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ベンチャー企業の動きが多様化している。日本の大手企業がインドベンチャー企業と協業したり、日本のベンチャー企業が海外の大手企業と協業する例が増えている。しかし、米国や中国で起業が活発であるのに比べて日本は遅れているという現状がある。その背景や現状についてまとめた。

ベンチャー企業とは

 ベンチャー企業とは、新規事業に取り組む会社のことを指す。経済産業省の定義によると「新しい技術、新しいビジネスモデルを中核とする新規事業により、急速な成長を目指す新興企業」とある。安定成長志向の中小企業とは異なり、新しい分野で新規性や革新性を持ち、成長志向があることがベンチャー企業の特徴だ。

インドベンチャー投資、日本の勝ち筋

 近年、日系企業とインド企業の連携が加速している。インドのベンチャー企業を活用するために重要な点とは何か。日本は欧米や中国と比べてインドとの連携が遅れており、その原因として日本企業は決定までのプロセスに時間がかかり過ぎることが挙げられている。日本は長期的な観点でイノベーションに投資する特徴があるが、いかにしてインドのスタートアップ企業と小さなステージから連携していけるかが重要なポイントである。

時価総額4兆円級! CIAも頼る“謎”のメガベンチャー

 ビッグデータ解析ベンチャー「パランティア・テクノロジーズ」。通常なら分析が難しい大量のデータを短時間で解析し、探したい情報を短時間で見つけ出せる技術が評価され、CIAやFBI、空軍や海兵隊までが顧客になっている。パランティアは米インターネット決済大手ペイパルの共同創業者だったピーター・ティール氏と哲学研究者アレックス・カープ氏が共同で創立した。今では金融や医薬品、航空機にまで顧客が拡大している。

アマゾンを“蹴った”、時価総額2兆円ベンチャー

 米スラック・テクノロジーズがアマゾンとマイクロソフトの買収提案を断り経営の自主独立を守る方針を貫き株式上場を果たした。CEOのスチュワート・バターフィールド氏は過去に共同創業し売却した事業がその後うまくいかなくなった経験があり、自分たちの手で経営を続けていく方針を守ってきた。スラックの魅力は無料で利用できることと、組織内の様々なチームがスピード感を持って仕事を進める環境を実現できることだ。マイクロソフトもスラックに似たサービスを立ち上げたが、バターフィールド氏の自信は揺るがないようだ。

シンガポール政府系ファンド、中国医療ベンチャーに出資

 シンガポール政府が所有する投資会社、テマセク・ホールディングスは、他の投資家と組み、中国のバイオ医療ベンチャー、Gracellバイオテクノロジーに8500万ドルを出資した。同社は免疫細胞遺伝子治療に有効な医薬品を開発しており、幾つかの候補薬は臨床試験に着手できる段階にあるという。

ベンチャー活動、世界最下位の日本

 起業がどれだけ活発かを表す「総合起業活動指数」において、世界68カ国・地域のうち日本が最下位に。経済発展の段階が低い国や地域の方が高くなる傾向にあるため、必ずしも、この指数が高いことが望ましいわけではない。ただ、それも程度の問題だ。少子化が進む日本において、新たな企業が生まれなければ国の経済は衰退に向かう。米国や中国は指数が高く、日本は起業の停滞が大きな課題だと言われるようになって久しい。その状況は改善していない。

日本を襲うベンチャーの空洞化

 米国企業が相次ぎ日本のベンチャー企業に出資し、買収している。自動車業界やロボット業界において、グーグルやインテルなどから日本のベンチャーへのアプローチが活発化。日本には将来性が見込めるのに埋もれているベンチャーが多いという指摘がある。これは日本の大手企業側の決断の遅さやリスクに及び腰といった姿勢が関連しており、日本のベンチャー企業も成長の場を海外に求めている。この状況が進めば、日本でイノベーションの空洞化が起きる可能性がある。

大手は、ベンチャーと対等な協業を

 大手企業とベンチャー企業が新規事業で協業する案件が増えている。協業を成功させるために気をつけるべき点は何か。大手企業のベンチャー投資担当者によると、お互いが対等な関係で話し合うことが大事だという。大手企業がテーマや条件などをベンチャー企業に提示してゴールを共有し、共同開発など次の段階に進むというステップを踏むことが良い結果を生むようだ。

ベンチャー投資が大企業を再生する

 大手企業は、ベンチャー企業への投資なくして再成長は見込めないとの指摘がある。経営者のマインドセットがなかなか変えられないこと、多くの大手企業がまだ経営に切羽詰まってないことが、投資が増えない原因だと専門家は言う。消極的な日本の大手企業をよそに、米国をはじめとする海外企業が日本の有力ベンチャー企業に投資する動きが増えている。日本の経営者が覚悟を決め、投資の決断をしていくことが重要になっている。

大手社員がレンタル移籍、ベンチャーで修業

 新規事業の立ち上げを経験させたい大手企業と、優秀な人手が欲しいベンチャー企業をマッチングするサービスがある。ローンディールの「企業間レンタル移籍プラットフォーム」では、大手企業の社員がベンチャー企業で一定期間働くのを支援している。安定軌道にある大手企業は、社員が失敗を恐れて新規事業が生まれにくいという課題があり、事業展開にスピード感のあるベンチャー企業で事業立ち上げを社員に経験させたいというニーズが背景にある。

ベンチャー経営から私が得たこと

 オリックスのシニア・チェアマンである宮内義彦氏が中小・ベンチャー企業の成功への鉄則を語る。宮内氏は経営の本質は人と人とのつながりにあると話す。運用効率が下がっても、上司が命令を出すのではなく、個々の社員に考えさせることが大事だという。また一方で、宮内氏はメンターから経営は数字であるという考え方も教わった。オリックスの全員営業の精神はこうした考え方からきているという。

最後に

 最近のベンチャー企業の動向についてまとめた。日本の起業活動は停滞傾向にはあるものの、日本のベンチャー企業が海外大手企業と協業する例や、大手企業の社員がベンチャー企業で事業立ち上げを経験するといった事例が出てきているようだ。ベンチャー企業の活性化は大手から中小まで企業の活性化にもつながる可能性がある。今後のベンチャー企業の動きに注目である。

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