと同じく、『当事者意識』を持って判断するようにしている」と強調した。

メルカリ、半年遅れの飛翔(ひしょう)

 小泉氏をはじめとしたコミットもあり、メルカリの時価総額は上場前から2000億円を超える可能性があるといわれ、大きな期待を集めていた。しかし、当初想定より上場時期は半年遅れ、上場先も東証1部から東証マザーズに切り替えた。その背景には、北米など海外に手広く事業を展開し始めたメルカリの財務体質に対する懸念があった。新興企業でまだ財務基盤が盤石とはいえないなかで、身の丈を超えた海外展開が裏目に出た場合、一気に会社が傾きかねないという慎重論がくすぶり続けていたのだ。

メルカリ上場後の憂鬱

 2018年6月19日に上場したメルカリだが、国内大手VCの間では、「これでBtoC(消費者向け)分野のユニコーンがいなくなってしまう」という声も聞かれた。米調査会社のCBインサイツによると、世界のユニコーンは2018年5月時点で237社。米国116社、中国65社と続くが、日本で該当するのはメルカリのみだった。現在は、AI(人工知能)関連技術を開発するプリファード・ネットワークスなど、その数は増えているが、当時の市場では不安の声が聞かれたようだ。

メルカリ山田会長兼CEOの「生存戦略」(1)

 ところで、メルカリの創業者・山田進太郎氏とは、どんな人物なのか。山田氏はシリアルアントレプレナー(連続起業家)の第一人者として、かねてIT業界で知られた存在だ。早稲田大学卒業後に設立したウノウを2010年、当時ソーシャルゲーム大手だった米ジンガに数十億円で売却。ジンガ日本法人の幹部を2年務めると突如、世界一周の旅に出た。旅先で新事業のヒントを得て、帰国後の13年に設立したのが後のメルカリだった。こうした複数回の起業や売却を通じて、山田氏が身に付けてきたのが「生存戦略」だ。それは、自分の置かれている状況を冷静に捉え、自分が頂点に立てる領域がどこかを見極めることで生き残っていくといったもの。山田氏のこうした人生観は、幼少期から青年期にかけて培われたようだ。

ポイント経済圏に4000億円枠、メルカリが決済サービス

 そんなメルカリは2019年、決済サービス業界に参入する。メルペイの登場だ。決済サービスは当時、まだ統合されていなかったコミュニケーションアプリ大手LINEのLINE Payや、ソフトバンクとヤフーが共同出資するPayPayなど、新興のサービスが相次いで拡販キャンペーンを実施していた。メルペイは後発での参入だが、ポイント経済圏の大きさから先行するサービスに劣らぬ注目を集めた。実際、サービス開始翌日の2019年2月14日にはメルカリの株価が一時、前日比238円高の2859円まで上昇した。

メルカリのスマホ決済、フリマアプリにも地殻変動か

 メルカリは2019年2月20日、都内でスマホ決済サービス「メルペイ」に関する説明会「MERPAY CONFERENCE 2019」を開いた。言うまでもなく、メルペイの強みは、フリマアプリの利用者が個人間取引によって得られる売上金を実店舗で利用できるようになること。一方、ヤフーもPayPayと連動させてヤフーショッピングの誘客を進めていくことは間違いないとされており、スマホ決済はフリマアプリにも地殻変動をもたらす可能性があるとみられていた。

メルカリ小泉社長が明かす「僕らがリファラル採用ができるワケ」

 そんなメルカリがリファラル(紹介)採用に力を入れていることをご存じだろうか。小泉氏は、そもそも従来日本でメジャーであった新卒採用は非効率的だと話す。特にスタートアップやベンチャーにとってはなおさらで、たどり着いたのが、人材要件をしっかり定義して社外の思い当たる人物に声をかけ、オウンドメディア「mercan(メルカン)」を活用する採用活動だったという。

メルカリが目指す「いつでも辞められるけど働き続けたい会社」

 では、実際にメルカリのリファラル採用はうまくいっているのだろうか。小泉氏は、メルカリは、従来の日本企業にありがちな「縦の関係」ではなく、企業と個人が対等な関係を結ぶ「横の関係」、つまりは「いつでも辞められる関係」で結ばれていると語る。こうしたメルカリの社風には採用活動が大いに関係している。また、続けて同氏は、「自分たちも、いつでも辞めてもらっていいと思っている」と語る。「無理して一緒に働き続けるのは非常に不健全だと思います」。

メルカリ、特損計上でも切れない「米国撤退」のカード

 採用制度など、様々な点で注目を集めるメルカリだが、2019年7月25日に、6月期の個別業績で約104億円の特別損失を計上すると発表した。メルカリの米国事業を展開する米子会社の株式価値が著しく下落し、減損処理の必要が生じたためだ。同社が、国内のフリマアプリ事業以外で経営資源をつぎ込んでいるのは、子会社のメルペイが手掛けるスマホ決済サービスと、フリマアプリの米国展開だ。そのため、この特別損失はメルカリの今後を大きく左右するとみられていた。

最後に

 ここまで、メルカリの軌跡を過去記事を振り返りながら紹介してきた。同社は上場前、ユニコーン企業としてマーケットの話題を集め、上場後もスマホ決済事業に参入、海外展開を積極的に行うなど、様々なチャレンジをしてきた。しかし、国内のフリマ事業を除いて、これらの新しい取り組みに関しては、今後が見えてこない状況だ。次なる展開にも注目したい。

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